桜川ピクニック

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163257006

感想・レビュー・書評

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  • パパ友の小説は初めて読んだので、新鮮でした。
    子どもと遊ぶ様子が目に浮かぶシーンが多くて、自分が子育てをしていた頃を思い出し温かい気持ちになりました。

  • 育児に関わるパパたちの話。
    キャリア志向で収入も高い妻たちは意気軒高だ。夫たる自分が担う育児の負担は大きい。子供は可愛いけれど、でも・・・なにか違うのではないか。

    共働きなのだから家事・育児の負担は二人で担うべき。
    一方の負担が大きくなれば、それは不満になる。夫たちの心理はよく理解できる。

  • 表現規制(児童ポルノ撲滅と称して、実際は児童虐待問題に関係ない言論規制)反対運動を通して知った、川端 裕人さんの短編集。

    【各話に登場する主人公】
    数名、いずれも『子育てをする父親』たち。
    【各話の独立性】
    独立。土地、マンションは同一。各主人公は、途中の話で顔をあわせたり、一緒に行動したりもする。
    最終話には全員登場。

    【各話の色あい、感じ】
    そこいらにありえる、日常の一幕。
    そのため、フィクションやTVドラマのように、全ての物事にしかるべき勧善懲悪の結末があったりは、しません。

    「青のウルトラマン」 青、という色からもわかるように、甘くない、やりきれなさの残る一編。
    これが冒頭に苦いパンチをきかせてくれるおかげで、『育児する父親』というフレーズに夢を見すぎることなく、以降の短編にもリアリティが出ている。

    「前線」 口を開かずに頷くだけの女子高生とて、サバイバルしてるんだよ、と頷きながら読めた一編。最近の何々は、という以前に、最近の何々が生きていきやすい世の中なのかどうか?

    「うんてんしんとだっこひめ」 子どもが一所懸命に宣言すればするほど、思いいれの対象は何?となってしまう親の推理。お兄ちゃんになる男の子の心を、父は丁寧に読み解いている・・・その描写が気に入った。

    「夜明け前」 うっはっはっはw と笑って読んだ一編。
    私は非性愛なので、異性愛の男性(性自認が男性で、性指向は女性が対象の人)とは違った感想です。

    「おしり関係」 ジェンダー論の袋小路を、理論派パンクが突き抜ける。「男の子と女の子の違い」を娘に問われた、パンクな父ならではの解法。両性具有ネタを、こういう風に最後にさらりと混ぜてくれるあたり、川端先生の技量にうならされました。

    「親水公園ピクニック」 最終話、全員登場。田舎を離れた都会人達は、子どもとともに探検隊を楽しむ。PTAの強制加入を廃止した、任意加入を訴える川端ならではの展開。
    『毎年の』『地域なんたら教室』より、『自分達がしたいと思ったときがやりどき』だと思うのですよ。

    ドラマは無いが、日常はある。
    論理は隠れているが、主張はある。
    一編ずつ読み進めてちょうどよい作品集でした。

  • FJ の安藤さんに薦められて詠みました。読み終わった後、ほっこりする、そんな本でした。パパの育児奮闘記なんですが、がんばりすぎず、悩んだり、迷ったり、とても日常が表現されていて、生々しい。
    2007年の本だけど、時代はだいぶおいついてきたのかな。最後の授かったシーンの パパ友の言葉が印象的。「でも、うらやましいなぁ。またゼロから楽しめるんだものなあ。きっと生活変わりますよ」

  • 川端裕人『桜川ピクニック』読了。育メン・父と子のストーリーというよりも、子育て中の父親と社会の関係と、諸手を挙げて子育て一辺に傾倒できない父親の微妙な心理を描いている。今の時代、こういう心理って男女を逆にしても当てはまるところは多いんでないかな。

  • 育児に奮闘するお父さんたちを描いた連作短編集。

    共働き夫婦で、どちらかというと妻の方が外でバリバリ働き、時間に余裕があったり融通がきく仕事をしている夫の方が子どもの面倒を多くみているという、そういう家族の話。

    ああわかるわかる、そうなんだよ!と大声で言いたくなった。あまりに自分の感情とリンクするので読むのが辛いと思うくらいに。

    私自身、子どもがまだ小さかった頃、自宅で仕事をしながら子どもの面倒をみていて。家事も育児も仕事も、細切れになった時間をやりくりしながらこなすしかなく、悶々と過ごしてた。まさに「吠えたい」日々。(私は妻だけどね)

    そういう子どもを育てていく日々の葛藤がリアルに描かれているんだけどな。これ共感できる人は少ないのかな。それも寂しい。

  • 育児に関わる父親の目線で世界を切り取った短篇集。こういうの、普通んなんですかね?「その日のまえに」(重松清)とか、「死神の精度」(伊坂幸太郎)とかを思い出しました。

    切り取られてきた物語は悪くなかった。伊坂幸太郎よりは重松清に近い感じを受けました。

  • 子育てパパ奮闘。

  • 子育てパパ達の苦悩。

  • 2009.8.15

    子育てに奮闘するお父さんが主人公の短編集。
    少子化対策とか、子育て支援とか言って、お金をばらまく政治家に
    読んでもらったらいいかも。
    こういうお父さんお母さんたちが会社で偉くなる頃には、少しは
    社会が変わるといいなぁ〜
    偉くなれなかったら、それはそれで大問題だなぁ〜

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著者プロフィール

1964年兵庫県明石市生まれ、千葉県千葉市育ち。文筆家。東京大学教養学部卒業。日本テレビ勤務中、1995年『クジラを捕って、考えた』でノンフィクション作家としてデビュー。退社後、1998年『夏のロケット』で小説家デビュー。小説に『せちやん 星を聴く人』『銀河のワールドカップ』『算数宇宙の冒険』『ギャングエイジ』『雲の王』『12月の夏休み』など。ノンフィクションに『PTA再活用論』『動物園にできること』『ペンギン、日本人と出会う』『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』など、著書多数。現在、ナショナル ジオグラフィック日本版および日経ビジネスオンラインのウェブサイトで「・研究室・に行ってみた。」を連載中。

「2020年 『「色のふしぎ」と不思議な社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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