龍の棲む家

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163263700

作品紹介・あらすじ

父が呆けたと兄から知らされ、家実へ戻ってきた幹夫は、記憶をさまよう父と出かけた公園で、介護のプロ・佳代子と出会う。父の散歩につきあい、大切な誰かを演じ、いっしょに父の記憶のおもちゃ箱をのぞきこむうち、二人は…待望の最新小説。

感想・レビュー・書評

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  • 認知症を発症した父親に、仕事を辞め介護することを決めた次男の幹夫。
    寄り添うと決めたはずなのに、徘徊や過去の話しばかりする父親に、戸惑い翻弄されてる毎日。
    ある日、父とよく行く龍が峰の公園で、佳代子に出会った。介護の仕事をしていた佳代子のアドバイスで父との関係も穏やかになっていく。

    私も母が突然亡くなり、残された父親は実家で独り暮らし、三年前に癌を煩い入退院を繰り返した後、私も姉も離れて暮らしている為に、最後は施設にお願いすることに。食べられなくなってからは軽く認知症がでたらしい。離れていて、頻繁に会えないせいか、夜中に父の携帯から何度か電話がきたことがあった。「どうしたの?」と聞いても終始無言。
    会いに言った時に、父にその記憶はなく、最後の最後まで私には甘く優しい父だった。
    介護と言えることは何ひとつ出来ていないまま終わってしまったが、自分が一緒に暮らしていたらこんなふうに寄り添う事が出来たか、まるで自信が無い。
    佳代子にも、トラウマになった過去があるが、彼女のような人から介護されたら、家族も救われるだろうな。
    タイトルもそうだが、変わった名前の作家さんだなと思っていたら、住職だそうだ。
    龍の話がちょくちょくでてきて、週末は私の好きな龍神神社へ行こうと決めた。
    紫陽花の花が綺麗に咲いているころだろう。

  • H30.8.5 読了。

    ・認知症の父親と同居することになった息子と散歩で訪れた先で出会った介護士の女性の日常を描いた作品。認知症の人との関わり方が描かれており勉強にもなった。文章はきれいな表現が多い気がする。

  • 心温まる家族の物語。

    認知症のせいで徘徊が始まった父親と暮らすために実家に戻ってきた幹夫。

    父が日課のように散歩に出かける龍が淵公園で2人は偶然に介護のプロである佳代子と出会う。

    ホームヘルパーとして父に寄り添いながら、認知症について幹夫は佳代子から学び、父に寄り添い続ける。

    嫁の両親も含め幸せなことに4人の親は健在です。

    そんな私にもいつの日か訪れる親の介護という現実。

    私自身も幹夫のように寄り添える息子でありたいと心から思いました。

    説明
    内容紹介
    記憶をさまよう父と暮らす幹夫は、介護のプロ・佳代子と出会う。部下や家族を演じるうちに二人は……僧侶作家があたたかく描く人の絆
    内容(「BOOK」データベースより)
    父が呆けたと兄から知らされ、家実へ戻ってきた幹夫は、記憶をさまよう父と出かけた公園で、介護のプロ・佳代子と出会う。父の散歩につきあい、大切な誰かを演じ、いっしょに父の記憶のおもちゃ箱をのぞきこむうち、二人は…待望の最新小説。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    玄侑/宗久
    1956年福島県生まれ。慶應義塾大学文学部中国文学科卒業。83年、天龍寺専門道場に入門。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺副住職。2001年、『中陰の花』で第百二五回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 認知症になった父がいて、介護の話なのに、なんか明るいというか希望がみえるというか。作者がお坊さんだからってのはあるのかもしれないなと。起きたことをただ「起きてること」ととらえてそれ自体が不幸でも幸せでもなく、ただ起きてるっていう感じで。この人の本は二冊目だけど他の本も、もっと読んでみたくなった。

  • もっと早く、母が変わり始めたころに読んでおけばよかった。
    テーマは重いのに、先に希望が見える気がする。

  •  ほんと、介護の仕事ってがんばればがんばるほど、仕事と自分の人生の境がわからなくなる。

  • タイトルに惹かれて読んでみたけれど、内容は意外にも介護の話。
    小説のスタイルではあるけれど、認知症の人との接し方などはとても参考になる。
    けれど小説としてはどうなんんでしょう?著者が僧侶と言う事もあるせいか、何かにつけて説明過多の気がして、読んでいてもどこかに感情移入することもなく距離を感じてしまった。
    内容的には面白いと思うだけに残念な気がします。

  • 経営していた喫茶店を畳んで、認知症の父親と共に生活をすることになった主人公。
    父親との散歩中に出会った佳代子と共に、父をめぐるあれこれや佳代子の過去が描かれている作品。

    いやいや、出来過ぎた人間ばかりでしょう。
    それとも比較的仲が良いというか一般的な家庭で育つとこんな感じなんですかね。
    症状がそこまで激しく出ていないからまだこの程度なのかもしれないけど。

  • 老人のアルツハイマーが取り上げられている。
    少しきれい過ぎるかな と思う。

  • 老人のボケについて、とても考えさせられた。ボケてしまって、現在のことが分からなくなったら本人も、それ以上にその周りの人間もつらいのだなと思った。でも、一人で介護するんでなく、この本のように二人で理解してボケた家族と付き合っていけたら、それが幸せな道なんじゃないかな、と思う。

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著者プロフィール

一九五六年福島県生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。八三年、天龍寺専門道場入門。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺住職。花園大学仏教学科および新潟薬科大学応用生命科学部客員教授。二〇〇一年「中陰の花」で芥川賞を、一四年「光の山」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に、『禅的生活』(ちくま新書)、『荘子と遊ぶ』(ちくま文庫)、『やがて死ぬけしき』(サンガ新書)、『竹林精舎』(朝日新聞出版)などがある。

「2020年 『なりゆきを生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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