- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163741703
感想・レビュー・書評
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すごくおもしろかったです。
山中教授の挫折。最初は臨床医師を目指していたけれど、現場で芽が出ず研究者へと転身。
自分も営業から制作の仕事へと転職し、そちらのほうが向いていたという経験があるので共感しました。
それからips細胞。万能細胞と呼ばれる分化できる特性を持つ細胞。
病態の原因解明や再生医療など今後の医療技術発展が期待されているらしいです。
もちろん倫理的な問題など解決しなくてはならない問題も多々あるようですが、今後の進展に期待したいですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784163741703 -
様々な細胞に変化することができる細胞は「多能性」の幹細胞、
全ての細胞に変化できる細胞を「万能細胞」(受精卵)
iPSは万能細胞を人工的に作り出した。
皮膚からでも子どもが作れる。社会を構成する家族や性の意味を変えてしまう。
iPSの弱点。iPS細胞の中に、腫瘍を作り出す能力のある細胞が含まれている。
iPS細胞を作る過程とがんの起こる過程はよく似ている。
やっぱし、どうもあかん。
人の命は必ず助かるべきなのか。 -
数年前から巷で話題になってた”iPS細胞”なるもの。あまり気にかけてなかったけど、すごい発見だったんだな。しかも、発見の過程を読むと呆気なく見つけたっぽいような。。。大発見というのは、得てしてそういう偶然(幸運?)によりもたらされるものなのかな。でも、iPS細胞を発見したのが山中教授のような人で良かったと、本作を読んで、つくづく思った。山中教授も切望しているように、iPS細胞が医療の現場に、難病に苦しむ患者のみなさんに活かされる日が1日でも早く来るよう祈りたい。
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・iPS細胞とは受精卵のようにあらゆる細胞に変わる性質をもつ万能性をもつ
・ES細胞とは培養すれば、永遠に死なない増え続ける細胞
・従来ES細胞を創るには受精卵から生成していた
・iPS細胞は初期化する(細胞の生命過程の時間を戻す)
う〜ん。こうやって書くとよく理解してないな。
とにかく今までの技術よりも簡単に、クローン細胞ができるようになった。例でいうと、患者の皮膚組織の細胞からiPS細胞を作成し、その人の遺伝子情報を含む、臓器を再生成することができるようになる。
これにより、病気になった組織の再生移植、病気組織を研究することにより病気の解明、薬の効きや副作用を調べることに活用できる。
同時に、クローン人間が作成にちかづく技術で倫理的な問題もある。
特許競争も激しい。
難しいけど、刺激的なお話でした。 -
iPS細胞の発見は、いわばタイムマシンを発見したことと同じことであるといったら驚くだろうか。生命の履歴が初期化されるという現象を可能にしたのである。直感的には、生命は不可逆であるはずだと誰もが思うだろう。しかし実は、生命の可塑性は1900年代からジョン・ガートンという研究者によって発見されていたのだ。
ES細胞という用語をきいたことがあるだろうか。先述の研究を発展、応用させたもので、万能細胞の一種である。つまり、どのような細胞にも分化可能な細胞だ。ところが、このES細胞は受精卵を破壊し、内部の細胞を取り除くことで生成できる細胞であるため、倫理的な問題を孕んでいた。この問題をクリアしたのがiPS細胞である。例えばヒトの皮膚細胞から、しかも高校の高レベルな理科知識があれば誰でもできるという画期的なものであった。自分の細胞からつくれるので、移植時に拒絶反応が起こらないことも利点のひとつだ。この発見により医療技術が飛躍的に向上することは火を見るより明らかだろう。
こうした素晴らしい発見であると同時にそれは、パンドラの箱を開けてしまったという声もある。この技術を応用すれば、理論的にはキメラ、すなわち合成獣も生み出すことができるし、髪の毛一本から精子をつくりだすことだってできる。自分の体というものが、知らないうちに悪用される可能性があるということだ。これはある種のコンピュータ革命がもたらした利益と負の一面に勝るとも劣らない変革を社会に巻き起こすだろう。法整備、社会とのコンセンサス、課題は山積している。
だからこそ、私たちは市民社会の一員として、人類の一人として知らなくてはならない。山中先生のいうように
「もはや生命科学を知らなくても済む時代ではない。iPS細胞は人類の未来を”変える”可能性があるのだ」 -
倫理上の問題はあるが、臓器提供、難病治癒等、未来を変える可能性に期待を抱かせてくれる。
全能性を持つ幹細胞 4つの遺伝子構成を変換(入れる)
何が人の体か、正常な老化とは、病気とは何か
万能細胞と癌細胞は似ており、プロセスも似ている。表裏一体のところがある。子孫を残すためには10数年は癌になるわけにはいかない。そのために泣く泣く再生能力を犠牲にしたと一人納得している -
神の領域に足を踏み入れた科学者でありながら、山中教授は何度も繰り返す。
「まだ患者さんの役に立っていない。」
今朝の報道で「最有力」とされていただけに、この残念ムードもやむなし...だが、山中教授はノーベル賞という栄誉とは全く違う世界で、自身のやるべき大業を一歩一歩成し遂げているように思える。
難解な箇所もあるものの、番組を視聴する感覚でスラスラ読めた。 -
(2011.09.27読了)(2011.09.22借入)
*2012年度、ノーベル医学・生理学賞受賞*
副題が「山中伸弥・iPS細胞革命」です。山中伸弥さんの発見したiPS細胞の及ぼす影響の可能性を探ったNHKスペシャルを単行本化したものです。
第一部と第二部に分かれています。第一部は、NHK記者たちの報告、第二部は、山中伸弥さんに立花隆さんと国谷裕子さんがインタビューした記事です。
章立ては以下の通りです。
第一部、 生命の未来を変えたiPS細胞
第一章、iPS細胞 発見までの道のり
第二章、夢の再生医療の扉が開かれた
第三章、万能細胞が開くパンドラの箱
第四章、iPS細胞で深まる生命の謎
第五章、激しさを増すiPS細胞WARS
第二部、iPS細胞と生命の神秘
第一章、iPS細胞は生命のタイムマシン
第二章、万能細胞がもたらす医療革命
第三章、曖昧になる生命の境界線
第四章、人間の体に隠された未知の力
第五章、世界最高の研究所を目指して
iPS細胞の研究は、盛んで新聞紙上も賑わしています、9月27日の日経朝刊にも「ヒトのiPS細胞使い脊髄損傷の治療 慶大、マウスへ移植成功」という記事が出ています。
iPS細胞というのは、特定の機能に分化してしまった細胞を初期状態の未分化な細胞、あらゆる細胞に分化することのできる細胞にすることです。
沢山ある、遺伝子の中から四つの遺伝子を選んで、例えば、皮膚から取った細胞に埋め込んでやると、未分化な初期状態の細胞になってしまうということです。
山中伸弥さんと何人かの人たちによって、四つの遺伝子が特定されたということです。ただし、効率が悪いので、もっとほかの遺伝子を追加することによって、効率を上げることができるかもしれないということで、その方面の研究もおこなわれているとのことです。
応用方面の研究としては「再生医療」「創薬」「病態再現」の三つが考えられている、とのことです。
「再生医療」は、人間の失われた組織や臓器を再生することに利用する。本人の細胞を利用すれば、拒絶反応もないだろう。
「創薬」は、開発中の薬の有効性や副作用を確認することに利用する。
「病態再現」は、遺伝子が元で発病するような病気に関し、遺伝子の持ち主から提供を受けて、そのメカニズムを研究することにより治療法も見つかるのではないか。
また、ヒト以外の動物で、ヒトの臓器を作らせて、ヒトに移植するという方法も考えられているということです。
卵子や精子をつくることもできそうなので、倫理的な問題も生じてきそうなので、早目にガイドラインを作る必要性も唱えられています。9月28日の日経夕刊に、総合科学技術会議の生命倫理専門調査会で、受精卵作成の是非を検討し始めた、という記事が載っています。
●人間の修復能力(195頁)
ぷらなリアという小さな生き物がいますが、それは16等分したら16匹の新しいのが生まれるというすごい修復能力です。人間にも当然、修復能力があるんですが、一部は進化の過程で失われているかのように見えます。しかし、人間の修復能力も実は隠されているだけなのかもしれないという気はします。
☆関連図書(既読)
「二重らせん」J.D.ワトソン著・中村桂子訳、講談社文庫、1986.03.15
「ES細胞」大朏博善著、文春新書、2000.05.20
「遺伝子医療への警鐘」柳澤桂子著、岩波現代文庫、2002.05.16
「iPS細胞ができた!」畑中正一・山中伸弥著、集英社、2008.05.31
「iPS細胞」八代嘉美著、平凡社新書、2008.07.15
「「大発見」の思考法」山中伸弥・益川敏英著、文春新書、2011.01.20 -
特記事項は特にないが、とても読みやすいし、学問的にも一定のレベルが保たれているので、好感できる。山中さんのお人柄がよく出ているのではないか。奈良先端大も先見の明があったなあ。本書は、日本の科学研究に対する敬意を深めさせてくれる。