あなたを想う花 上

  • 早川書房
4.04
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本棚登録 : 271
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152102317

作品紹介・あらすじ

ヴィオレットはブルゴーニュの小さな町の墓地管理人。墓参者がいなくなった墓まできれいに手入れしている。ある時、一緒の墓に入ると決めた男女の存在が、彼女の人生を大きく揺るがすことに──フランスで130万部突破。別れの場所で輝く生を描く感動の長篇。

感想・レビュー・書評

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  • この本は、閉じたあとでも私に寄り添ってくれるものとなるだろう。心を潤す読書とはこのこと。

    原題は「花の水をかえましょう」くらいの意味になる。花瓶の水でも、庭に植わっている花にやる水でも、その水をかえましょう、ということ。
    草木がただ枯れるときを待つばかりでないように、人も再び咲いたり実をつけたりできる。そのためには新たな水、呼び水が必要だ。

    墓地の管理人である美しく優しいヴィオレット。
    物語の舞台は主に二つ。
    人生の最後に眠る場所である墓地。
    そしてヴィオレットの初めての親友が住んでいるマルセイユ。
    詩情豊かな庭園と太陽と海のおおらかな街、このコントラストがとてもいい。
    文字の向こうに生き生きと像を結ぶ情景。
    なによりも墓地がこんなに魅力的な舞台となりえているのが驚きだ。
    愛し愛された人が眠る場所が、ただ悲しいばかりのところであってほしくない。
    情のあついヴィオレットの手によって墓地は生命力溢れたものになる。



    以上、感想途中まで……

  • Valérie Perrin(@valerieperrin_) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/valerieperrin_/

    【4月25日発売】たったひとりで墓地管理人をする女性の喪失と再生──フランスで130万部突破のベストセラー小説『あなたを想う花』|Hayakawa Books & Magazines(β)
    https://www.hayakawabooks.com/n/n6fb84f947bee

    あなたを想う花 上 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015397/

  • 久しぶりに素敵なお話を読んだ。

    50歳になるヴィオレット。彼女はブルゴーニュの小さな町にある墓地の管理人をしている。
    夫は随分前から行方不明。その夫との間に娘がいたが小さい頃にある出来事で亡くしてしまう。

    彼女の閉ざされた心は墓地の前の管理人と出会ってから溶け出していく。

    管理人として働きだしていろんな人々と出会い、
    その中には彼女の人生を変えてくれる人も。

    彼女の夫の思いも最後の方でわかったり、とにかく複雑ににいろんな話が混ざり合って、1本の映画を見たよう。実際に映画になるんじゃないかな。

    作者は、映画「男と女」の監督クロード・ルルーシュのパートナーという事で、そういった世界観かも。

  • 感想は下巻へ。

  • めずらしくフランス文学の和訳本。何かでおすすめされてて。最初は人物覚えられなくて、時間軸も分かりにくいからリタイアしそうになった。でも読み進めていくにつれて興味が増して行った。下巻も読みたい。

  • 富山市立図書館
    953.7/ヘウ/1

  • 何と言っても翻訳本なのに、読みやすい!
    いっは、なかなかページを繰る手が進まないのに、
    この本は、自然に読める。

    訳は三本松里佳さん、
    覚えておこう。とても読みやすい日本語訳に
    なっていて、自然に読めた。

    墓地の管理人、ヴィオレットが主人公、
    サマースクールの火災事故で
    7歳で亡くなる娘のレオニーヌ、
    長く行方不明だったのに、
    ヴィオレットに会いに来た帰り道、
    バイクの事故で亡くなる
    夫のフィリップ・トゥーサン、
    母の遺灰を埋めに来たジュリアン・スール…

    ヴィオレットの前の墓地の管理人、
    サーシャ
    各章ごとに現実と過去を行ったり来たりしながら、
    話が進む。
    ジュリアン・スールの母、
    イレーヌ・ファヨールとガブリエル・プリュダンの
    未知ならぬ恋、過去を少しずつ明かしながら、
    同時進行に、
    娘のレオニーヌが亡くなった真相が
    明かされつつある。

    うん、後編が楽しみだ。
    どうなるの??ヴィオレット…

    核心をついた言葉が胸に残る。
    「フィリップ・トゥーサンと一緒にいて、
    私はどんどん老けていった。
    若さを保つには、愛される必要があるからだ。」

    裏を返せば、
    誰かに愛されている人は若くいられる…
    なかなかの本質かもしれないと感じた。
    日本語訳、天才!

  • 「たったひとりで墓地を管理するヴァイオレット」という紹介文を読んですぐに読みたいと思いました。ここ半年で3冊墓暴きの小説を読みました、墓地には人生を変えるなにかがあるのでしょう。ちなみにその3冊とはスティーヴン・キング『ダーク・ハーフ』、チャド・ハーバック『守備の極意』、チャック・パラニョーク『インベンション・オブ・サウンド』になります。この小説には墓暴きシーンはありませんが、墓を掘り起こすときの注意事項が語られています。
    「墓を掘り起こすときには、墓堀り人が両隣の墓を壊さないように、見張ってほしいということだ。」
    ということで墓暴きは複数人で行うことを推奨しています。

    私は本の表紙をしらずに予約したのですが、手にとって見て驚きました。かわいらいいパステル画で装飾されているのです、この小説はハートフル・ヒューマンストーリー的なものなのかと、予想と違うなというのが最初の感想です。普段読まない小説だと困ったなと思ったのですが、思いっきり予想を越えてくれました。これは表紙と内容のギャップで驚かそうとする戦略なのでしょうか。

    上巻はヴァイオレット・トゥーサンの悲惨な半生と墓地での暮らしが交互に語られていきます。生い立ちも可哀想なのですが、フィリップ・トゥーサンというクズと結婚したのが決定打となっていくのです。

    フィリップがどのぐらいクズかというと仕事はしない、自宅にいるときはゲーム三昧、毎日浮気をする、母親の言うことには絶対従う、でも朝食にはバリッと焼いたバケットを要求する徹底ぶりです。

    ですが、クズを徹底すると色気というのが出てくるのでしょうか。女性にはもてまくります。下巻から登場するマニャンという女性の第一印象がそれをズバリ言い当てています。
    「格好も素敵だった。革ジャンの下にいつのぴちっとしたTシャツを着ていて、長い脚にジーンズが似合った。百メートル離れていたって、セックスが上手なのがわかった。女好きで精力絶倫な男だ。冷たい青い瞳でチラっと見ただけで、女なら誰でも服を脱がせることができた。」
    マニャンは結局《小さな岩》のそばで毎週同じ時間にフィリップとセックスをすることになり、かなりざつに扱われます。そんな扱いを受けたのに忘れられない人となっています、その考えは数年後に再開したときも残っています。
    「あの人はすぐ手の届くところにいた。ほんの1メートルのところに。ああ、触りたい。あたしは思った。服を脱がせたい。あたしも服を脱いで、うしろからやってほしい。前みたいに・・・。あたしはテーブルに手をついて、あえぎ声をあげる。あの時、岩に手をついたみたいに・・・。そんなこと考えていたら、自分が嫌になった。」
    愛とは何なんだと思ってしまうのですが、フランス人と日本人という人種の違いでしょうか。でも、心の奥底に眠っている感情を表に出すか隠しておくかの違いで、同じような考えは私の中にもあるのかも知れません。

    墓地での暮らしは一転して楽しく描かれています。これらがフレンチジョークというものなのでしょうか。墓地に妻をなくした男やもめをねらってた女性が現れること、墓地でキャンプするヒッピーを白いドレスを着た幽霊に紛争して追っ払うところは笑ってしましまいました。その他にもくすっと笑えるジョーク集が続きます。自分が好きなところを2点上げます。
    ・「私の墓に新しい住人が来る。五十六歳の男性で、死因は肺癌。医者によると、煙草の吸いすぎが原因だという。だが医者の言うことだ。五十六歳の男性が誰かに愛されなかったせいで死んだとは、医者は言わないからだ。話を聞いてくれない人がいなかったせいだとか、請求書が多すぎたせいだとか、借金がたまっていたせいだとかは。あるいは、苦労して育てた子供たちが、さよならも言わずに出ていってしまったせいだとかは・・・。」
    ・埋葬された個人に詩を朗読するのです、ジャック・プレヴェール「猫と小鳥」という詩を。猫が小鳥を半分食べたことで村人が悲しんだ、悲しませないために全部たべればよかったと後悔する内容です。このかわいらしいのにブラックな詩が実際にあるものなのか作者の創作なのか。後者であれば作者は本当に天才だと思います。

    ヴァイオレットの半生と墓地での暮らしが淡々と語られていき上巻が終わります、下巻でどのようにヴァイオレットが変わっていったのかがわかってくるのでしょう。

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