- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163750309
作品紹介・あらすじ
2010年6月、私は急性白血病だと告知された。
5年生存率は3分の1。急性白血病の宣告を受け、仕事も家族の世話も放棄しての緊急入院。抗癌剤治療、転院、そして骨髄移植…。
作家・加納朋子のたくさんの愛と勇気、あたたかな涙と笑いに満ちた壮絶な闘病記。
感想・レビュー・書評
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小説家加納朋子氏の白血病闘病記。
2010年6月に診断され、半年近くの入院生活を綴った日記。
抗癌剤治療や骨髄移植を受けたのだが、その日々の苦しさや様々な葛藤、その中で見つけた小さな喜び、家族や友達の優しさが書かれている。
ご本人の日記とともに、骨髄移植ドナーとなった弟さんの日記も掲載されている。
最初は"具合悪い"から始まる。著者の場合は貧血という症状がかなり出ていて、かかりつけ医で鉄剤を点滴してもらったりしてもなかなか治らない。
そのうち、血液検査で異常な数値が発見され、大学病院で白血病の診断がされる。
私はここまでの大病の経験は無いけれど、ある日突然"死ぬかもしれない"病気を告知されたショックたるや、本人もご家族も計り知れないでしょう。
それでも著者は主婦であり母親なので、具合悪い中スーパーで食材を買い込んだり、入院に必要なものをリストアップして調達する。
このあたりは同じ主婦の立場の方は共感出来るところではないかと思います。
入院生活では、抗癌剤の副作用の苦しさはもちろん、点滴の管や機械と行動を共にする不便さなど、本当に細かいところまで書かれていました。
また、日記という本人視点の文書からでも、家族の動揺や心配、状態が良くなって来た時のホッとした気持ちなどが伝わってきました。
プライベートな部分だからだろうけど、日記にはお子さんのことはほとんど書かれていませんでした。でも、少ない記述の中から、お子さんに対する愛情やお子さん自身の不安も伝わってきました。
しかし、著者は動けるときは体操をしたり、よかった探しをしたりして、とても前向きでした。もちろん落ち込んだ時期もあったけど、見習いたいものです。だからこそ、ご家族の側も支えられたのかもしれません。
何度かの抗癌剤治療、そして骨髄移植を経て退院します。その後に東日本大震災。物流が滞った影響が退院後調子の良くなかった著者にも影響しました。
今もお元気で作家活動をされていることにホッとしたのと、白血病を患った年齢が、私の親友が高校生の子供を残して逝った年齢と同じだということに胸がキュッとしました。
これからも素敵な作品を沢山書けますように。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ご自身の闘病記。
やさしい、暖かな物語を紡ぎだす加納さん。
とても強い方だと思いました。
つらい時にこそ、やさしく強くそして明るくありたい。
たくさんの勇気をいただきました。 -
加納朋子さんの闘病記です。
加納さんの作品は大好きでほぼ全部読んでいるのですが、この本の新刊案内を見た時は驚きました。
タイトルからして「あれ?」って感じだったのですが、内容を知って驚愕でした・・・・加納さんが白血病だなんて。
読んでみて、とにかく加納さん、明るい!前向き!
闘病記なのにユーモア溢れる内容で、クスっと笑えたりします。
アニメや漫画が大好きらしく(知りませんでした!)、病室でアニメを見ていたり、差し入れの本がほぼ漫画だったり(笑)
もちろん、急性白血病なんてものは大変な病気です。
治療も壮絶なのですが、その中でも良いことを探してみたり、髪が抜けても帽子やウイッグでおしゃれしたり。
とにかく前向きなんです。
治療の様子は相当過酷です・・・・
私なら絶対にへこたれてると思うような、それはそれは大変な多くの副作用とも戦わなければならない。それなのに、家族や医師や看護師さんへの思いやりを忘れず、常に自分で出来ることは自分で!と模範的な患者さんです。
そしてやれる事はやる!って言うのは病気に打ち勝つ為にもとても大事。それにしても、ももあげとか踏み台昇降とかやってるのはすごいと思う(゜д゜;)
だって白血病の治療中にもナイスバディへ近づく努力を普通しますか??
私なんて健康でもやってないのに・・・
ストレッチや運動で体力をつけたり、口腔ケアを念入りにされていたり、そういう日々の積み重ねが、治療の成功へと繋がっているんですね。
加納さんは、弟さんとHLAフルマッチだったので非常に幸運な患者さんではあったのですが、何よりもご本人の日頃の努力がすごいです。そして弟さんもまたすごい。弟さんは、加納さんのご病気を知ってからすぐに「自分はドナーになるかもしれない」と思って禁酒されたり、ずっと日記もつけていらして、それも掲載されています。
弟さんはじめ、ご家族の優しさもすごく書かれています。
そして!時折出てくる旦那さん(貫井徳郎さん)との会話も素敵ですね~。
貫井さんも好きな作家さんなので、お2人の日常(闘病中ですので日常ではないのですが)が垣間見れて嬉しかったです。
何気ない会話なんですが、お互いの愛情をひしひしと感じます。
加納さんの人柄がにじみ出るような、素敵な作品です。
闘病記なのに「素敵な」とか言うのは違うと思いますが、たくさんの人に読んで欲しい作品です。 -
作家である著者が急性白血病になった闘病記。
私はこの人の小説を一つも読んだことはない。
でも、常に前向きで、でもダメな時はちゃんと前向きであることを諦められる芯が本当に強い人であった。そして家族から愛されている人だと感じた。
そして、自分が闘病しているときも、闘病記を出すことも、他の白血病の患者さんの役に立てれば、と書いたこの著者をとても好きになった。闘病を応援したくなった。
ちょうど読んでいた時に同じ血液のがんである悪性リンパ腫だと母がわかった。母と同じように闘病する同室の人も同じ病気であった。この本が非常に役に立った。
この人の小説もいつか読んでみたい。 -
闘病記。病名は急性白血病。
病名発覚までの経緯から、退院後免疫抑制剤がゼロになるまでの記録。
この本を読んで、病気と闘うってこういうことなんだと教えられた。
加納さんはとても冷静で前向きだ。
病気の苦しさは伝わってくるものの、文章は全く暗くない。
きっと実際の痛みや苦しみは私の想像をはるかに超えるものなのだろうけれど、加納さんの文章を読んでいて1番感じるのは病気に負けていない心の強さだ。
加納さんはすごく強い、柔らかくて優しい心をお持ちだと思う。
加納さんの人柄に惹かれ、ご家族やご友人の優しさに感動する。もちろん医師、看護師、介助師の方々にも。
出来るだけ自分で動くこと、自分の口で食べること、病気と治療についての知識を得ること、…全て実践するのは困難だと思う。
でも、それぐらい本気で立ち向かわないといけないんだということ、闘いはそこからなんだということ。
白血病に限らないのではないか。
ドナーになったご家族の日記もあり、病気との闘いが患者だけのものではないことを改めて思い知った。-
「それでも辛い時間でした。」
大変でしたね、落ち着かれましたらお疲れを残さないよう。楽しいコトを一杯してください。
此処で書くコトではない...「それでも辛い時間でした。」
大変でしたね、落ち着かれましたらお疲れを残さないよう。楽しいコトを一杯してください。
此処で書くコトではないのですがTwitterでフォローしていた闘病中の女の子(@fight_Reiko)が逝ってしまって、、、2012/06/08 -
nyancomaruさん、ありがとうございます。
変なことを書いてしまってすみません…。
「闘病中の女の子が逝ってしまって」
そう...nyancomaruさん、ありがとうございます。
変なことを書いてしまってすみません…。
「闘病中の女の子が逝ってしまって」
そうなんですか…。
小さい子が病気で苦しむのは、本当に理不尽だなと思ってしまいます。(大人は違うと言いたいわけではないですが…)
その子の日々の生活の不摂生が原因である場合は極端に少ないですし、どうしてこの子がこんな思いをしないといけないのかと考えると、やるせないと言うか…悔しいと言うか…。
その女の子のご冥福をお祈りいたします。2012/06/08 -
「悔しいと言うか…。」
その子が、辛い治療に耐えているのかと思うと、ガンバレとか簡単に口に出来ないと思いました。
ご両親の無念さも伝わって、...「悔しいと言うか…。」
その子が、辛い治療に耐えているのかと思うと、ガンバレとか簡単に口に出来ないと思いました。
ご両親の無念さも伝わって、辛かったです。2012/06/11
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丁寧に綴られた
闘病記を読んでいくうちに
あぁ 何と
しなやかで しかも 強靱な
心を持っておられるのだろう
と 何度も思わせられました
改めて
彼女の作品を
もう一度 読み返してみよう
と 強く思いました
文は人なり
本当に その通りだな
と 思いました
それにしても
すてきな 旦那さまですね -
急性白血病、とある日突然診断されたら、どうするか?
フィクションの世界ではとかく有名な白血病ですが、実際に自分の身に降りかかるとはだれも思ってないものです。
その診断を突然下された作者自身の記す闘病記は、だからなによりもまず驚きと、戸惑い、そして怖れがさまざまな角度から混ぜ込まれながら描かれていきます。ひたすらに真摯に、戦っていく姿が綴られていました。
過酷なその戦いの日々のなかで、浮き上がってくるのは、一人きりでは戦っていけないのだという事実。医者や看護師、家族に見知らぬ血の持ち主。そんないろんな人たちの助けと、なにより自分の「生きるんだ」という力があってこそ、病と戦っていけるのだという実感を、読んでいて強く感じました。
それは希少なこの体験だけではなく、
普通の日常生活においても、実はそうなのでしょう。
日常の日々にはこれほどの意気を見せる必要がないから、気づきませんが、実際のところはさまざまな人々に支えられ励まされ、そして逆に自分の励まし、だれかの力となっているのでしょう。
あくまで私にとっては、ですが、…そうした人と人とのかけがえのないつながり、絆、についても考えさせられた一冊となってくれました。
なにより読んでいて感じたのは、
作者の人となりの素敵さでした。
この文字に記されてはいない厳しい日々もあったことでしょうが、それを感じさせていてもなお、前を歩いていこう愛しているひとのためになるべく死なないようにがんばろう、というまっすぐなポリシーを、とてもうつくしく、貴くも感じたのです。
このように誰に恥じることもなく生きることに貪欲でありたいな、と
そう思えました。 -
前知識なしで貸りたので、読み始めてからノンフィクションだと気付きショックでした。
加納朋子さんは大好きな作家さんなので、そのまま読み続けられず一度返してしまいました。
覚悟してもう一度読み始めたのですが、加納さんも旦那さんも小説家だからか事態を冷静に受け止めていて、文章や旦那さんとの会話もユーモラスで闘病記なのに所々で思わず笑ってしまいました。
弟さんからの骨髄移植が上手くいって本当に良かった。
完治出来ることを心から願っています。
『それからの日々』と『あとがき』で泣いてしまいました。
加納さんが書かれているように、震災の時に薬が手に入らず亡くなった方は少なからずいたはずなのに、その事に気がつかなかった自分に愕然としました。
人って、自分に関係のない事に鈍感なんだな…。
あと、加納さんがアニメ&マンガオタクっていうのが意外でした。
私と同じマンガが好きだというのが嬉しいです。 -
なかなか新刊が出ないなと思ったら、長く入院されていたんですね。
この記録は、同じ病気と闘っている人だけでなく、医療関係者のかたにも読んでもらいたいと感じました。
重篤な病気にもかかわらずポジティブで好奇心旺盛な加納さん。でも、病気の進行への不安、家族への感謝と心配、副作用の苦しさがじわじわ伝わってきます。
予後が順調でありますように。私が万一入院したりするとき、この本を必ず持っていきたい。 -
「ささやさら」「モノレールねこ」を読んで以来、
大好きな作家さんです。
恐ろしい病魔と、こんなにすさまじい壮絶な闘いをされてたとは・・・。
こうやって本を出版できるようになられて、本当によかったです。
ご主人やご家族、友人、周りの方々の支えの、何と温かいこと。
朋子さんの、何と勇ましいこと。
つらく苦しい闘病生活の中にもユーモアを忘れず、
何より、「元気になるんだ!!!」という強い意思を感じました。
病気になった時、朋子さんをお手本にします。