憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークXI

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900896

感想・レビュー・書評

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  • シリーズが一旦終了したあと、割と早く再会できました。もっと長く休むのかと思ってた。
    マコトたちは20代後半。昔は思いきり走ってるような焦燥感、スピード感があったけど、ずいぶんと落ち着いてきました。
    年齢を重ねたのはマコトたちだけじゃない。読み手(私)も歳を重ねて感じ方、受け止め方が変化しているのかもしれない。
    なんだかんだ言っても次の巻が出たら、また読むんだけど。このシリーズ、好きなので。

  • ドキドキやスリル、疾走感に魅了されたシリーズだったけど、目的が変わってきた。脱法ドラッグ、こんな事件があったよね。ギャンブル依存症についてこう感じているよ。非正規雇用やヘイトスピーチ、どう思う?と作者と話しているような気持ちに。文体がマコトの語り口調だからでしょうか。石田衣良さんの意見はこうなんだ、あの人は世界をこう見ているんだな~と。日常生活で大きな声で意見交換をするテーマではないから、大人の意見の1つとして知ることが出来て良い。
    小説としても作者の文章は比喩がキレイで的確で楽しめるけど、内輪ネタが多くてびっくりしたかな。やっぱりシリーズになって長いから、仕方ない?マコトのトラブルシューティングという言葉はもうしっくりこないし、出てこない(たぶん)。タカシがいてサルがいて、マコトには強力なネットワークが十分すぎるほどあるから、奇想天外な展開もない。それでもIWGPシリーズが大好きで彼らのこれからを見せてもらいたいから、何度でも読むし、新刊が出たら同じようにワクワクしながら手に取るのだと思う。

  • このシリーズは旬の話題を盛り込んでくるなあ。いつも感心する。今回、脱法ハーブ、ギャンブル依存症、ノマド、ヘイトスピーチ。

  • 池袋ウエストゲートパーク11
    今回も、脱法ハーブやギャンブル依存・ヘイトスピーチ団体などの社会問題をテーマに、マコトの軽妙な語り口で進められていく。
    最近ますますキングと関わりが増えて、問題解決には必ずGボーイズの暴力に頼っている感がある。
    まあ、マコトが策士で実行役がGボーイズのメンバー、それをつなぐキングという図式が固定化されてきた。
    さらに、揉め事の入口はキングで、お金ために働くGボーイズ。
    もう少し、キャラを魅力的に表現してあげられると嬉しいのにな。

  • IWGPシリーズ第11弾。
    北口スモークタワー 脱法ハーブの話。
    ギャンブラーズ・ゴールド パチンコ狂いの男の話。
    西池袋ノマドトラップ 情報商材ネットビジネスの話。
    増悪のパレード 中国人を恨む団体と地上げビルの話。

    最後のところで、サル、キング、マコト、クー、メイファで花見をするシーンがあり、とても珍しく思った

  • 「若者」のイメージだったマコトたちもアラサーに。
    いろんなトラブルが起きて、その根底には時勢のせいでいろんな思いをしている人がいて。
    相変わらず面白くて一気読みしてしまった。

  • 脱法ハーブ、パチンコ依存症、ノマド、ヘイトスピーチ、数年前に刊行されたにも関わらず、時事的で、一気に読んでしまう。
    格差社会が産んだもの。それでも、生きることを選択した我々は、何を選んで進むべきか。
    IWGPは永遠に不滅です

  • 久しぶりにシリーズ読みました。
    間が抜けてるのかクーちゃんの存在が分からない。
    今回は脱法ドラッグにギャンブル依存症、ノマドワーカーに ヘイトスピーチ。
    ニュースでちょっと見た名前だけ知ってる出来事に肉がつくので、このシリーズはいいなと思います。

  • ・北口スモークタワー…脱法ドラッグ
    ・ギャンブラーズ・ゴールド…ギャンブル依存症
    ・西池袋ノマドトラップ…ネット世界の非正規雇用
    ・憎悪のパレード…ヘイトスピーチ

    現代に生きる私たちは、なんと簡単に人生を転落していくことが出来るのだろう。
    脱法ドラッグを扱っている店舗がある。
    店舗がある?
    あるんです。
    「決して吸引しないでください」と注意してから売られるそれは、一歩店から外に出ればどのように使われているかは明らかである。
    らりった人間が起こした事故のニュースはもはや珍しいものではない。
    けれど注意喚起した店は責任を問われず、「吸引用ではない」脱法ドラッグを売り続ける。

    “マリファナには健忘作用がある。つらくて嫌なことを忘れさせてくれる。だが、同時によいことや忘れてはいけないことも失われてしまうんだ。わたしは自分の子が、どんなふうに最初の言葉を話し、どんなふうに歩き、幼稚園や小学校にどう入学したのか、完璧に忘れてしまった。目のまえに子どもがいる。でもこの子がどう成長したのか、まったく覚えていないんだ。”

    つい最近もスポーツ選手がギャンブルに手をだし、手に入れるはずだった未来を失ったというニュースが流れました。
    1000万円負けても、まだやりたいと思うのなら、それは完全なギャンブル依存症です。
    病気なのだから、病院で治療しなければならないものなのです。

    “「あなたは今も、どうやって嘘をつこうか考えていますね。どうやって金をつくり、ギャンブルをしにいくか。成功は物と金をいかに手に入れるかだと、心の底で信じている。いつも自分を正当化して、相手のわずかな傷も許さずに責め立てる。ひとときも心が休まるときはない。」”

    自分の都合のいい時に短時間だけ働けば、高収入が約束される。
    そんな煽り文句でノマド生活を始めた人も大勢いるらしいが、その実態はウェブの更新とアフィリエイト。

    “新しい働きかたなんて、メディアがいうのはほとんど幻だよ。IT仕事のどん底で、低賃金の骨折り仕事を大量にこなさなくちゃ生活していけない。優雅なノマドなんて、全体のほんの一割くらいじゃないかな。”

    そしてヘイトスピーチ。
    徹底的に他者を否定する。
    自分が否定される前に他人を否定するのか、自分を上に見せたいから他人を否定するのか。
    否定される痛みに気づかないまま、攻撃はますます激しくなっていく。

    “おれには格差社会というのは、自分より下の人間にはどんなにひどいことをしてもいい社会に見える。生活保護を受けている人間、在日の中国人や韓国人、非正規雇用のワーカーたち。ネットを開くと憎しみの言葉が泥の奔流のようにあふれだしてくる。”

    マコトもタカシも20代後半になって、Gボーイズに至っては、凄腕の町の自警団のような感じ。
    気が付けばやんちゃ感がすっかりなくなったなあ。

  • 相変わらずの面白さと読後感のさわやかさ。
    少し、入れてくる現代問題がわかりやすい。

著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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