月と蟹

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 3430
感想 : 598
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163295602

感想・レビュー・書評

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  • 子供のたわいのない遊びとその間に垣間見られるドロドロとした残酷さの描写は迫力有り、「何か」が起こる不安を誘発される。終盤のヤドカミサマへの願い事の後の展開には、遂に「何か」が起きる期待が膨らんだが、何も起こらず物語は終わる。ホントに直木賞作品なのか?この人の作品は2作目だけど、自分には合わない。

  • 子どもの純粋さと残酷さ、大人の事情に振り回された何とも言えない想いがひしひしと伝わって、最後まで読んでしまった。秘密基地でのやりとり、嫉妬からくる行動などの描写がすぐ近くで見ているような気分で引き込まれてしまった。

    子どもたちのその後も知りたくなる。

  • 切なく、痛々しく、美しい物語。

    子ども達の純粋な残酷さが作り出した、
    ヤドカミ様の遊び。
    だけど本当に楽しんでいるのではなく、
    「生きづらさ」から逃れたいという
    子ども達の祈りや苦しみの矛先がヤドカリを炙り出す行為になってしまっているという構図。

    幼い頃の痛みは、大人になってからの痛みよりも
    鮮明で、リアルで、鋭く突き刺さるのだと思う。

    痛みと同時に友情や恋心、
    友への裏切りなども描かれている。

    決して青春のような清々しいものではないけど、
    切なく美しく心に残る、
    ノスタルジックな作品です。

  • 作者の名前だけで借りて読んだけど、何も残らない小説でした。

  • こういう小説も書けるんだ、と思った。
    今まで読んだ作品は、伏線を回収する技術は高いけど、ミステリとしての技巧的な部分が重視されていて、なんかいかにもうさんくさいやりとりを展開するなぁと思っていた。

    どろっとしたものが背後に流れている感じこそ通底するところはあるものの、今作は雰囲気がちょっと洗練された感じ。
    変な含みは何もないエピソードの積み重ねで物語の世界を描き、ラスト付近で走馬灯のように振り返るだけ。
    でもそれが意外と重みを持っていたりする。

    終盤のハラハラな部分もストレートなところが逆に良かった。

    こういのは嫌いじゃない。

    ■第144回直木賞

  • 蟹はキャンサー、癌と同じ。父を癌で亡くし、母親静江と鎌倉に近い町で祖父昭三と暮らし始めた慎一。同じ転校生の春也と山の上の岩にヤドカリを運んで飼い始める。ヤドカリをあぶり出し、ヤドカミ様として願掛けをする。少年視点で、それぞれの事情が語られていく。
    月夜の蟹は不味い。自分の影があまりに醜くて蟹は身を縮こませて。。。

  • 「向日葵の咲かない夏」と同様、話がきつい。

    なんか人間のもつ凶暴性というか、どす黒いものをいつも感じるんだけど、なんか目が離せない、そんな話。

    たぶん向日葵の咲かない夏と同様に、主人公が小学生というのが、また人間の本性的なものを描くのにしっくりきてる。純粋で無垢であるがゆえに、乱暴で壊れやすいのかなと思う。

    はじめてなのでとりあえずこんな感じ☆

  • コワイ・・・と、いうより。
    気持ち悪かったぁ。

    ラストに光を感じられたので。
    よしとしてます。

    何が・・・起こるんだろう・・・。
    って。
    どう、なっちゃうんだろう。
    って。
    思いながら、読み進めておりました。
    小学生のお話。
    だった、から。
    いきなり、大人になっちゃうかも。
    とも、思っていたし。ね。

  • 後味悪し。。
    少年二人とヤドカミ様。
    多感な時期の少年の内面がだんだんと少しずつ崩壊していく。

  • 何か衝撃的な事件が起きるわけじゃないけど、多感で不安定な子供達が何を仕出かすかわからない地味な恐怖感が、終始漂っている。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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