検察側の罪人

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163824505

感想・レビュー・書評

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  • 2016/11/24 500ページの単行本でしたが、後半からは一気に進みました。何か昔読んだような筋はあったけど傑作。★5

  • なかなか読み進められず、でも最後まで頑張って呼んだ甲斐があったと思う。

    検事のお話。
    新人検事が担当する事件の容疑者が、先輩最上検事の因縁の相手だった。
    最上がいた寮の一人娘が以前殺され、逃げ延びた犯人が今回別の容疑者になる。

    最上筆頭に今回の事件に関しては犯人じゃないそいつを、なんとか犯人に仕立てあげるお話。

    それを疑問に思い検察を辞めてまで容疑者を助ける新人。

    結果的に先輩検事の最上さんを逮捕することが出来たけど、その犯人は結局クソやろーだし正義って何?
    新人くんがしたかったことって何?
    最後はスッキリ!!じゃなく、彼のもやもやと自問自答で終わるところが良い。

    正義とは、正しいとは、人が人を裁くとは。
    感情を持った人間が、他の人の罪に関して制裁を決めるっていったいその制度なんなの。

  • 正義っていうのは
    痛みを伴わずに振りかざすことが可能な凶器。
    権力者の大義名分。
    だけど、爛れた欲望から生まれる悪意に立ち向かえる折れないつっかえ棒にもなるんだよな。

  • 冤罪は決して起こしてはいけないこと。最上の正義がズレてしまったのは悲しい。そこで沖野が立ち上がり、かつての尊敬する最上と対立関係になるが、最後で結局正義とは何なのか自問自答してしまう。

  • 最後の松倉見てたら冤罪で死刑になっても
    やむなしだったかも。
    検事でも裁判官でも弁護士でもだろうけど権力をもってて
    上に立つ人間ほど私情に踊らされてはいけない。
    映画版、松重さんの諏訪部役は見てみたいなあ。

  • ストーリー自体はさすが雫井さんで、
    読み始めはスローだったけど後半はぐいぐい読めた。

    ただ、どうにもこうにも理解できないところもあった。
    最上の家族の心情とか。
    松倉の今後をどう考えるべきか、とか。

    沖野はどんな人生を送るのかな。

  • 警察が犯人と目星を付けたら、そこからその容疑者を犯人にするべくストーリーが組み立てられ、それに沿って証拠集めをしてく。
    こういうふうにして冤罪は作られていくんだなーという思い。

    それに対して、まっすぐに正義を貫こうとする若手検事沖野。

    すっかり沖野に肩入れして読んでいたけど、沖野の正義は貫かれたはずだけど、どうなの。

    晴れて釈放された松倉の態度と白川弁護士の言葉。
    もう、これ、わたしの中ではどんでん返しとも言える衝撃だった。

    沖野がすべてを投げ打って貫いた正義は正しかったのか・・・なんてしみじみ考えさせられてしまった。
    もちろん、冤罪は絶対あってはいけないことだけど。

    この作品で泣くとは思わなかったけど、沖野と一緒に泣いてしまったわ。

    • xxnenexxさん
      奥野ってだれですか?読みました?
      奥野ってだれですか?読みました?
      2018/05/06
    • ひかるさん
      あ、沖野でしたね。失礼しました。訂正しておきます。
      あ、沖野でしたね。失礼しました。訂正しておきます。
      2018/05/06
  • 東京地検のベテラン検事・最上毅と同じ刑事部に、教官時代の教え子、沖野啓一郎が配属されてきた。ある日、大田区で老夫婦刺殺事件が起きる。捜査に立ち会った最上は、一人の容疑者の名前に気づいた。すでに時効となった殺人事件の重要参考人と当時目されていた人物だった。男が今回の事件の犯人であるならば、最上は今度こそ法の裁きを受けさせると決意するが、沖野が捜査に疑問を持ちはじめる―。 (「BOOK」データベースより)

    冤罪はこうして作り上げられるのか・・という本。実際こんなことまで起こるのか本当のところはわからないけど、時々ニュースで見る冤罪、こういうこともあるのかも。怖いなぁ。前科とか、日ごろの生活とか、そういうことで狙われるんですね。でもこの物語の中では、時効になったひどい事件の犯人なので、いいぞ、やっちゃえとも思う自分がいました。

  • 新刊として発売された直後に図書館で予約。待つこと半年。気長に待った甲斐があったと思える作品。
    正義とは何か?なんて考えさせられると言えばそうだが、タイトルからして内容が類推できる。とはいえ、ストーリー展開としては非常に面白く、現実問題として「こんな検事おるか?」「そんな奴おらんやろ!」って突っ込みを入れながらも後半部分はグイグイと引き込まれた。
    検察も組織だから縦割りになっているのも分かるが、なんかしっくりいかないものが残った。さらに。時効が成立した殺人事件の犯人。自分勝手な行動が発端となるが、最後の最後まで自分勝手な人物として描かれている部分をみるとちょっと後味悪い作品でもあるが、500ページ以上かつ図書館に返却する時間も気にしながらも珍しく集中して一気に読めた。

  • 2014/3/17読了
    最上と学生寮で可愛がっていた少女との間にはもう少し何か深い関係があったのではないかと最後まで考えていたが、特段何かあったわけでもなく、松倉を嵌めるために殺人をする動機がイマイチ薄いなぁと感じた。

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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