- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163220109
感想・レビュー・書評
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いい本です。
今、苦しさの只中にいて、「頑張れ、頑張れ」と力強く励まされるよりは
隣にすわって肩をぽんぽん、と静かにたたいてほしい人。
ビュービュー空気をかき回すハイテクエアコンの温風ではなくて
小さなろうそくに灯った炎で、ゆっくり心をあたためたい人に。
目次の隣の頁に、ドラえもんの腕時計の写真が載っているのですが
私は幼いころ、同じ年頃のお友達ほど、ドラえもんが好きではありませんでした。
『赤毛のアン』とか『若草物語』が大好きな、西洋かぶれの女の子だったからかもしれません。
でも、大人になって、今、この本を読んだあとに
ふすまの前で寛ぐドラえもんとのび太を見ると、なんだかしみじみと涙がこぼれます。
ささやかな普通の暮らしの中で、寄り添って生きる幸せが溢れるようで。
収録された5つの短編を、よしもとばななさんはあとがきで
「どうして自分は今、自分のいちばん苦手でつらいことを書いているのだろう?」
と思いながら書いた、つらく切ないラブストーリーばかりです、と綴っているけれど
私には、包み込まれるような、温かい印象が残りました。
つらい出来事が起こっても、そっと傍に来て思い遣りに満ちた言葉をくれる人がいて
沈み込みそうになる主人公の心を揺るぎない日常に引き戻そうと
突拍子もない行動に出る人がいて。
男とか女とか、大人とか子供とか、そんなことは関係なく
大切な誰かと、ただ寄り添ってこつこつと生きるのが、どんなに尊いことか。
出産を控えての執筆だったというよしもとばななさん。
新しい命を迎えるために、つらい記憶を物語の世界に解き放ち
空いたところにきれいな空気をいっしょうけんめい吸い込もうとしているような一冊です。 -
たまにこういう小説に出会えるから、読書っていいよなあって思われせてくれる本。
どれも切ない話だけど、小さな救いがあって、僅かに希望を感じられるところが、今生きてる日常にマッチしてて良かった。
2020.9.20 -
「キッチン」や「TUGUMI」の揺るぎもすごく好きなんだけど、この痛みは女性ならきっと知り得るもの。明らかな状況を重ねて共感するんじゃないのに泣けてしまう。ばななさんはそれぞれ女性の持つ心の襞を知っている。恋人を取られました、捨てられました、大切な人が死にました、どれだけ傷付けられても他人と離れることはできなくて、他人の力で回復していくしかない。
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どのお話も切なくて、あたたかい気持ちになれる短編集。
冒頭の『幽霊の家』が特に好きでした。
時間を置いて読み返したい素敵な小説でした。 -
「幽霊の家」と「デッドエンドの思い出」が特に好き。じわじわあったかくなれる一冊。
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胸に抱いていたもやもやが読んでいくうちにほぐれていって、じんと染み入るようだった。特に最後のデッドエンドの思い出には、自分は自分でいいんだと思える、心に刺さる台詞がいくつもあった。
情景の描写も美しく、この世界にずっと浸っていたいと思うほど。
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24/100冊目
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キッチンは設定が好きになれなかったけど、この本はすごくありそうな日常を掻い摘んだ話ばかりで引き込まれた。
よしもとばななさんの描写も好きだなって思った。
悲しいエピソードもふわっと丸く包み込んで消化させちゃう感じ。
自分たちは貧しさを感じずに生計を立てられる、結構相対的に見たら幸せな場所にいることを自覚していて、でもそれは恥ずかしいことじゃないよ、って、受けとめてくれる優しさがある。
人それぞれの感性に寄り添ってくれる、そんな本。 -
ただただ途方もなく限りなく、
未来へ続く、幸福で満ち満ちている本
幸せとは何か、幸せをひとつの形として認識できる本。
短編集ですが、
「デットエンドの思い出」
「おかさーん」
が好きです。
穏やかで静かで幸福でイチョウの木なのです。 -
五つの話
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再読。
表紙の強い印象と各話のなかで描写される銀杏の紅葉がリンクして、この季節には読み返したくなる。
特に表題作は自分にとってとても大切な作品。
自分の背骨のような、人生で大切にしていることだけれど、
たまに「これでいいのかな?」と迷った時に「いいんだよ」と肯いてもらえるような。
他人から見たら小さな世界で同じことを繰り返す日常でも、心は無限なんだよ・・・というような。
アンソロジーの中にあった『あったかくなんかない』があまりに素晴らしくて
この短編が収められた本は絶対読まなきゃ!と思って...
アンソロジーの中にあった『あったかくなんかない』があまりに素晴らしくて
この短編が収められた本は絶対読まなきゃ!と思って借りてきたんです。
もう、紹介してくれたアンソロジー、ありがとうー!!!
と声を大にして叫びたくなるような本でした。
ばななさんは、ずうっと前に『キッチン』と『つぐみ』を読んだきりだったんですが
円軌道の外さんが最も影響を受けた作家さんとあらば、より張り切って読まなければ!
薦めてくださった本、図書館で探してみますね(*'-')フフ♪
こちらこそ、これからよろしくお願いします(^O^)
おお!本の感想を語り合いたくて、ブクログにいらっしゃったんですね。
私も、同じ気持ちで去年の3月にブクログを始めたので、と...
おお!本の感想を語り合いたくて、ブクログにいらっしゃったんですね。
私も、同じ気持ちで去年の3月にブクログを始めたので、とてもうれしいです♪
益田ミリさんも、よしもとばななさんも、ニノミィさんの本棚やレビューを参考に
わくわくしながら開拓していこうと思っています。
本のことでおしゃべりしたくてたまらなくなったら
ぜひまた声をかけてください!
私もニノミィさんの本棚に、せっせとおじゃましようと思っているので(*'-')フフ♪