- Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163252100
感想・レビュー・書評
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ツィツィリエが好きだ。
繊細な男に魅入られた男と女たちの話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
断片的に繋ぎ合わされる物語。時系列も前後したりしているし、なかなか全貌が見えなくってやきもきしたりもしましたが。徐々に繋がってゆく感じが良いのかも。期待したような「ミステリー的仕掛け」はさほどなかった気もするけれど、全体的に謎は満ちている印象。
皆川さんで蝋人形、というと、やっぱり耽美で禍々しかったな。特にあの入り口の光景を想像してみると、滑稽でグロテスクな気もするのだけれどやはりひどく美しい。非常に印象的。 -
09/02/19読了
時代はWW1〜くらい。
それぞれの登場人物の視点から絡み合って結末にいくんだけど、この人の本は今までは現実→時間経過につれ幻想的に、な感じだったのにどちらかというと今回は反対だったような。それはそれで面白かった -
続きが気になって気になってしかたなかった。
読後感がとにかく悪い。
それでも、それが不満かというとそういうわけではないし、むしろ読んでよかったと思う。
そこが皆川作品のすごいところだなあ。
全編に渡って点と点が線としてつながる気持ちよさと、気持ち悪さが一緒に内包されている。
この話は、最終章のツィツィリエの言うとおり、彼女のための物語とも言える。
彼女は思うまま、自分作の奇妙な寸劇を作ろうとする。
読んでいて、とにかく私はその傲慢さが気に入らなかった。
俗っぽいので作中のマティアスとツィツィリエを憎む気持ちさえあって、
特にマティアス、お前許さんぞ…と思ったりした。
でも、マティアスもツィツィリエもキャラクターとして純粋に面白いと思うし、その物語をもっと読んでいたいと感じた。
(憎む気もあれど、同時に「じゃあどうするのか」ともっと知りたくなるような)
アルトゥールがヨハンを神格化して傾倒するさまは「総統の子ら」のカールとヘルマンの関係のようだった。
「太陽馬」でも感じたけど、性的な欲望を介さない男性同士の脆い憧憬・崇拝・執着的なものの描き方がとにかく美しい。
皆川先生はどうしたらこんな作品を書けるんだ。
ドイツのふたつの大戦間のベルリンがどうであったかと、ドイツの地理を少しでも知識として持っていたほうが楽しめると思う。
にしても、最後の書簡は説明的すぎる気がする。
あのわずかなページはなくてもいいように思う。 -
いったい何が真実なのか未だにわからない。
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うわー、これぞ皆川!といったカンジの退廃的で耽美な雰囲気がすばらしい!
それぞれの視点から語られる、重なりそうでズレていく物語。とても幻想的です。 -
なんでしょう、WW1あたりからヒトラー台頭あたりの時代のベルリンを舞台にし、かつて少年兵で今は堕落したジゴロの青年貴族、ロシアから亡命した一家の少女、少年兵だった頃の若者に助けられた男、蝋人形師、実業家、名の売れた歌手で蝋人形館の女館主等々の視点とさらに彼らの略歴からなる、いわゆるひとつの幻想“藪の中”? 仕掛けの二重底っぷりが皆川作品らしいと思いました。
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耽美な世界。
囚われます。 -
陸軍幼年学校から軍人の道を歩むはずが、ジゴロとなったアルトゥール。
帝政ロシアからドイツに亡命し、シナリオライターを夢見るナターリャ。
ミュンヘン市民のプロレタリアートでルンペン暮らしから這い上がり、ナチ
党員となるフーゴー。裕福なドイツ系ユダヤ人の家に生まれ、義勇軍に参加
した後、大富豪となるハインリヒ。薬を常用する蝋人形師マティアス・マイ。
カバレット“蝋人形館”の看板歌手ツェツィリエ。彼らの人生は、様々な場所、
時代で交錯し、激動の歴史に飲み込まれていく―。 -
今から読みます!たのしみ。