蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二: 囚われの王狼 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
- 早川書房 (2016年6月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784153350274
作品紹介・あらすじ
狼の足島で繰り広げられる戦いで、マタは背水の陣を敷いて帝国軍に挑む。いっぽうクニは、驚きの奇策を講じて帝国の首都パンに接近をはかるのだが――。ケン・リュウが贈る幻想武侠絵巻、第二巻
感想・レビュー・書評
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上巻よりは確実に乗ってきたーーって感じ。ちゃんと「背水の陣」も「四面楚歌」も「垓下の歌」も登場するので古典好きには嬉しい。マタ=項羽とクニ=劉邦の人物のバランスというか、人間性の比重というか、なんというかはちょっと原典とは違っているかもしれない。クニが良い人過ぎるし、マタが冷酷過ぎるかな?1つ気になったのは、文章にドライブ感がないというか、生難いというか…原文からしてそうなのか訳文のせいなのかはわからないけれど、もう少し武侠ものとして伝法な空気があっても良かったかな、惜しいなと感じる。しかし、せっかく加速がついて面白くなってきたのに、続刊が全くないのは解せないなぁ。後書きの予言通りに売れなかったのかな、ケン・リュウなのにな。
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ひょえー、なんか1/3位読んだところで疲れちゃったからいったんここで離脱。面白くなくは無いんだけどね…。
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続きがある!ことに解説を読んで歓喜です!
完全に善である人もおらず、完全に悪もおらず、神様ははて悪魔?と思うほど。
その目線の優しさにケン・リュウらしさを感じます。
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図書館で。
後編。神々が支配する、影響力を持つお話ではなく基本的に歴史を動かしているのは人間なんだけれども… 色々と考えさせられてしまう。
前皇帝だって最初から悪の化身だった訳でもなく、後を継いだアホな後継者だって彼自身にそれほど罪は無いのかもしれない。やってることの影響力を知らないで居たことの罪は重いけれども。
最後、タンポポ公がどうなってしまうのかがちょっと悲しい。理性と感情は違うんだろうなぁ… 子供たちは辛いよな。というわけで続巻も楽しみです。 -
ストーリーはお決まりの展開だけど、細部が生き生きしていて面白かった。人物は与えられた役柄だけの一面的で深みはないが、それを補うくらい様々な登場人物が次から次へとわいてくる。今作は特にクニの正妻ジアが良い。苦境にも自分らしさを失わないように本音で生きようとし自らの生き方について言い訳しようとしない姿勢が実に格好良かった。
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一巻目と比べて女性の活躍が目立ち,そこが史実と違って楽しめる.それにしても権力を持つと人間は変わるというのが,とても上手く描かれている.ただ神々の名前がごちゃごちゃして,狂言回しのように登場するたび,混乱した.続きがあるなら,訳者の工夫を期待する.
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ますます荒唐無稽(これはほめ言葉!)になる物語の構造。しかしふと現実社会に目を向けると、ロシア、欧州、そして日本などの誰や誰に重なる。未来は必ず過去にある。「不安定という安定」を見いだすのはどこの誰なのだろうか。