W/F ダブル・ファンタジー

著者 :
  • 文藝春秋
3.16
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感想 : 371
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163275307

感想・レビュー・書評

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  • なんだろう、はっきりとは言えないけれど、同じような女性ってたくさんいるんじゃないかなと思う話だった。結局主人公にとっての幸せってなんなんだろうって。最後まで悩まされ続けたけど、人の人生ってそんなもんかなとか。
    30-40代女性が読むとグサグサくることが山ほどあるのではないかなーと思いました。

  • ドラマ化されたと知り、興味を持ちました。

    貪欲な奈津、それは寂しさの裏返し。

    次々に現れる男性と関係を持つようになる奈津。
    束縛夫に対して、奈津がもう少し違う出方をすることが出来たなら、その場所が一番幸せだったのかもと思いましたが、どうかな?

    志澤にはまるで魅力を感じなかった。
    岩井は良い夫風なので、浮気だったことが主婦としては残念。
    最後の大林が私には一番魅力的でした。
    でもきっと、奈津はそこでは留まらないだろうな。

    僧侶の祥雲……ちょっと笑った。

  •  途中(P353:岩井氏と会っている時)で思わずおおっ!と声をあげてしまった。その個所を引用します。
    “揺るがない優しさこそがほんとうの男らしさだと気づくとき、たいていの女はすでに年老いてしまっている”
     これはまさに『ベルサイユのばら』のオスカルがアンドレに対し放った台詞“心やさしくあたたかい男性こそが、真に男らしいたよるにたる男性なのだということに気づくとき…たいていの女はもうすでに年老いてしまっている…と…。”と同様ではないか。確か二人が初めて結ばれる直前である。
     著者は岩井氏のキャラにアンドレを入れている!?
     いやいやいや…。アンドレオスカルのあの後のシーンは私にとって至高の1ページであって、淫乱さなどみじんもないのである!ほんの一瞬でも重ねて考えた頭を、思わずぶるんっと振った私だった。
     ずいぶん脱線してしまったが、アンドレとか、岩井氏とか、無償の愛を注ぎ続けるキャラクターに、女性は弱い。著者の計算を感じた設定だった。
     単なる官能小説ではない。
     主人公奈津の極めて動物的な行動に対して、男たちのなんと人間的なこと。あの志澤だって、彼女を振ったように見えて実は「しっぽを巻いた」のだ。彼の理性がストップさせたのだと、私は解釈する。夫、デリバリー君も含め5人の男たちが、頭で理解しようとするのに対し、奈津の体が先走っているところが面白い。
     ラストも、台詞にあったように、風呂敷を広げたまま終わる。これも計算のうちだろうか。奈津が書いたとしか思えない読後感は、著者の思惑通りなのかもしれない。

  • すごい、の一言に尽きる。
    一気に読んでしまった。最初志澤との情事があまりにも気持ち悪いので読むの辞めようかとも思ったが朝方だというのに一気にこうして読んでしまった。
    村山さんの本は天使の卵、天使の梯子、星々の舟しか読んだことありませんでしたがどうも好きになれなかった。だけどこの作品を読んでだいぶ見方が変わりました。
    奈津のあの欲の強さ、女として、目を奪われた。
    男の書き方も素晴らしい。大林の出現により岩井が変わる描写とか素晴らしすぎて鳥肌たった。
    中央公論文芸賞、島清い恋愛文芸賞、柴田錬三郎賞の三冠しただけある作品。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      文庫になったので読んでみようか、と思っていますが。。。
      文庫になったので読んでみようか、と思っていますが。。。
      2012/04/11
  • テレビで著者のインタビューを観て、興味を持ったので読んでみた。
    主人公の女のしての、そして著者の作家としての覚悟を感じた。

  • 中学生のとき、キス以外の男女の交わりを、初めて小説で読んだ時と同じ背徳感を思い出した。一章だけ読むつもりが、読み進めたいと思う好奇心とそれに対する罪悪感。最高でした。

  • なっちゃんのすごいバイタリティ

  • 好きな女性にふられたことを思い出してせつなかりし。あの時の彼女もこんなだったのかしらと・・・

  • なんか濃いものが読みたいなと思って借りた本。

    開いてみればそれは官能小説でした。

    セックス描写が多いものは久しぶりに読みました。最初の浮気相手(出張ホスト除く)、志澤はいかにも肉食な男性。相手をひれ伏させるタイプ。
    次の岩井はロールキャベツ男子。奈津に対する気配りとかがすごく女性受けがよさそう。私もこの中では岩井が一番好きですね。旦那さんにしたいタイプですね。浮気は困るけど。志澤の次の相手として奈津の心と身体を癒す人でした。
    坊さんやらなんやらはおいといて最後の大林。これはまだつかめない。だから奈津も大林にとらわれはじめたのではないでしょうか。

    夫の省吾との擦れ違い。省吾にはきっと悪気はないんですね。だからこそ奈津を苦しめもする。好きになれない夫だとは思いましたがだからといって奈津を愛していないわけではない。
    別居を始めて、たまに省吾のことを思い出しはするけど私は犬のハヤトも思い出してほしかった。一緒にいるのが環だからって、ハヤトのことを忘れないでほしいなぁ。

    志澤を振り切ったと思ってさえやはりどこかで志澤の影があった奈津。
    奈津が夫のもとへと去ってゆくきっかけを与えただけに特別な男性だったのでしょうか。それとも彼のあの攻撃的なところに女は惹かれるのでしょうか。

    最後に岩井が変わってしまったのが残念だったけど、奈津が変わってしまったから岩井も変わってしまったのだろう。せっかく妻にしか言わない「愛してる」を言ったのに。

    花火大会のシーンのラストは美しい情景でした。

    この作品を30代の主婦の目線で読んだらどうなんだろうと思いました。また私と感じ方が異なることでしょう。

    この奈津が60、70になったらどう過ごしているのか気になります。

  • 二度目。
    村山由佳の作品は読みやすい。
    女の性の部分が生々しく書いてある気がした。
    あたしは好き。
    でも、ラストがしっくりこない。
    先輩も途中から嫌いになるし、出てくる男は嫌な感じがする。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「出てくる男は嫌な感じがする。」
      極端に戯画化されているからかな、、、
      私は元の鞘に戻ると思っていたので、ラストは意外な気がしました。
      短絡...
      「出てくる男は嫌な感じがする。」
      極端に戯画化されているからかな、、、
      私は元の鞘に戻ると思っていたので、ラストは意外な気がしました。
      短絡的に考え過ぎとお叱りを受けそうですが、この話に共感する女性って、やっぱり不幸なのかも。。。
      2013/03/02

著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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