螺旋階段のアリス

著者 :
  • 文藝春秋
3.48
  • (24)
  • (57)
  • (111)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 375
感想 : 66
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163196800

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 謎解きが簡単

  • (収録作品)アリスのいない部屋/螺旋階段のアリス/裏窓のアリス/中庭のアリス/地下室のアリス/最上階のアリス/子供部屋のアリス

  • 初読の加納朋子作品。日常にありそうな小さな事件の詰め合わせの短篇集。どの作品も優しいストーリー。その中でも「最上階のアリス」が一番好き。やや無理やりなところもあるが時々出てくる不思議の国のアリスや鏡の国のアリスを読みたくなった。 
    他の加納朋子作品も読んでみようかな。

  • 時々意味がよくわからないくだりがあったりする・・・

  • 短編集。チョットメルヘンチックはキャラは面白いが、なぞ説きの点では
    ものたりない。この人の力量は、長編を読まなければ分からない。

  • 30年勤めた会社を辞め、念願の探偵事務所をひらいた仁木のもとにやってきた押し掛け助手の美少女安梨沙。2人のもとにやってくる依頼とは。七つの物語

  •  登場人物を『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』に準えたミステリ。

     会社員から心機一転、私立探偵となった仁木のところにやってきた、不思議の国のアリスのような少女。可愛くて、謎めいていて、それでいて機転がきく不思議な女の子。そんなアリスこと安梨沙を探偵助手にスタートした仁木探偵事務所が出会う、現実の中に見る『不思議の国のアリス』に準えた依頼人たち。

     「螺旋階段のアリス」では、離婚したり結婚したりを繰り返して、離婚している間に夫を亡くしてしまった夫人からの依頼。安梨沙が見付けた、夫が残したものは、提出されていない離婚届たち。
    「何かというと、『この者の首をはねよ!』と命じるハートのクイーンは、おそらく知らなかったのだ―首をはねられた者が、それっきり死んでしまうということを。」
    離婚は<夫婦間のゲーム>と言っていた夫人。それをちゃめっけたっぷりに、「お前のはねてきた首は、どっこい、ことごとくつながっていたんだよ」と示す夫。目が覚めたかな?とちょっと皮肉に、でも愛情を込めて遺された物たち。

     「裏窓のアリス」では、髪を紫色に染めたマダム・バイオレットからの依頼で犬を探す事件。変わらない家庭内風景、打も死なず何も欠けることなく進む時間。
    「美しいもの、愛しいものはすべて。永遠に同じ姿のままで彼女りそばにうる。」
    愛する彼女のために、彼女をそんな不思議の国に送りこんだ夫の死だけは、誰にも補われることなく、そして彼女が唯一失ったものとして受け入れているもの。

     「地下室のアリス」では、地下で行われている不正行為に怒った地下室の王様からの依頼。会社という自分の居場所全体を潰すのではなく、あくまでも自分の城だけは汚れない姿を保っておきたい…そう考えた王様が、お使いにやってきた「トカゲのビル」を静かに追い払ってしまうお話。

     「最上階のアリス」では、妻にお使いを言いつけられる旦那が、ふと疑問に思ってその理由を探偵に探らせる。秘められたのは偶然を装った殺意。その殺意はどこから?自分が先に死ぬか、夫が先に死ぬか。幸せになる方法を探して殺意を秘める。

     「子供部屋のアリス」では、産婦人科医にベビーシッターを頼まれる。赤ちゃんは一日おきにくるくる変わる、いろんな不調を起こして…。この子はどこの子、この子は一人?トイードルダムとトイードルディーの二人の子。二つの愛情を欲する塊は、これから?

     「アリスのいない部屋」ここで探偵助手安梨沙のお話。自分の物語を始めることにした彼女の決断と、探偵の決断。

     どのお話も、依頼人たち不思議の国のアリスの住人たちに準えてあって、依頼人たちが語るのは不思議の国の出来事のよう。それでも謎を解き、自分も不思議の国の扉を開け踏み込んでみれぱ、そこにあるいっぱいの愛情とどうしようもない皮肉に魅惑されてしまう、そんな一冊。

  • 元サラリーマンの探偵と、謎の美少女(主婦→バツイチ、自称)の凸凹コンビが繰り広げる、ほんわか暖まる連作短編集。


    探偵っていうからてっきり推理小説だと思ってウキウキで借りたんだけど。
    うん。推理小説、なんだけど……。
    全体的にこじんまりとした印象、かなぁ。
    まぁ、小さい事件って作中で主人公も言ってるし、その通りなんだけど。
    ほんわかあったかい気持ちにはなれるけど、謎解きがいつも簡単すぎて肩すかしをくらう感じ。
    全体的に印象に残らないものも多いし、うーん……。
    スイスキャロルのアリスシリーズとかけてるのも実は苦手だったり(不思議の国のアリス、一度読んだことあるけどあんまり私にはハマらなかったので)

    あ、でも「最上階のアリス」はちょっといい話だったなー。
    そういう夫婦愛もあるんだなぁって思った。

  • 大手企業のサラリーマンだった仁木順平は、転身退職者支援制度に応募して、私立探偵事務所を起こした。明智小五郎やホームズのように、難事件を華麗に解決して行く自分の姿を夢見ていた仁木だったが、実際は仕事の依頼のない不安なスタートを迎えていた。
    そんな時、事務所に市村安梨沙と名乗る美少女がやって来て、探偵助手になると言い出した。困惑する仁木だったが、その直後、最初の依頼人が訪れた…。
    仁木の元に持ち込まれる事件は、どれも日常的で、それぞれの依頼人の夫婦の有様を浮かび上がらせる。ほほえましさが溢れる(ゆえにちょっと物足りない?)連作短編集。

  • 2012/07/05読了。ななつのこ以来の加納さん。とっても優しく穏やかなお話です。アリスが好き人や、穏やかなお話が読みたい人にはお勧め。個人的にはちょっと物足りなかったかな。

全66件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加納朋子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×