イルカ

  • 文藝春秋
3.40
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本棚登録 : 871
感想 : 174
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163247601

感想・レビュー・書評

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  • ばななさんの作品というよりも、ばななさんの日記かエッセイを読んでいるような感じがした。

    いのちだったり、理屈で説明のつかない不思議なできごとであったり、そういうものに対するとらえ方は理解できるんだけれど、この作品では、そういったものを日常で感じない人たちを上から目線で否定する感じがして、あまり気分がよくなかった。

    「これを赤ん坊の生命に乗っ取られていると考える人が多くても無理はないと思った。でも違う。生物としての自分に乗っ取られているのだった。」とか、誰かの感じ方を下に見ているように感じてしまった。


    プライベートで、そのような人たちとの対立でもあったのかな、と思わせるので、物語に入り込めず☆二つ。

  • 私はネイティブスピーカーではないので、小説をゆっくり読まないといけませんが、それには長所もあります。それは作家の言葉の選び方を注目せざるを得ないということです。「イルカ」でよく出てきた言葉は「淋しい」です。

    レビューには、「イルカ」は出産についての本だとよく書かれていますが、それより、「淋しい」独身の人が出産を通じて人との繋がりを体験し、人生においてある意味を見つける話だと思います。

    年をとるとお金を儲けて独立するのが大切だと思われていますが、やっぱり人を愛すことの方が大切だなぁとこの本を読んで思いました。

  • 島本理生のトークショーのときに、無記名の質問コーナーがあって、そこで気持が続かない的なことを言ったら「今イルカって本を読んでて、その主人公がそんな感じっていうか・・・」みたいなことを言われて読んだ本。

    つかみどころのないキミコさんのふらふらした感じが心地よい。
    その場その場だけど、出会った人を大切にして、でも独りぼっちで。
    人との出会いや、妊娠で、キミコさんのまま変わっていく感じが素敵だな~と思える。

  • 再読…今回も悪くはなかった、と思ったんですけれども、やっぱし著者があとがきで述べているように欠点というか、話の流れ的に少々納得のいかぬものが少しばかり散見されるな…と読後に思いましたね。いや、良かったんですけれども、基本は…

    ヽ(・ω・)/ズコー

    妊娠→出産、の流れを追っていくみたいな内容の小説でしたけれども、著者が実体験を元に書いているみたいな、そんな雰囲気・空気が漂う小説でしたけれども、だからこそリアリティが生まれるっていうか! 僕が再読したいなぁ…と思ったのにはそこら辺に理由があるのかもしれませぬ。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    これはばなな氏にとっては最近に分類される小説ですけれども…ばなな氏の作品は数え切れないくらいありますから、今作を割りと気に入った身としては遡るようにして著者の作品を読み漁っていこうかと思う次第であります…さよなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • テーマは生や性。決して軽いテーマではないが、私はどうもよしもとばななの文章は、響かないし、残らない。読んだ端から、静かに蒸発していく。けれど、嫌いではなく、さらりと読めて、良きも悪きにも、後に残らない。この作品も例外ではない。

    ◉私が私であるということは、なんとすごいことだろうと思う。

  • 妊娠中に再読。

    主人公の妹が言う通り赤ちゃんってフレッシュな存在なんだよねー不思議。

    妊娠、出産が物語の軸だからばななさんの他の作品より一層哲学的?スピリチュアルな雰囲気。

    この本を読むとつばめグリルのハンバーグ食べたくなるんだよなぁ。

  • ずっと暖かすぎず、眩しすぎない陽だまりにいるような気持ちになる
    自分のことと、他人のことと、ある程度客観的に見て考えられる能力がある人こそ一人でも「素晴らしい」になれるんだろうなあと思った
    この本が一番好きだと言える母、素敵
    私にはまだ早い気がした

    なんとなく、明確な理由はたぶんないけど人間失格と同じものがあるような
    環境やら感情やら、陽と捉えるか隠と捉えるか、を反転させたようなね

  • 主人公と周りの人々との関係がとても吉本ばななさんらしく、暖かいなぁと思いましたが、物語としてはふわふわとしたまま終わりました。

  • 久々にばななさんの長編小説を読みました。かつてほど、引き込まれなかったのが残念です。でも、ばななさんの本を読むといつも感じること、
    1.生と死は表裏一体であること
    2.幸せであるか否かは自分次第であること
    3.人は自然の中で生きている以上、自然の営みの一部であり、自分では思い通りにならないことは、何かしらあること
    が、この本にも感じられました。

    私が記録しておきたいと思った箇所。[more]
    「 スーツ姿でピンクのスリッパを履いて面会に来た彼はなんとなく間抜けに見えたけれど、いやおうなしにお父さんという生き物に変わっていた。私はそこに自分の父親の残像を見たし、きっと彼も私を見て自分の母親をどこかしらで思い出しただろう。そのどこかしらおっぱいとか赤ん坊をあやしている声とかではなく、襟元の匂いとか、しわしわのパジャマの感じとか、きっとそういう体の記憶として思い出すのだ。
     そうやって代が続いていくことを否応なしに知るのだ。」

    自らが出産したから、このような本も書くようになったのでしょうか。
    なぜ、出産したぐらいのときから、ペンネームが「よしもとばなな」と全部平仮名に変えた理由がwikiを読んで分かりました。子供を命名するときに自分の姓名占いもしたのですね。

    何か、かつてよりばななさんの本を必要としていない自分が淋しいな。リア充だからなのか、自分が老けたからなのか。。。。

  • 2018/09/30
    妊娠したので、再読。
    イルカ見に行こうかな。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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