ウィキペディア・レボリューション: 世界最大の百科事典はいかにして生まれたか (ハヤカワ新書juice 5)
- 早川書房 (2009年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
- / ISBN・EAN: 9784153200050
作品紹介・あらすじ
全世界で15万人が執筆し、合計1000万以上の項目を有する巨大百科事典ウィキペディア。執筆も修正も削除も自由な百科事典を不特定多数の好事家の手に委ねるという無謀なコンセプトを実現させるには、テクノロジーの進歩のみならず、ルールの制定や管理者権限の調整など、共同作業を管理(あるいは放置)する手法の成熟も必要であった。ウィキペディアの苦渋に満ちた草創期から、爆発的に増殖を続ける現在までを、自らも編集者・管理者として携わる気鋭の学者がレポートする。
感想・レビュー・書評
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規模と影響力で言えばこれ以上無い大成功、記事の信頼性や濃淡の課題はおそらく今後も解決せず、永遠に混乱と混沌が絶えなさそうなウィキペディア。
技術的革新ではなく社会革新、圧倒的に中立性でフリー、入口を緩くしてユーザーがピラニアのように面白がって食い付くのを見届ける。そんな文化がここまで育った経緯が語られている。
他にこんな事例を知らないだけに、その内容は非常に興味深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
LA1a
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2001年に生まれたウィキペディアは、250以上の言語で1000万以上の記事が書かれており、記事の質も高い優れた百科事典である。世界の百科事典「ブリタニカ」を凌ぐ利用者数だという。このウィキペディアが、全くのボランティアのみで執筆、訂正、管理されているというから驚きだ。いったいどのように、質の高い記事を維持しているのだろうと以前から疑問ではあった。本書は、このウィキペディアが生まれる経緯から、今まで出くわした事件など、現在に至る紆余曲折を克明に記している。新書本としては450頁もあり、ボリューム満点だ。訳もよく、たいへん読みやすい良書といえる。
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利用側ではなく提供側の視点で書かれているため、知らなかった裏話等も多数披露されている。
英語版だけではなく、各国語への展開とそれにまつわる文化の違い等も大変興味深い。
Wikipediaについては賛否さまざまだが、今後のネットに大きな影響を及ぼすものの一つであることは間違いないだろう。
2回目
確かにそうでしたね、みたいな・・・ -
ウィキペディアでは、4つの自由が与えられている。
1、著作物を複製する自由
2、改変する自由
3、再頒布する自由
4、改変版を再頒布する自由
自由にアクセス、複製、改変、利用してもよい。
これがウィキペディアの重要なFREEの概念。 -
(推薦者コメント)
ウィキメディア財団は、全世界に知的財産としての百科事典などを無償で提供・更新し続けることを目的とした非営利組織である。そのプロジェクトの中でも最も有名なのが、ウィキペディア(Wikipedia)である。そのウィキペディアの実現には、数々の苦悩があった。今でこそ誰もが気軽に利用するウィキペディアの、歴史がここにある。 -
Wikiのコミュニティは、とても基本的な基準が設けられている。優れた文章、中立性、信頼できる情報源。検証可能性。質。思慮深いコミュニティ。
Wikiには参加のバリアがなく、ユーザは情報をすぐさま変更、作成することができる。
・Wikiは百科事典
・Wikiは中立的な観点
・Wikiの利用はフリーで誰でも編集が可能
・Wikiには行動規範がある -
数少ないマトモなウィキペディア本
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2010 12/15読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りて読んだ。
『ウィキペディア革命』とは好対照に、全体にはWikipediaに肯定的な本・・・というか序文がジミー・ウェールズで著者もウィキペディアン、となれば当然でもあるか。
Wikipedia発足に至る経緯についての細かい説明や背景が書かれている。知っていることも多いが、飛ばし読みでもなかなか面白い。
荒らしやトラブルとその対先に疲れたり失望する熟練ユーザ、という構図も興味深いが、こちらは悲しくもある。
結局、解決策は明示されないしね。いや、できてたら凄いのだろうが。 -
【推薦文】
世界最大の百科事典の誕生、経営、運営について理解しておこうと思っている方には、この本を推薦いたします。
(推薦者:計算工学専攻 M1)
【配架場所】
大岡山:本館1F 一般和図書 007.58/L -
Wikipediaができるまで、Wikipediaの黎明期、Wikipediaの成長といざこざ、そして今抱える課題が非常に包括的にまとめられています。技術・社会の双方の視点から書かれていて、関わった人々もたくさん出てくるので、飽きずに最後までスルッと読み通すことができました。
内容は非常に濃く、AppleのHyperCardやLinux、果てはMITとかが脈々と編纂してきたJargon Fileまでもが登場し、インターネット黎明期の概説書としても楽しめました。
「あとがき」をざっと読むだけでも、中身を一通り概観でき、それだけまとまりのある構成になっているんじゃないかと思います。全部読み終わってから「あとがき」を読むと、内容がするすると思い出され、驚くほどわかりやすく書かれているのが実感できました。
一度書店で「あとがき」だけでも読んでみるといいかもしれません。 -
Wikipedia(ネット百科事典)の歴史と、その裏でうごめく人間模様に焦点を当てたノンフィクション。
ボランティア運営の難しさ、バックグラウンド(文化・言語など)の異なる中でのポリティー作りの厳しさ。
そういったものが伝わってくる本でした。
誰でも参加できるという自由(フリー)が、規模を大きくし、成果を上げた一方、自由の中で勝手にさせない努力のすさまじさも垣間みました。
ネットに興味がある人は読まれても良いかもしれません。 -
Wikipediaの裏側の話として読める。あの形態でどうしてほぼ正しい百科事典となるのか、また維持するための努力も伺える。Wikipediaを使っている人は読んでおくと感謝の念がわくかも
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ウィキペディアがどのようにして生まれたのか、
その歴史についてはちょっと長ったらしく感じ読み飛ばしてしまったが、
各言語版ウィキペディアの文化の違いとかはまあ面白かった。
例えば、英語版では言葉表現一つをとって口論に近いような議論が
非匿名で行なわれていたり、中国語版ではそもそも中国の各地方に
よって言語にズレが出てくるため、表現のちぐはぐなものが
できあがっていたりなど。
日本語版ウィキペディアの特徴は、「完全なる匿名性」。
欧米とは違い、2ちゃんねるはじめユーザー名を明かさずに
書き込みをするのが、日本のインターネットの文化。
完全なる匿名システムの下では権力や批判の矛先が
純粋に情報へ向きやすいため、ある意味ウィキペディアの信頼性は
保たれやすい文化なのかもしれない。
最も、記事を編集するユーザーの数という点ではやはり英語版などと
比べたら少なくなるだろうから、一概に「信頼性が高い」とは言えないけど。
また、ウィキペディアの概念の根底には「グローバル・ボランティア」の
精神が あるけど、そこについては日本のネット文化的には希薄で、
日本語版ウィキペディアは記事数が世界5位の規模となっているにも
関わらず、“ウィキペディアン”の集まりの場には全然参加しないのだとか。
そんなこんなで、普段ウィキペディアのお世話になっている方、
グローバルボランティア的なものに興味のある方なら
純粋な読みモノとして読んでもいいかもな本です。 -
ネットの歴史とか仕組みを、ウィキペディアのからくりを紹介しながら、書いてある本。
今までこの分野の本を読んだことがなかったからすっごいおもしろい!!
私がもっと理系で、コンピューターのプログラミングとかに強ければ、こっちの世界に進みたかったなー。
すでにネット生活でこれ抜きには語れない、ウィキができるまでの舞台裏。 -
ウィキペディア・レボリューション―世界最大の百科事典はいかにして生まれたか 翻訳書で日本の話がでてくるとどうもニヤニヤしてしまう。カバーなしで図書館に置いてたから分らなかったけど、これ新書なのか。 http://is.gd/2bvpK
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ウィキペディアという「誰でも編集できる百科事典」の話を始めて聞いた時は、そんなものがうまくいくはずがないと思ったが、今では最もよく使うサイトの一つになっている。さすがにここまでの道のりは平坦ではなく、名誉棄損や荒らし、編集合戦など様々な事件があり、その度に管理上の規則が作られ、よい形での自治が維持されてきた。Wikiの創設から現在まで、どういう仕組みで動いているのかがよくまとまった良書。・学者的なスタンス(編集してから記述する)とWikiのスタンス(記述してから編集する)の違い。ある程度の記事数が集まると、ピラニア効果が生まれ、ボランティアが集まる。詳細不明の進化論的プロセスにより、最終的に記事が安定し、正確になるという話は当初、嘲笑の的であった
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09/9/18
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よくあるWeb2.0をけし掛けるような本ではなく
今日に至るまでのWikipediaの歴史と背景について丁寧に書かれている本。
フリーであるが故の問題や、Wikipediaの精神など、全編興味深く読める。