- Amazon.co.jp ・本 (705ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163230306
作品紹介・あらすじ
構想三十年!幕末から明治へ、キリシタン類族として生まれた若者を通して日本人の信仰と宗教を問う、著者初の長編歴史小説!!日本はなぜ神のいない国になったのか。
感想・レビュー・書評
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時間掛かるかなと思ったが、2日で読めた位、入り込んだ。
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まず、最初に。
「青い空」とタイピングしようとすると、どうしても「蒼井そら」と変換される件。
これはどうでもいいんですが。
700ページ超のボリューム。ハードカバーで読んだので、長時間の読書はつらい。
多分、上下巻に分ける選択もあったのだろうが、これはこれでいいと思う。
今どきの書籍は文字のポイント数も行間を大きいので、単純にページ数だけで測ることはできない。
著者渾身の作ではないだろうか。
久しぶりに腹に応える小説らしい小説を読んだ感じ。緻密綿密で面白い。ゆったりと身を任せる感じで楽しめる
海老沢泰久、まだまだこれからの活躍が期待された作家でした。
出身校は國學院大学。良くは知らないが、駅伝とかでよく出てくるのかな。皇學館と並んで神主さんの学校みたいなイメージ。
作者の出身校であるが、この作品の中でも、もっともシンパシィを感じるのは神道であると書かれている。
そのあたりもこの作品のポイントとなってくる。
隠れキリシタン及び棄教したものであるキリシタン類族を描き、時代に翻弄される主人公も類族である。
ボクは大阪府茨木市の出身。著者は茨城県出身。イバラキつながり。
それと、茨木市の北部はキリシタン大名で有名な高山右近が領主であり、隠れキリシタンの里。キリシタン資料館に良く行きました。
キリスト教の伝来から秀吉・家康による迫害。そして幕末の動乱へ。システムとして、そして国家のバックボーンとしての宗教を描きます。
中でも堕落した仏教に対しての描写は容赦ない。ちょっと一面的に過ぎるのじゃないかとも思うのですが、徹底的に僧侶が悪役です。
そして歪んだ神道も批判的。
なんか、一人キリスト教だけがピュアなの?
かなりファナティックで、解釈によるずるい側面があるとも思うが。
だからこそ、時の為政者に畏怖され迫害に拍車がかかったとも言える。
主人公は農民出身ながら、抜群に剣の才能がある。これは剣豪小説ではないので、それほど固執することもないが、そのあたりの描写説得力が弱いようにも思う。
その辺は瑣末なことで、本当によくできた小説であり、読後感も最高である。
必要ではあるのだが、時代の説明の部分は若干めんどくさいかな。早くストーリーの展開が読みたくて。これは仕方ない。
「坂の上の雲」にしても、余談と時代の説明がくどすぎてつらいし。
浅田次郎や和田竜のようなエンタテインメントではないが、こういう重厚な展開もいい。
満足度大。 -
一般的な日本人にはほとんど認識がない「キリシタン類族」を切口に、江戸時代におけるキリシタン弾圧と寺請制度の目的を記述し、腐敗堕落していった仏教の実態を描き出そうとする。
それと同時に、儒教による弊害や、国家神道へとつながっていく水戸学、大国隆正らの学派を一刀両断。日本古来の神道の精神を継承しながらキリスト教的生命観との共感性を体系だてていった本居宣長や平田篤胤らの思想を語り、日本独自の思想宗教がどこにあるのかを...
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「神とはなにか」「宗教とはなにか」
重いテーマの筈なのにジメっと感もなく読めまシタ。
私にとって身近な存在である長崎の切支丹のこともでてくるし
読み応えのあるお話でシタ。
ちなみにこれを読んで
勝海舟さんが好きに、桂小五郎さんが嫌いになりまシタ。
もしご子孫のかたがここの部分を読んでらしたら、非常に申し訳ないデス。
歴史上の人物って
どのサイドの視点からどう切り込むかで、まったくの他人に好き嫌いされてたいへんデスねぇ。 -
再読いたしました。 日本における現在の仏教の位置づけ、そして、神道に対する「お上」の態度。 仏教というのは、我が国にとって、異教であったということ、そして教義を持たなかった(持てなかった)神道の来し方を考えさせられます。 「葬式仏教」、なるほどなぁ…。
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土曜日一日で600ページまで読んで、100ページだけ残しておいた。読み終えるのが惜しかったからだ。歴史小説をこれほど堪能したのは飯嶋和一以来か。傑作と言っておこう。
<a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20080524/p1" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20080524/p1</a> -
最高。ここ何年かでもベスト3に入ります。