デッドエンドの思い出

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  • 文藝春秋 (2003年7月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163220109

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デッドエンドの思い出の感想・レビュー・書評

  • いい本です。
    今、苦しさの只中にいて、「頑張れ、頑張れ」と力強く励まされるよりは
    隣にすわって肩をぽんぽん、と静かにたたいてほしい人。
    ビュービュー空気をかき回すハイテクエアコンの温風ではなくて
    小さなろうそくに灯った炎で、ゆっくり心をあたためたい人に。

    目次の隣の頁に、ドラえもんの腕時計の写真が載っているのですが
    私は幼いころ、同じ年頃のお友達ほど、ドラえもんが好きではありませんでした。
    『赤毛のアン』とか『若草物語』が大好きな、西洋かぶれの女の子だったからかもしれません。
    でも、大人になって、今、この本を読んだあとに
    ふすまの前で寛ぐドラえもんとのび太を見ると、なんだかしみじみと涙がこぼれます。
    ささやかな普通の暮らしの中で、寄り添って生きる幸せが溢れるようで。

    収録された5つの短編を、よしもとばななさんはあとがきで
    「どうして自分は今、自分のいちばん苦手でつらいことを書いているのだろう?」
    と思いながら書いた、つらく切ないラブストーリーばかりです、と綴っているけれど
    私には、包み込まれるような、温かい印象が残りました。
    つらい出来事が起こっても、そっと傍に来て思い遣りに満ちた言葉をくれる人がいて
    沈み込みそうになる主人公の心を揺るぎない日常に引き戻そうと
    突拍子もない行動に出る人がいて。
    男とか女とか、大人とか子供とか、そんなことは関係なく
    大切な誰かと、ただ寄り添ってこつこつと生きるのが、どんなに尊いことか。

    出産を控えての執筆だったというよしもとばななさん。
    新しい命を迎えるために、つらい記憶を物語の世界に解き放ち
    空いたところにきれいな空気をいっしょうけんめい吸い込もうとしているような一冊です。

  • 少し前に観たグレーテルのかまどの「よしもとばななのロールケーキ」の題材がこの小説に収録されている「幽霊の家」で、懐かしいと思って10年ぶりに本棚から出して読んでみました。

    よしもとばななさんの小説に出てくる登場人物って、普通の人に見えるし実際普通の生活を送っているのだけど実は過去に特殊な経験をしているっていうパターンがけっこうあって、その悟りを開いたかのような人物に傷ついた主人公が癒されていくお話が多いと思う。
    それで、それを読んでいる自分もいつの間にか癒されている。意識していなかった過去の傷に優しく触れられているような。

    失恋だとか、人との関係で傷ついたりして、でもその傷を癒してくれるのもまた人だったりする。
    描かれているのはそういう普遍的なことだけど、何が自分にとっての幸せなのかを考えたり気づいたりするのって、傷や挫折から再生するときなんだなと改めて思った。普遍的だからこそ、そう思えたのかもしれない。

    自分が深く傷ついたとき、自暴自棄になって自分を大切にしていなかったかもしれない、という過去の経験があるのだけど、その頃のことを思ったとき、無理に自分を動かしたところで傷が癒えるわけもなくて、時には思い切り弱音を吐いて休むことも必要なのだと、この本を読んで思った。
    忘れて乗り越えたつもりでいても、実はずっと引っかかってることも、たくさんあるのだと思う。
    そういう様々なことが、人との出逢いでふっと解ける瞬間があって、この小説にはそういったことが描かれている。

    時を置いての再読はやはりいいものだと思いました。
    10年前の私は、どんな風にこの小説を読んだのだろう。

  • どのお話も切なくて、あたたかい気持ちになれる短編集。
    冒頭の『幽霊の家』が特に好きでした。
    時間を置いて読み返したい素敵な小説でした。

  • 大学の同級生である男女の出会いと別れ、そして再会に、普遍的な人生の営みを重ねた「幽霊の家」。会社を逆恨みする男によって毒を盛られたカレーを社員食堂で食べてしまった女性編集者の心の動きを描いた「おかあさーん!」。小説家の「私」が子ども時代に実家のある街で体験した男の子とのせつなく甘美な時間を回想する「あったかくなんかない」。そして、同じビルに勤める旅の雑誌を編集する男性への5年間の思いを実らせようとする女性の思いをつづった「ともちゃんの幸せ」など、痛苦に満ちた人生の局面にそれぞれのやり方で向かい合う女性主人公の姿が肯定的にとらえられている。

  • よしもとばななの本を読んでると無条件に泣きたくなる。
    この人、あるかななしかの淋しさを描くのがうますぎる。
    5編入りの短編集。
    「おかあさーん!」が一番好きで、次が「デッドエンドの思い出」かな。何れも切ない恋愛小説でした。

  • なんかよくわかんないんだけど、いつのまにか手に取っていて、気づいたらそばにある本、っていうのが私にはあって、その、妙に縁がある本の一つが、こちらです。

    さらっと読めるし、さらっと忘れちゃうんだけど(笑)、内容が薄いというわけではないです。
    あ、この感覚ってこういう風に表現できるんだ、って発見の連続でした。
    だけど、その感覚っていうのが、何かの真実とか、正義とか、そういうちゃんとしたもの(?)じゃないので、物足りない人にはそうかもしれません。

  • 作者があとがきで言っているとおり、これは「つらく切ないラブストーリー」の集まりです。実際、私も「つらいなぁ」としみじみ思いながら読んでました。でも、つらいだけじゃなくて、ちゃんとしあわせも入ってるから気持ち良く読めるんだろうな。

  • すべて、ちょっと切ないものがたり。
    でも最後は切ないだけで終わるのではなくて、
    少しだけ前に向いていける、少し輝くものが見つかるような、
    ”切ないけどいい思い出になる”ような物語でした。

    きっと誰しもこんな思いを経験して、大人になっていくんだな。。。
    と、自分の人生や経験にも少しだけでも共感できる部分が
    ちりばめられています。

    読み終わってきゅんとする、
    すてきな本でした。

  • ただただ途方もなく限りなく、
    未来へ続く、幸福で満ち満ちている本

    幸せとは何か、幸せをひとつの形として認識できる本。

    短編集ですが、
    「デットエンドの思い出」
    「おかさーん」
    が好きです。

    穏やかで静かで幸福でイチョウの木なのです。

  • 日本人はあまりセックスをしないと言われているのに、どうして小説では頻繁にその描写が出てくるのだろうか。

  • 表現のしかたや言葉の選び方が素敵。
    切なくて、でもほっこり温まるような。
    心が疲れた時にまた読んでみたい。
    そんな時こそ今よりずっと深く沁みて助けになってくれそうな小説だった。
    表紙も綺麗で素敵だったな。
    よしもとばななさんの作品は初めてだったけれど、他の作品も読んでみたいと思った。

  • 再読。
    表紙の強い印象と各話のなかで描写される銀杏の紅葉がリンクして、この季節には読み返したくなる。
    特に表題作は自分にとってとても大切な作品。
    自分の背骨のような、人生で大切にしていることだけれど、
    たまに「これでいいのかな?」と迷った時に「いいんだよ」と肯いてもらえるような。
    他人から見たら小さな世界で同じことを繰り返す日常でも、心は無限なんだよ・・・というような。

  • なるほどねー。この雰囲気が「吉本ばなな」なわけね。
    二作目でようやく理解。
    読み始める前は、芸人だと思ってたわけだし、かなりの進歩かな?自分的に。
    どうやって言えばいいんだろう・・・大学入って、結構気が合うけど彼氏にはならないだろうなー、って思考を膨らめつつ男の子と二人っきりで人生なんてマッタリ語っちゃってる感じ。
    不思議と結ばれるカップルにも当てはまる、この不思議な男女間。
    そう。それが「吉本ばななの世界」。

    ちなみにこれは短編集。
    短編集のほうが合ってるかな、自分には。
    このペースで長編やられると、「山はまだかー!谷はまだかー!」って気持ちになっちゃうし。残念ながら。

    幽霊が出るおんぼろアパートに住む、ロールケーキ屋の息子、岩倉君と、近からず遠からず、上記の付き合いをする洋食屋の娘、せっちゃんの話の「幽霊の家」。ちなみのあのマッタリ感は、幽霊であるおじいちゃんとおばあちゃんの長年連れ添ったマッタリ感でもある。
    社員食堂で偶然毒を盛られて、療養中死んだ父とかネグレクトの母とか溺愛してくれた爺ちゃん婆ちゃんとか、人の良縁とか悪縁とかを何となしに思う女性の話、「「おかあさーん!」」
    名家の息子をうらやむみつよちゃんと、凡家をうらやむまことくんの話、「あったかくなんかない」
    恋人のいる人を好きになり、オクテにと言うか純粋にと言うか、とにかくストレートに陰からこっそりと小さな幸せを噛み締めるともちゃんの話、「ともちゃんの幸せ」。この中では比較的面白くなかったです。
    婚約者に裏切られて、傷心(?)ホームステイ中、バーテンの天然系男の子と上記みたいな風になる「デッドエンドの思い出」。

    連続して読みたくはないけど、血みどろドロドロのミステリーに疲れたら読んでみたいジャンルに決定!

  • 著者自ら最高傑作と言ってのけた作品。
    装丁のデザインが強く印象に残っていたことや、よしもとばななという作家の作品が未だ未読であったことから、ふと立ち寄った図書館で借りてみた。
    「デッドエンドの思い出」というタイトルが示す通り、全ての物語が悲しく辛い雰囲気を醸し出している。しかし、一方では透明性があり、光を紡ぎ出すような文章の繋ぎ合わせこそがよしもとばななの特徴であると感じた。

    色のある小説。そんな風に言えるかもしれない。黄色、白、時にはピンクや水色も混ざり合い、全ての物語の根幹は黒や灰色であった。それもドス黒い場面もさらっと描かれていた。

    著者自身があとがきで述べているように、敢えて悲しいストーリーを並べ、それを読者に真っ正面から向き合い感じてほしかったのだろう。色の話に戻るが、白と灰色、黒の調合によって出来上がった小説であり、何だか全体に渡って秋の季節を連想させる切なさ、侘しさに満ちていた。これがよしもとばななの文章なんだなと。彼女に対して抱いていたイメージとあまり差はなかったので、何だかホッとした。

    肩の力を抜いて、散歩しよう。
    そんなことを思わせる小説。

  • 「これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。
    これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。」
    と著者が語っている本作品は
    5つのラブストーリーを収録した短編集。

    暗い「人生の影」の部分も多く差し出されているのに、
    読み終わってみれば、どの作品も
    白い温かな救いの手が差し伸べられていたような、
    一筋の「希望の光」が差し込んでくるような感触がある。

    表題作の「デッドエンドの思い出」もいいけれど、
    私は「幽霊の家」が一番好きかな。
    読み終わった後、気持ちがほんわかする。

    「おかあさーん!」「ともちゃんの幸せ」
    「デッドエンドの思い出」は、辛い体験をして
    心に傷を負った人の「再生の過程」を描いた物語で、
    著者がよく取り上げる題材であるが、
    これらの短編小説でも長編小説を書く時と同じように、
    主人公達の心の動き、揺れ、
    変容する「心の形」を丁寧に描写している。

    短編長編関係なく、繊細な言語表現を使いながら、
    人の心の機微を緻密に描き出せる点が
    私は彼女が上手な作家だなと思う所以である。

  • 短編集。
    作者が透明な、混じり気のない心で、真摯に言葉を選び産まれた作品ばかり入っている。
    あとがきにて、表題作「デッドエンドの思い出」が今まで書いた作品の中で一番好きで、この小説集のゲラはばかみたいに、泣かずに見る事ができなかった、との言葉。
    一作目「幽霊の家」を読み終え何かを感じ、二作目の冒頭を読んだ時からこの本は作者にとってきっとそんな作品に違いないと確信して読み進めた。勝手で一方的な感情だが、あとがきを見てこの言葉を読んだ時のカタルシスは言葉にできない。
    でも、あとがきで作者がなんだか「こんな本にお金を払わなきゃいけなんだと思われているかも」という旨を書いたりするのもわかる。
    そう、文学的な傑作ではないのかもしれない。(あとがきの言葉はつらい話ばかりだから、という意味だと思うけど)
    けれど私も読みながらばかみたいに泣いた。割とつらい話ばかり入っているが、悲しくて切なくてうわああああとなったのではなくて、暖かい大事なものに触れた時に出る涙がぼろぼろみっともなく出た。たぶんそんな涙の成分みたいなもので出来ている本だ。そんな本あるか、と言われそうだがそうとしか言い様がないのだから勘弁してほしい。

    あまりにも良く出来ていて、話の解説だとか、いちいちの感想とかは蛇足と思うけれど、一応レビューなので箇条書き感想。

    ・二つ目の作品"「おかあさーん!」"が一番好き。何だろう。ばななの持つ切なさとか少し不思議な家族構成の登場人物とかの集大成でありつつ、それに加えてスリリングな、エンターテイメント的な面白さがある。事件や事故を心底恐ろしいと思い、はらはらしながら読み、彼女の深淵へと現在へ至る過程、そしてあの健やかさにドキドキした。こんなにのめり込んで読んだ話は久しぶり。

    ・終始泣いて読んだのはやっぱり"デッドエンドの思い出"。そして作品名としても、この本の名前としても秀逸すぎるタイトル。完璧。

    ・全体的に同作者の短編集"とかげ"にテーマが似ていると思った。(甲乙つけ難いのだけれど、私がばななで一番好きな本はとかげ)。ただ、あちらは薄暗くて、いい意味で浮世離れしているのだけど。というかばなな作品はその浮世離れさがいい!みたいな感じだけど、この作品は暗さはさほど感じさせず、もの凄く現実味というか説得力がある。いや、こんな男子はぜったいにいないぞー、と相変わらず思うのに。っていうかもうこの作品では男子じゃないような…。以前まではかろうじて男性であったばななの男性登場人物はこの作品では、もう男性でも女性でも人間でもない様な透明なものに進化を遂げてしまった。何て事だろう。

    ・とかげの作品は違う場所で生きる事を決めた人たちの話だった気がする。この作品の主人公達は、変わらない場所へ、しかし、一時の信じられない様な出来事の後に、戻るのだった。ともちゃんは、きっとどこにいても変わらないんだろう。大事なものを知っているから。


    絶対にばななしか書けない本でありながらばななが苦手な人でも読める気がします。

  •  ほっこりした読後感が素敵な短編集でした。
     なんというか、ものすごく痛くて辛いことを描いているのだけど、どの話も最終的に向かってゆく結末が肯定的というか。
     時間をかけて自分を見つめて、周りのひとに支えられてゆっくりと再生する主人公たちの姿が、あたたかくて心に沁みました。

  • 傷ついても、前向きに進む気持ちは、自分の価値観にあっているのですっと読めた。弱いけど、強い。人間ってやっぱり素晴らしい。

  • 2017年2月10日読了。
    どの物語も苦しかったけど、ちゃんとあたたかみがあった。ドラえもんの話は、本当に同意する。

  • 決められた将来にたいする思い、将来結婚することになる、岩倉くんの家にいる幽霊の夫婦。

    社食に毒をもられ、一命はとりとめたものの、
    それを機に自分の両親について思ったこと。

    優しかったまことくんの悲しい一生と、
    短いながらも彼と一緒に過ごせた濃厚だった思い出。

    鈍感なのか、もしくは悟りの境地に達するともちゃんが好きになった人。

    婚約していた人に裏切られ、
    傷心のミミが西山くんと接していくうちに
    自分を取り戻していくまで。

    西山くんが言う「モノの見方がパターン化している人」っていうのが、ほほうって感じ。

    著者特有の、
    目に見えない巡り合わせみたいなものの積み重ね的な感じ
    ときどき心に染みて、ときどきイライラする。

    デットエンド、吐き出して浄化、だね。

  • 読んでいて切なくなるけれど坦々としていて冷静でもいられる。

    C0093

  • 今の気持ちにぴったりはまる小説を読めて嬉しい。全然泣くシーンなんかないのにボロ泣きしてしまった...情緒不安定なのかな...。「幽霊の家」も「おかあさーん!」も読んだことがあるような気がしたんだけどセンターの問題集かなにかに載っていた気がする。
    「幽霊の家」が一番好きなんだけど、こういうふうにじゃんじゃん本を読んで理想の恋愛の形ばかりが積み上がっていくからいつまで経っても彼氏できないのかな...と思ってしまう。理想ばかりが高くなる...。

  • 平成28年9月25日読了

  • 切ない別れを著者独特のタッチで描く短編集。

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デッドエンドの思い出の作品紹介

人の心の中にはどれだけの宝物が眠っているのだろうか-。つらくて、切なくても、時の流れのなかでいきいきと輝いてくる一瞬を鮮やかに描いた5つのラブストーリー。

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