風に舞いあがるビニールシート

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163249209

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの森絵都さん。宇宙のみなしご以来、約一ヶ月ぶりです。久しぶりに読んだことない森絵都さんの本を見つけたのでついつい吸い込まれるように手に取っていました。
    風に舞い上がるビニールシートというタイトルも気になりました。読んでみると六編の短編集でそれぞれの世界観どれも良いもので面白かった。

  • 少し内容が難しいなと感じるものもあったが、
    「器を探して」は続きが読みたいと思う短編だった
    ⭐︎⭐︎⭐︎
    あまりにおいしいものと出会うと、弥生は泣きたくなる。
    生まれてきてよかった。

  • 6編の短編からなる短編集。最初の「器を探して」「犬の散歩」を呼んだ後、「風に舞いあがるビニールシート」までとばしてしまった(正直あまり刺さらなかったので)。
    ただ、「風に舞いあがるビニールシート」には考えさせられた。難民問題に向き合う夫とその夫を心配し、2人で平和に暮らしたいと願う妻。
    『私は富める国に生まれた大多数の人たちと同様、貧しい国の惨状から目を背けているだけだ。』
    『ああ、やはりこの国は平和でいい。平和ボケ万歳だ、望むところだ。平和ボケは美しい。ボケでもなんでもすばらしい。どうかこの美しさが、すばらしさが永久に続きますように。』
    日本で暮らしている自分も当然「富める国に生まれた大多数の人」。教科書やテレビなんかでは見るけど、本当は見ようともしていない貧しい国の惨状。そんな平和ボケしたすばらしい世界…。
    最後の最後で、妻は夫が死んだアフガンへ行きたいと志願する。夫の人格を形成した幼少期の環境や、それを知らずにおり、死後に知った妻にどんな心情の変化があったのか、思わず考えてしまう。

    想像以上に惨い苦しい世界があることを知った上で、日本にいる私たちはしっかりと平和ボケして、平和ボケした世界をちゃんと「すばらしい」って言っていかなきゃいけないな、と思った。

  • すごく頭がいい人だと思う。どの作品も専門知識がしっかり調べられていて、知識の羅列にならずにしっかり物語の核に絡められている。ただ、その頭のよさ、隙のなさが圧となって息苦しさを感じることもあり。

  • 短編集。どの話が良かった?と聞かれても正直どれもあまり印象に残らなかった。ただ、それが悪い印象かといえば違う。どちらかと聞かれれば間違いなく、良かったよーと答えると思います。こんな読後感は初めてかも。うーん、なんだろう。無色透明、無味無臭な感じ?

    話の内容は、先が気になって止まらないとかワクワクしたりなんて無かったのですが、最後の何行かでとても良い終わり方になっていると思います。渇いた身体に水がすーっと染み渡る様なスッキリ感がありました。

    森絵都さん、物語のラストの締めくくり方がとてもうまいです。

    器を探して/犬の散歩/守護神/鐘の音/ジェネレーションX/風に舞いあがるビニールシート

  • 短編集。
    ジェネレーションX
    風に舞い上がるビニールシート
    が良かった。

    中高生のうちの子どもたちにはまだ難しいかな。もっと大人になってからの方が興味深く読めるかも。

  • この風変わりなタイトルが直木賞受賞作
    わたしは受賞作・作家だからと言ってことさら読まない主義
    というか興味わかない、へそまがり

    しかし
    話題になったときから読んでおくんだったなあ、という作品は多々ある
    その範囲に入る作家さんの作品であった

    なるほどね
    今に読み継がれる不変の真理を抉る作品群
    短編の名手
    現代版日本の「O・ヘンリー」かもしれない

    わたしの好みで言えばこの6短編収録中「守護神」が一番好き

    大学の第二学部に入学してくる学生たち
    なぜ、働きながらの通学するのか
    さまざまな事情を抱えた学生群像の事情もよく描けているが

    「代返屋」ではなくて「レポート代筆屋」との本気対決が
    学問ならぬ人生を真剣に考えさせてくれる

    働きながらの勉学に時間は無い
    膨大なレポート提出、試験を乗り越えるには
    お手軽な手も使いたくなる

    けれどもこの主人公はお手軽とは程遠くいまじめ学生で
    「レポート代筆屋」に注文しに行くも
    すでに確固たる自説のレポート内容に到達しているのだ
    それを滔々と述べてしまうおろかしさ

    「なら、じぶんで書きなさい!」と「レポート代筆屋」に突っぱねられる
    「あなたは代筆がして欲しいのではない、愚痴をこぼす相手が欲しいのだ」
    とせなかを押されていまや「守護神」になった「レポート代筆屋」のもとを去るのであった

    すべては自分に還るのだとしみじみ思う
    誰かがやってくれるのではない
    全部自分がやらなければ何事も進まない

    なかなかの筆力の作家とみた
    他作品も読もうと思う

  • 森絵都読んだのひさしぶりだー。
    こんな文章だっけね。

    短編集だけど、どれもじわーっとあたたかさがこみあげてくる感じ。

    表題作はすごくすごく大切なことが描かれていたけど、あんまりすきじゃなかったな。どうしてもエドに共感できなかった。
    それより「ジェネレーションX」がよかった!なんか、平凡でありそうな話だけど、幸せになる。

  • 6つの短編集。
    1つめは「?」だった。
    でも、2つめ、3つめを読み進めるうちに、引き込まれていった。

    最後の表題作「風に舞いあがるビニールシート」、遠い話のような、でも、どこかで、今起きている現実に埋もている話。
    哀しい話。前をむかなくちゃいけない。

    森 絵都さんは、ストーリーテラーだなぁと思いました。

  • 2021.09.21
    三連休後 病院行ったよ

    森絵都様
    短編集
    135回直木賞

    全ての物語がかなり専門的
    短編なのに重厚な内容
    森絵都さんのリサーチ力
    すんばらしいなあ作品です


    器を探して
    結婚を取るか仕事を取るか

    犬の散歩
    犬を通しての人との関わり
    愛されない犬こそかわいい

    守護神
    大学に存在すると言われている
    無敵ガールの話

    鐘の音
    仏像を直すプロ達の話

    ジェネレーションX
    いちばん好き!
    野球部10年越しの集合
    果たして全員集まるのか否か

    風に舞い上がるビニールシート
    アフガン
    難民
    国連
    愛する人の死


    短編集は苦手です
    入り込むまでに時間がかかるからかな
    29の夏はこの作品で〆ました
    おつかれやまでした

著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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