ミッドナイト・バス

著者 :
  • 文藝春秋
3.74
  • (71)
  • (205)
  • (143)
  • (19)
  • (2)
本棚登録 : 1000
感想 : 175
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900063

作品紹介・あらすじ

東京での過酷な仕事を辞め、故郷の新潟で深夜バスの運転手をしている利一。ある夜、彼が運転するバスに乗ってきたのは、十六年前に別れた妻だった――。父親と同じく、東京での仕事を辞めて実家に戻ってきた長男の怜司。実現しそうな夢と、結婚の間で揺れる長女の彩菜。そして、再婚した夫の浮気と身体の不調に悩む元妻、美雪。突然の離婚で一度ばらばらになった家族は、今、それぞれが問題を抱えて故郷に集まってくる。全員がもう一度前に進むために、利一はどうすればいいのか。家族の再生と再出発をおだやかな筆致で描く、伊吹有喜の新たな代表作!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み

  • 「ミッドナイト•バス」by伊吹有喜

    深夜の高速バスの運転手である高宮利一。

    東京の大学を卒業し、不動産開発の会社に就職、結婚。過酷な仕事を離れてゆっくり生きようと地元新潟に帰り、高速バスの運転手に。

    妻美雪は16年前に家を出て離婚。

    手元で育てた娘彩菜、息子怜司もそれなりの年頃となり自活するも、うまく社会には乗れていない。

    互いに慕い合う小料理屋の志穂。

    利一を始め皆それぞれ繊細で人の気持ちに気がつくが故に自分を息苦しくしていく。そんな彼等が交わっていく..

    新潟を深夜に発ち、東京に向かうバスはやがて長いトンネルを超えていく

    夜の世界がトンネルを越えると明け方を迎えるように
    吹雪の世界がトンネルを越えると晴れた朝を迎えるように

    彼等の人生も新しく輝いて欲しいな。

    .

  • 最近伊吹さんの作品をよく手に取ります。

    こちらは高速バスの運転手とその家族の物語。
    新潟を舞台にしているからか
    雪のような静かな印象の作品でした。


    出てくる人たちがみんな不器用で
    なかなか話が進まないところはあるんですが
    ひとりひとりのことを丁寧に書かれてて
    共感しやすく、応援したくなります。


    特にこれから築き上げる未来のある志穂と
    人生の終わりを意識し始めたリイチのすれ違いが
    なんとも辛かったです。
    常連客に決して恋人とは思われないのも悲しい。
    年齢的に志穂の目線になりがちなので
    志穂のタイミングの悪さも可哀想でした。。


    また、体の不調を訴える美雪の様子も
    40代、50代の不調や憂いをとても感じ
    あぁこれからこういうことが待ってるのか、
    こんな風にすれ違ってしまうのだろうかと
    思いながら読みました。

    あと10年経ってから読むと
    また違った気持ちになりそう。

    美雪が言っていた
    昔見た映画や小説で
    あの時は若い主人公に共感したけど
    今は脇の登場人物に感情移入するというのに
    すごく共感しました



    ホントみんななかなか
    本当のことを話してくれなくて笑
    『あれはどうなったんだ??』が
    解決しなくてヤキモキすることもありました

    でも生きるってこういうことかなとも思います。



    やっと終盤の終盤にいい流れが来て
    最後はスッキリでき、いい読了感でした



    『もう一度 人生を前に進ませよう』

    • yhyby940さん
      原田泰造さん主演で映像化されています。割と楽しめました。機会があれば、ご覧になってみては。フォローさせていただきたいと思います。よろしくお願...
      原田泰造さん主演で映像化されています。割と楽しめました。機会があれば、ご覧になってみては。フォローさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
      2024/02/25
    • どんぐりさん
      コメント、フォローありがとうございます(^^)

      原田泰造さんなんですね!なるほど!
      見てみたいと思います(^^)

      わたしもフォローさせて...
      コメント、フォローありがとうございます(^^)

      原田泰造さんなんですね!なるほど!
      見てみたいと思います(^^)

      わたしもフォローさせていただきました
      映画もたくさん登録されてるんですね
      なかなか映画を見る機会が減ってるので
      レビュー楽しみにしています(^^)
      2024/02/25
    • yhyby940さん
      どんぐりさん、コメントありがとうございます。フォローも頂き、ありがとうございます。
      どんぐりさん、コメントありがとうございます。フォローも頂き、ありがとうございます。
      2024/02/29
  • 感想
    筆者の作品にいつも感じるのは、細かい心情描写が絶妙で、自分であらすじをまとめ直すとなんだかいつも陳腐になってしまうことだ。

    タイトルの通り、深夜バスの運転手が主人公で、穏やかな人である。ミッドナイトが示す通り、話としては明るいものではないが、静寂な深夜に走るバス、包み込むような優しさを感じる物語だった。

    各章の最後に深夜バスに乗った人それぞれのショートエピソードをおり混ぜているところも印象深い。

    最後でようやくバスは朝に向かって走り出すシーンがあり、明けない夜はないのだ。ということにホッとした。

    あらすじ
    深夜バスの運転手の利一は、十数年前に離婚し、二人の子供、怜司と彩菜も成人し、独立していた。自分の今後を考えようと東京で出会った一回り若い彼女である志穂を新潟の自宅に招いたところ、東京で働いていたはずの長男の怜司が仕事をやめて家に上がり込んでいたところに出くわす。

    それから怜司との生活が始まり、彩菜の子供向けアイドルの手伝い、別れた妻の美雪との出会い、義父の世話、志穂とのすれ違いなど、様々な出来事が去来する。まるで深夜バスのように。

  • 「四十九日のレシピ」を読んで、他の作品も読んで見たいと思い今回はこの本を読んでみました。

    高速バスの運転手が主人公。
    この運転手の関わる家族や身近な人たちのそれぞれの話にもつながっていきます。
    話が次々と展開していくので、内容盛りだくさんですが、その行動や言葉なんかに本当の気持ちが隠されていたりして、読みながら感情が入ってきちゃいました。
    445ページと結構長いですが、いくつかの章に分かれていてとても読みやすかったです。

    また違う作品も読みたいと思います。

  • 夜行バスの運転手を主人公に、家族、恋人等の人間模様を丁寧に描いた作品でした。色々忖度しすぎの優しい登場人物が多くて、最後はまぁ落ち着くところへ向かっていくので、読後感は良いのですが、有里さんはその後出てこなかったように思うので、彼女のその後だけ気に掛かります。

  • 深夜バスの運転手をしている男性。そのバスの乗客。そこには様々な人間模様がある。夕方の電車で乗り合わせた人達を見ると帰る家を想像しこの人の数だけ物語があるのだなと思う事がある。
    運転手の男性が別れた妻と偶然に再会し、これまで家族が背負っていた忸怩たる思いが表面化して行く様は辛い。けれど登場人物の誰もが、他者を責めるだけでなく、そこに優しい思いやりも見え隠れする。
    過去の家族の形には戻れないけれど、目を背けずにしっかりと向き合う事で愛情を確認出来、これからの生きる力になって行く未来が見えほっとした。

    • yhyby940さん
      おはようございます。映像作品も以前鑑賞しました。主演は、原田泰造さん。もし機会があれば、ご覧になってみてください。
      おはようございます。映像作品も以前鑑賞しました。主演は、原田泰造さん。もし機会があれば、ご覧になってみてください。
      2023/05/25
    • 秋桜さん
      原田泰造さんの演技力なかなかですよね。是非、観てみたいです。有り難う
      原田泰造さんの演技力なかなかですよね。是非、観てみたいです。有り難う
      2023/05/25
    • yhyby940さん
      ご返信ありがとうございます。原田泰造さんは硬軟多彩な演技ができる役者さんだと思っています。機会があれば、どうぞ。
      ご返信ありがとうございます。原田泰造さんは硬軟多彩な演技ができる役者さんだと思っています。機会があれば、どうぞ。
      2023/05/25
  • 東京での過酷な仕事を辞め、故郷の新潟で深夜バスの運転手をしている利一。
    ある夜、彼が運転するバスに乗ってきたのは、十六年前に別れた妻だった――。
    父親と同じく、東京での仕事を辞めて実家に戻ってきた長男の怜司。
    実現しそうな夢と、結婚の間で揺れる長女の彩菜。
    そして、再婚した夫の浮気と身体の不調に悩む元妻、美雪。
    突然の離婚で一度ばらばらになった家族は、
    今、それぞれが問題を抱えて故郷に集まってくる。
    全員がもう一度前に進むために、利一はどうすればいいのか。
    (アマゾンより引用)

  • 東京の仕事を辞め、故郷の新潟で長距離深夜バスの運転手に転職した利一。若い恋人を呼んで準備していたところに、息子が傷ついて帰ってきた。娘は婚約者との結婚に踏み出そうか迷っていた。どんな形でもいいからリイチさんの人生の隙間に居させてという恋人がいるのに、優しさのせいか元妻と揺れて優柔不断で嫌になった。途中の彩菜の仕事がほっこりしたのと人が怖いと言ってた怜司が「家族がいたんだ、守られていたんだ。その記憶ひとつで、僕はもう行けるよ」と前に進めたのと、まあリイチさんも仕方ないかシル・ブ・プレ。アリガト、アビヤント〜

  • アビヤント

  • 読友さんお薦めの1冊。東京・池袋と新潟・美越を結ぶ夜行バスが運転手と乗客の人生を運んでいく。主人公はバス運転手の利一。利一には志穂という東京で料理屋を営んでいる女性がいる。とある日、乗客として利一の前妻・美雪が乗り込む。彼女は疲弊しきっており、利一が心配になり、時々美雪と会う。利一の息子の怜司、娘の彩菜、志穂、そして美雪の複雑な関係となり、1つ1つ紐がほどけていく。志穂の寂しさ、美雪の苦痛、子どもたちの葛藤、利一が不器用ながら暗闇を走り抜ける。それぞれの暗闇に涙が出る。彼らの幸せを祈らずにはいられない。⑤

    https://prizesworld.com/naoki/senpyo/senpyo151.htm  厳しい直木賞選評でした。。。「〈断ち切れない過去〉というテーマから必然的に回想の多い構成になるところに、さらに現在パートにも「○日前」「一週間前のことだ」などの短期の回想が入り込み、読んでいてときどき混乱してしまうことが気になりました。」BY 宮部みゆき なるほど~

全175件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊吹有喜の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×