ミザリー

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163115900

作品紹介・あらすじ

雪の山道のスリップ事故で、半身不随になった流行作家ポール・シェルダン、気がついてみると「ナンバーワンの愛読者」と称する、元看護婦の狂的ファンの家で2人きり。監禁状態のなかで、自分ひとりのために新作を書けと脅迫される…。密室の異常心理恐怖のサイコ・スリラー。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいる間は怖くて怖くて、後半は途中でやめたら寝つけないと寝不足覚悟で一気読みした。
    なのに、読後感は「愉快なものを読んだ」という気持ちで、とても不思議な感覚だった。
    面白かった!
    アニーも怖いけど、ポールの自己評価と世間の評価の差が一番怖かったな…。

  • 小説を書き上げた気晴らしのドライブで事故を起こして、たまたま熱狂的なファンに介抱・監禁されファンが好きな作品の続編を無理やり書かされる話
    「モダンホラー」と呼ばれるジャンルは(特にキング、クーンツあたり)はやはり翻訳モノ初心者には厳しいような気がする。
    何故かという独特な言い回しや例えが多く、恐怖に狂っているのか現実か妄想なのかを楽しめるかどうかにかかっている。しかも時系列まで捻られたら厳しいかも…
    でも、二章あたりから調子づいてきてまあまあ読み進める。体力の弱っている主人公に同調したのか、私自身風邪をひきつつ読む「痛みがわかる」なんて行ったら「お前は痛みなんかわかっちゃいない!」と登場人物や作者に怒られそうではあるが、朦朧としながらも読了
    単に怖いだけでは無く
    物語を作ることが生死に関わり、話の中に物語の仕組みについても触れられるので、本を読むものなら是非一度挑んで欲しい。
    あと映画見てないのに何度も顔が浮かんだ…キャシー・ベイツ怖い。

  • 数年ぶりに。
    熱狂的なファンで、精神異常者であるアニーの人物像によって支えられた小説ですが、構成がとても気に入っています。

    「ミザリー」という架空の作品を捨て去りたい作家の心情と、それを熱狂的に愛するファン。皮肉にも、最低最悪の状況下の中で最高傑作が生まれるプロットとか、「ミザリー」が主人公の命綱になっているところとか・・・。
    キングのストーリー展開のうまさに舌を巻いた作品です。

    一度目に読んだときよりも、人物の心情を丁寧に読み取れた気がしてます。
    アニーにしろ、ポールにしろ、「こういう人物だ」というような動かし方をせずに、流動的な感情の揺れ方を丁寧に描いていると思います。
    アニーを単なる精神異常者、恐怖の対象としてではなく「こういうふうに人間はねじ曲がって狂ってしまうことだってあるなあ」と思わせるような生々しさみたいなものがあって、その点がこの小説を不動の名作にしているのかなあと思います。

    忘れたころにまた読みたいな。

  •  怪我をして山奥の小屋に運び込まれた小説家が、精神を病んだ女性に閉じ込められて小説の続きの執筆を強要される物語。登場人物は少なく、映画ならばキャスト代は非常に安上がりにすみそう。ジャンルとしてはサイコスリラーということになるのだろう。有名な小説なのだろうと思うが、やや長くて単調なようにも思う。なかなか怖そうで、映画はあまり観たくない、良い作品かもしれないがとても怖そうなので。

  • スティーヴン・キングを読んでみたいとおもってこれを今回読んでみた。

    ITとかシャイニングと違って超常現象とか幽霊的なの出なそうだから怖くないかなと思って読んだけど結果的にめちゃくちゃ怖かった。
    怖いし痛いしヒヤヒヤするしグロくて精神的に落ち込む。
    でも、続きが気になって「ウワー痛い痛い!気分悪い!!」って思いつつどんどん読んでしまう。
    やっぱりそこは作者のすごいところなんだろうなぁと。

    すごい面白かったしこんなに一気に読んだ本も久々だったけど、じゃあもう一回読みたいかと言われると絶対読みたくないなと思っちゃう、そんな本だった。

  • 映画を子供の頃に見ていたので筋は知っていましたが、それでも本は面白かった。映画のミザリー役の人半端ないですよね。

  • 狂気の本。
    最後の方、続きが気になって途中で読むことを止められず、深夜に読み終えてしまったことをひどく後悔しています(笑)
    正直、ここまで怖くなくて良かった(笑)ホラー映画を観る感じなので、その類がお好きな方には合うかもしれません。
    邦訳が微妙で、読みづらいところが多い気がしました。

  • 初めて知ったのは中村うさぎの『家族狂』という本の中だった。
    様々なメディアでサイコホラーの古典と言われているのが気になったことと、キングの魅力は全作品を読破しないと分からないという決心とで読み始めた。これは当たり。これは怖い。無事であってほしいと、読了まで主人公が助かることを心底祈った。やっぱり古典に間違いはないらしい。後に続く多くのサイコホラー作品に影響を及ぼしているのが分かって、より色んな作品が楽しめるようになった。
    一貫してリアルで、読み終わった後にまで毛がそそけ立つ感覚を残しながらも、一筋の光が見えて爽やか(?)だった。

  • 怖いという評判はかねてから聞いていたが、読んでみるとイメージとは異なっていた。良い意味で。
    まずアニーの人物像。最初は好感の持てる、少なくとも普通の人に見えるファンが次第に狂気をむき出しに…という話だと思っていたのだが、実際は小説冒頭で、主人公が自分の境遇を理解する以前から厭うべき相手として描かれている。むしろ中盤以降、異常さのすでに明らかなアニーが意外に的確な批評眼を持っていたり、虐待している相手をファンとして尊敬のまなざしで見る場面があったりと、複雑な描き方をされている。
    また主人公が、異常な状況ながらも、次第に本気で執筆に取り組み始めるのも予想外だった。産みの苦しみと、その果てにたどり着く「ポールは彼女がそこにいることにも気づかなかった-事実、自分自身の存在すらも意識になかった」(p195)と表現される三昧境は、おそらくモノ書く人だけが味わう業と至福なのだろう。
    異常と好意が予測不可能に混ざり合った人間。逃げたり憎んだりする受け身だけでなく、その状況の中で一種の自分だけの至福を構築してしまう人間。両方の心理が、味わい深い恐怖を作り出す。
    作中小説のタイプ文字がだんだん欠けていく演出。異常さの深まる様子を、見た目で表している。翻訳・校訂等本づくりに関わった人は大変だっただろうな。

  • 映画よりかなり怖い。

  • '98.2読了。
    当時、映画鑑賞後に原作を読んだので、キャシー・ベイツにうなされて恐怖倍増。

  • 小説家が交通事故で足を負傷したところを、彼の熱狂的ファンの女に監禁され、新作の執筆を強要される話。情緒不安定で次に何をされるかもわからない相手に生殺与奪権を握られた中、脱出に向け、どこまでバレているとも知れない企てをする恐怖!

  • グロかった。

  • こ わ す ぎ わ ろ た

  • お気に入りの小説の続編が書かれないことに執着するアニー。
    その小説の著者の身体を切断してまで、続編を強要する。
    その著者である作家・ポールはアニーを恐れながらも、何処か甘んじている。

    ほとんど密室で行き過ぎたファンであるアニーとアニーに乗っ取られる作家で物語は進む。

    アニーにしてもポールにしても、その異常さに「なぜそこまでするのか」と思わざるをえない。

    ポールの場合、冒頭で子供の頃の記憶を思い出している。母との関わりが、意図せず「ミザリー」という小説を産み、無意識という『密室』にとじこめられた『母への恐怖』がアニーをひきよせ、『母との関わり』を再現してしまったのではないか。

    アニーにおいては、ポールという作家の個性、「ミザリー」という小説の中身に、自身のトラウマをひっかく何かがあったのだろう。
    彼女が異常性をもってポールに関わっていく事は、やはり冒頭の、彼女がポールに人工呼吸をした際の恐るべき臭いが予告している。

    ポールとアニーに共通するのは、お互い以外にやりとりする人間関係が無いのではないかと推測されることだ。
    普通、ビッグネームである作家なら休暇中であろうと担当編集者が常に連絡を取っていると思うが、なぜかこの小説にはその気配は殆ど感じられない。
    アニーもその背景となる人間関係が浮かんでこない。恐るべき臭いを発する偏食もそこに端を発しているのだろう。
    それゆえに、この二人の人間関係はこうも恐ろしくからみ合ってしまったといえる。
    誰か他に関わる人がいれば、こうならなかったかもしれない。

    「JOJOmenon」にて、荒木飛呂彦氏は「ミザリー」についてこう語っている。「そこには極限の狂気を描いたホラーがあり、男と女の歪んだラブストーリーがあり、書かせる人と書く人の不思議な人間関係があって、その3つが合わさってひとつのシンプルな話になっているところがすごいと思います。」

    私達ならば、この小説から何を学ぶのだろう。

    狂気と正常、ホラーという枠を取り払って、もっと抽象的に見るならば、すべては人との関わりで出来ている、ということだ。

    その関係を、相手を追い詰める脅迫ではなく、自由やいたわりで築きたいなら、読者である私達は、自分自身の中で「今」何を変えるべきだろうか。
    その問いへ行き着かないと、何かの拍子に、アニーほどではなくても、相手を追い詰めることをやりかねない。

    この物語は、そうならないための教訓とみたい。

  • 原作をベースにした映画は見たことがあったが、今回初めてスティーブンキングの本を読んだ。前半は話がダラダラと進み途中で読むのをやめようかとも思ったが、中盤以降の展開がハラハラドキドキで結局最後まで読んでしまった。特に、好きだったのは主人公が現実と妄想と創造の間をいったりきたりする描写で、このように上手に表現している人は初めて。でも、容赦のない気持ちの悪い場面が読んでいて辛かった… 次に読むならもう少しソフトな方がいいかな。

  • 全部読んだことはなかったような・・・。映画も全部見たわけじゃなかったような・・・。
    そんな感じだったので、暇にまかせて読みました。
    面白かったけど、小説中に出てくる小説は結構読み飛ばしてしまった。

    最悪の結末じゃなくてよかった。

  • スティーブン・キング『ミザリー』読了。原作をちゃんと読んだの、初めて。分厚い本のほとんどがたった1部屋の中で起こっていることだというのに、この飽きさせなさはなんだ!訳者が違ったらどう雰囲気が変わるだろうという興味あり。とてもあり。

  • 初めてのサイコホラーでした。
    不可思議な現象が起こるわけでもないし、物語の舞台はほとんど一貫して同じ部屋なのに、そこで起こる出来事(というより、人物の心)がすっっごい、怖い。そんでもってエグい。月並みな言い方しかできないけれど、本当にトラウマになりそう。どう足掻いても理解できそうにないアニーの狂気とか、段々と腐敗していくポールの自我がものすごくリアルで、震え上がりながら読みました。人間って怖い。あまりに凄絶で、読んでいると何ともないはずの手足の神経が痛む気さえする。

    ただ、昔の作品なので仕方ないと言えば仕方ないんですが、台詞回しなどの言葉遣いにどうにも違和感が…

  • たしか20年くらいまえに映画化されたことが話題になってて、まだひとり暮らしをしているころにテレビの深夜放送でその映画版を観たことがあると思うのですが、そのときは途中で寝てしまったかなんかで内容をあまり記憶していませんでした。
    「あー。そういえばずっとまえこんな映画もあったなー。」っていうカンジで読みはじめたのですが、モノがホラーなので、私には表現がエグすぎて、コワいというよりキモチ悪かったです。
    たぶん借りた本じゃなかったら途中で読むのをやめてるホド。
    あと。ハナシを引っぱりすぎの感がアリ、ホラーを受け付けないことも手伝ってか、ムダに長い気がします。
    正直、この半分くらいのページ数でイケんじゃね?
    まあまあ。
    「この先はどうなるんだろう」っていうカンジで読ませてはくれるので、こういうキモチ悪いのがお好きなかたにはいいと思います。

    http://blueskyblog.blog3.fc2.com/blog-entry-1438.html

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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