検察側の罪人

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163824505

感想・レビュー・書評

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  • 2018.6.18

  • 老夫婦宅を襲った強盗殺人事件が発生。捜査を担当することになったベテラン検察官の最上は容疑者の名前を聞いて驚愕する。かつての時効となった少女殺人事件の容疑者と同一人物であり、殺された少女は最上にとって家族同然のつきあいだった。

    時効のために裁くことのできなかった犯人をこの事件で必ず裁き、少女のかたきを討つ。そう誓った最上は強引な捜査を指揮し、ついには自らが法を犯すことさえ躊躇しなくなる。そんな最上に対して、部下の沖野はついていけず、疑惑の目を向ける。

    あまりにも極端な最上の正義感だが、そこまで自分を追い込む最上の心情には納得できる。また、実際に起こった冤罪事件の多くだって、捜査側の思い込みや無理強いによるものばかり。納得できる部分もある。

    犯人があらかじめ提示されて進展するミステリー作品なので、意外性を楽しむのではなく、最上と沖野の検察官同士の対立が見どころ。

  • 講義終了の際、叱咤激励の言葉をかける最上から始まったけれど

    対比、となるのかもしれないけれどとにもかくにも他の方々も書いてるようにそもそもの事件の被害者女子中学生や遺族とのストーリーが薄く、20年近く法曹界に身を置く人間が人を殺めるには動機が薄すぎると思った
    叡智であることは間違いないが万能では無い、ということばがその後の行く末を現していたのだろうけれど、突き動かす程の関係性や知られざる真実や、弓岡・松倉共々を消さなければならないやむを得ない事情があった、等では無かった為か、「正義とは」を前半沖野に語らせてはいても読者側としては【最上は最上で正義を貫いた】とすんなり納得出来る流れではなかった

    松倉から感謝されるならともかく、胸くそ悪い言動で件の事件自白自体を否定する後味の悪さ
    正直、「え、最上なにしてんの?」「え、証拠隠滅にあきたらず銃手配してやっちゃうの?え??」「沖野に諏訪部紹介したようなもんなのに足がつきそうな共通の知人に銃頼むとか浅はか」だとか、ただただ純粋にそんな単純な部分で突っ込みどころ満載でした

    そもそも、時効成立後たまたま目にして思い出した「逮捕直前まで追い詰めたものの証拠不十分」で捕まえられなかった松倉のことを今更そこまでして詰める?由季との関係性、描写、思い入れみたいなものは読者側は全然感じなかったと思う
    そんなに蟠ってたって言うなら、
    今更感とそれまでの検事生活?の中で掘り起こそうとか時効までにどうにかひっくり返そうとか無かったんだろうか

    これがこの「検察側の罪人」のストーリーなんだから、そうなると小説成り立たなくなるしそれまでの話なんだけどw
    映画ではどのようになるのかな

    とりあえず、個人的な印象では最上ってもっとこう威圧感というか威厳ある紳士なイメージであって、HEROの久利生検事なキムタクじゃちょっと若々し過ぎるというか…
    うーん、
    とりあえず原作はおいといて実写映画化すると途端に活きる話少なくないから期待して待ちます

    因みに、同じ雫井さんのお話クローズドノートと火の粉(ドラマ)はすきでしたよ

  • 事件の筋道通りに証拠を集めてって本当にあるのだろうか?冤罪ばかりになる気がする。
    しかしそのまま読み進めて松倉に対して、途中ちょっと同情してしまった自分を恥じる。この物語の終結を見る限り、松倉は何か罰を受けて欲しかった。

  • この作家、「望み」でがっかりしたので本作はどうかな・・とあまり期待せずに読んだが、なかなか読み応えがあり面白かった。

    最上が松重の部屋で、ダウンジャケットの羽毛を取ったりレシートをもみ消したりした辺りでは「ああ、だいたい読めたわ、こんな程度か」と思ったが、自分の予想を超える展開になりました、ごめんなさい笑。

    人物描写も丁寧で今回はだいぶリアルに感じる内容も多かったが・・でも、やっぱり最上がそこまでやるか、という事についてどうしても現実味がなく。その点で、読んでいる間は楽しいものの、長く心に残るか、と言われるとそうでもない作品に感じてしまった。沖野のまっすぐさも良かったが最後ああいう締め方しかなかったんだろうか。そこは作者の力量の問題か?(雫井さん、再度ごめんなさい・・)せっかくのここまで力作なら、最後もう少しうまくまとめて欲しかった。

  • まさか!の連続で、主人公が先輩を追い詰める様子にハラハラし、本をめくるページがとまりませんでした。ダメなんだけど先輩をかばいたい。最後は何か報われなく、ちょっとやるせない気持ちに。正義って難しい。
    でもキムタクと二宮くんがどう演じるのか楽しみ。

  • 最上側に共感しっぱなしで、終始沖野には共感できず。
    ただ、それがゆえに終わり方はより考えさせられるものとなった気がする。

  • タイトルのセンスがなさすぎる。
    設定はよく取材して書かれてると思うけど、途中どの登場人物にも全く感情移入できず、結末も胸くそ悪い。
    PとGが唐突に男女関係になったのも話の邪魔をしていて、話の進め方といい初めから映像化を狙っているような感じ。
    HEROを見て法曹を志した世代としては、キムタクに最上を演じて欲しくない。

  • 冤罪が生まれる様が怖いくらいに書かれています。
    ここまでひどい事はないハズですが、被疑者の取り調べ家庭などは読んでいると怖くなります。
    また、正義とは何かについても考えさせられます。
    ラストはこれで本当に良かったと言えるのだろうかと考えさせられました。
    主人公である沖野と先輩検事の二人の視点があるので、物語の幅が広がっていると思います。

  • 面白かった、一気に読めた
    途中から検事の行為がつらくてつらくて。さすが雫井さんだなぁ。

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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