- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163295602
感想・レビュー・書評
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やっぱこわい。
子供×闇 ぞわぞわする。
純粋だからこそのおぞましさ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昔読んだ太宰治のような少しずつ自分の世界が崩壊していく感じ。孤独感が増すにつれ、自分に中で嫌な感情が育ち、それが、ヤドカリの描写と相まって時にグロテスクに浮かび上がる。ただ本人が子供なので、どうにか踏みとどまるのではないかと祈りつづけながら読んだ。私はこの本好きです。
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青春はきらきら輝くだけのものじゃない。
鈍い光。
出口の見えない、どこに辿り着くかわからない時間。 -
2011.5.23読了。
ヤドカリをあぶり出して遊んでいた学校では友達がいない転校生の二人が、そのヤドカリを神としてヤドカミ様と言って、あまり表で言えない願い事をかけ始めて…という話。
ヤドカリを炙ったり焼いたりちよっとグロ -
”ヤドカミ様”の儀式のグロテスクな描写、心の闇に嵌っていく少年の変化とともに、物語は中盤から純文学風に。虐待、いじめ、過去の事故、どれも描き方に読者を追い詰めていく感じが弱く、エンディングはやや予定調和か。しかし、そのぶん読みやすく楽しめました。
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二人の少年の岩山での秘密の遊び。秘密の儀式。
それが少年たちのそれぞれの悲しみを癒し、
支えとなっていく過程が丹念に描かれています。
友人の少年の関西弁や祖父の、祖父らしい言葉遣いが
暗い影を落とす物語に、柔らかさを添えていて救われます。
道尾秀介さんの作品は苦手でしたが
この物語は、少年の揺れる心理に視点を据えた点で、
読み応えがありました。
《第143回 直木賞受賞作》 -
少年にとって大人はホラー。
その秘密に出会ったとき
少年はどう変えようとするのか。
変わろうとするのか。
成長の物語でもある。
少年は海辺の町に母と祖父と住んでいた。
仲良くなったもう一人の少年。
そして、思いを寄せる少女。
3人はいつしか秘密の儀式を行うようになっていく。
ヤドカリをヤドカミ様として祀り
殺すと願いが叶うという残酷な行為。
そこに、現実の大人の世界への反発が投影されていったとき
物語は思わぬ方向へと進み出す。
少年の友と少女の距離が縮まり
嫉妬する少年。
母のつき合っている男が運転する車のトランクに潜み
母と男の関係を知ろうとする場面は二重にスリリングだ。
見つかりそうな恐怖、母の大人の秘密を知ってしまう畏怖。
大人の世界はこうして少年にホラーとして立ち現れる。
少年の友も父のDVに怯えている。
そして、二人はヤドカミ様に
お互いが邪魔に感じている
大人の排除を願う。
クライマックス。
深夜の海辺を自転車で失踪する少年は
何かを突き破ろうともがいている様にも見える。
そして。
少年少女は別れていく。それぞれの人生へ。
大人へとまた一歩成長を遂げて。
海辺の物語は
私の心にコツンと石ころを投じた。
その石ころはときおり
私の中の少年を呼び起こす。