ケッヘル 下

著者 :
  • 文藝春秋
3.60
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本棚登録 : 213
感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163250502

作品紹介・あらすじ

真に人間らしい人生とは、誰かをひたむきに愛し、愛される、薔薇色の不安に満ちあふれた人生のことだ。絶望の淵から生まれた恋。だが復讐の連鎖は止まらない。著者新境地にして最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 「伽椰の話」と「鍵人の話」共通するのは
    モーツァルトだけ、どうやって繋がっていくのか、ワクワクしながら読み進めました。そして繋がったのが無人島での美津子の過去の話と鍵人の「これがそんなにこわいんなら、切り落とせばいい。」と言った瞬間でした。そこから話はどんどん繋がり一気にクライマックスへと進みます。
    濃厚で読み応えありで楽しめました。

  • 図書館。
    上巻が面白くて、下巻を読むほどに苦しいけれど先が気になって、一気に読んでしまった。
    日本も外国各地も、情景がまざまざと眼前に浮かぶ。モーツァルトの金糸のような、飴細工のような音楽が、耳に聞こえる。

  • もちろん、下巻もイイです!
    想いが通じ合って身体を重ねるシーンがあるのですが、とても美しい描写だと感動したのを覚えています。

  • 2021/04/01
    フリーメイソンまで入っていた。
    要素多すぎ。
    濃い繋がり
    だけどきっとそんな縁ってあると思う。
    今の私もそうだから。
    思いがけない繋がりが新しいところに見つかるのでびっくりする。
    でもやっぱりよくできた物語で一気読みしていた。
    残虐な殺し方は好きじゃないし、物語の中に無くてもいい気がする。

  • 2019年に読んだ本、ベスト5に入る読み応えのある本だった。一緒に音楽を聴いて、一緒に旅をし、謎解きが出来て、飽きがこない。そんな楽しい思いができた。

  • 現在と過去が織りなす哀しいミステリーに囚われ、圧倒され、最後はへとへとになって読み終えた。
    この壮大な小説を前に、胸に押し寄せる思いをどんな言葉を使ってもうまく言い表せないことがもどかしい。

    復讐の影におびえる登場人物たちが、ウィーン~プラハ~マンハイム~パリと舞台が変わるごとに死んでいくミステリーとして、鎌倉~大阪~門司~佐世保~黒島と孤高の指揮者とその息子が流れていくロードストーリーとして、モーツァルトのケッヘル番号に導かれるサスペンスとして、そして、狂おしいほどのビアン小説として、様々な要素を取り込みながら一つの大きな流れとなる、まさに壮大な交響詩のような作品。脳内に響くレクイエムも作品に劇的な効果を与える。

    過去の哀しい事件を発端とした壮絶な復讐劇は、その真相を知ってしまうとちょっと肩透かしだったような気もするし、犯人にやや肩入れした感のある描き方が、賛否両論あることも否めないけれど、完全に復讐する側に肩入れしてしまう感情は抑えられない。

    ただ、主人公の伽椰がメインの現在の章より、遠松親子の逃亡劇を描いた過去の章の方が圧倒的に面白く、読み応えもあり、その部分があったからこその大作かな~。

  • 2015.2.3読了
    モーツァルトのケッヘル番号が何なのかもさっぱりは私には面白さが半減するのだろうし、基本的にこういった芸術系?の小説は苦手としてきたけど、これは面白かった!(図書館)

  • ★3.5

  • 「ケッヘル」上・下巻読了。私はこの本のタイトルの「モーツァルトのケッヘル番号」も知らなかったし、そもそもクラシック音楽自体に詳しくないのですが、一日で読み切りました。
    上・下巻ともに引き込まれるように読み終わったのですが、私は伽耶が辰巳の悪行を暴いて生き地獄に突き落として終わってくれた方が良かった気がします。アンナのためにも、美津子さんのためにも。
    下巻の中盤は本当に読んでて辛かったです。一回読んだらもうそこだけ飛ばして読みたいくらい辛い。

  • [14][120809]<k町 上巻の後半あたりがいちばんおもしろかったな。もっと教授のはなしを聞いていたかった。下巻では、××××設定はちょっと盛りすぎじゃないかとか世界征服って言い回しはどうなのかとか神という言葉が多義的すぎるとかが(小さいけど)気になってきてしまった。そして特にテーマ性はないのね。鎌倉と佐世保住んでみたい。

  • この本、やっぱり面白い。久しぶりに読んで気付いたのは、感情が「ノルウェイの森」に似ているということ。

  • ドラマチック。
    上巻では昼ドラにぴったりと思ったけれど、下巻の後半には映画でもいけそうな気がしてきた。
    ラストはちょっとあっけなかったかなという気がしないでもないけれど、十分に楽しめた。
    二転三転して重なって…というのが愉しい。


    ダヴィンチコードを思い浮かべた。

  • 麻薬みたいだ!

    モーツァルト ケッヘル番号 フランス ドイツ オーストリア チェコ
    殺人 秘密結社 宗教

    そういえばダヴィンチコードもそんなかんじやって一気に読んだし 宗教 芸術 暗号 がすきなんやなあとおもいました


    とにかくケッヘル番号やべえ!モーツァルトしらんてゆうかクラシック全くしらんぼくでしたがちょっと勉強したいと思った!
    オーケストラ聴きに行ったりしたい!ピアノひきたい!単純!



    素晴らしい作品でした 中山可穂の女性的な透明感とか強さとか繊細なかんじめっちゃすきや!

  • 初めての作者さん。タイトルに惹かれて。
    不倫の逃避行に疲れ果てた伽椰が出逢ったモーツァルト好きの男。
    彼の経営する旅行社での最初の仕事で、客が謎の死を遂げる・・・
    都合の良すぎる展開・設定には現実感がないし(特にアンナの出生に関してはありえない!)、濃密な性的描写にも辟易するところはあったけど、全部読み終わった後はこれだけの内容をよく詰め込んだなぁ・・・と感心してしまった。
    もうひとつ別の作品も読んで評価したい作家さんだけど・・・読むかな?

  • 柳井がドナウ川で自殺し、彼の知り合いであった栗田も
    ツアー先のプラハで橋の欄干から吊るされて殺された。
    一緒にツアーに来ていた鬼頭とは別れ、
    伽椰は榊原とマンハイムへ行くこととなった。
    栗田が遺した手紙から連続殺人事件の原因となった事件を知り、
    気を引き締めていたにも関わらず榊原も心筋梗塞で死亡。
    若手ピアニスト安藤アンナと恋に落ちるが
    彼女を疑い始めた伽椰はこれ以上彼女の手を汚さないために
    最後の標的、辰巳を先に殺そうと考え始める。

    父を亡くしてみなしごとなった鍵人は
    最後に暮らした黒島の近くの無人島で美津子と出会う。
    5歳で男にいたずらされた彼女の中には5人の人格があり、
    男を怖がる彼女と鍵人はプラトニックな愛を育む。
    彼女から宮崎の高千穂にある高校に誘われて共に入学し、
    学園のマドンナとなった美津子に言い寄る男はたくさんいて
    鍵人は気が気でない。
    そしてついに夜神楽の日、恐れていたことが起こった。
    写真:及川哲也 装丁:大久保明子

    モーツァルトを聞きながら読むと美しさが倍増すると思います。
    ここに神性を見出してしまうのもうなずける。
    しかし後世にケッヘルがつけた番号に神性はないと思う。
    あとケッヘルのナンバーだけでどの曲かわかるほどの
    モーツァルティアンって実在するのか気になります。

    並行していたストーリーがつながり殺人事件の真相が明らかになります。
    鍵人は壮絶な半生を送っているのによく好人物に育ったものだ。
    あれほどまでに美津子に固執していた辰巳が
    千秋に執着していた理由がよくわからないのですが、
    メンツの問題なのか面影を重ねていたのか。

  • 上巻に比べると、下巻は読み進むペースが速くなりました。

    上巻で、「一体このエピソードがなんだっていうのさ!」と思っていたものが、下巻で「そうだったのか!」とわかる感じ。

    あんまり好みではないかな~…なんて思ってしまいましたが、読み終わったらモーツァルトが聴きたくなりました。
    というか、モーツァルトの生涯が気になって、映画「アマデウス」が見たくなりました。
    はまる人ははまるんだろうなぁ、モーツァルトとかって。

  • えっこれどうやって終わらすの!?と思って読んだ。楽しかったー。
    意外なほど無難に終わりましたね(笑)
    最後に消えた彼に幸せになってほしい・・・。

  • これまでも、そしてこれからも、どのみち僕にはモーツァルトしかいなかった。さびしいときも、うれしいときも、モーツァルトの音楽を通して自分の感情を確認し、正しく世界を認識してきたのだ。僕がこの不確かな世界の中で唯一確かな手触りの持てるものは音楽しかない。そしてモーツァルトは、父と母の思いとは無縁に、人類すべてに等しく与えられている。
    (P.114)

  • 上巻を読み終えれば、どんどん面白くなってくる

  • 読書完了日2008年08月04日。読み終わると同時に燃え尽きてしまうような、そんな感じ。むっちゃオススメです!09年05月文庫版購入済み。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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