ほんとうの花を見せにきた

著者 :
  • 文藝春秋
3.94
  • (108)
  • (138)
  • (96)
  • (13)
  • (3)
本棚登録 : 1190
感想 : 143
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901275

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 涙が止まらない。
    桜庭小説の集大成と感じるくらい今までのいろいろな小説のいろいろな要素を持っていて、でも今までになかった要素もたくさん持っている。

    一章が濃くて重くて惹かれ過ぎて二章、三章の印象が薄らいでしまったのが残念。
    一章が本編で二章、三章がサイドストーリーという扱いだったら納得できたのになぁ…。

    洋治が切なくてつらい…。
    主要キャラがほぼ全員男性って珍しいなぁと思った。女の子に化けてたといえ男の子主人公でも桜庭節炸裂してたので男の子主人公もいけるんだなぁ…。これからの作品が楽しみ。

    しかし時代設定というか世界観が良く分からない…。

  • Message body

    なんだろうね
    一樹の書く作品は胸に響くよ
    特に一樹が描く家族には

    『ちいさな焦げた顔』は号泣しながら読んだよ
    洋治はきっと満ち足りて燃えたんだろう
    愛するものを守れる誇りで
    長い間生きてきてムスタァと暮らして、梗ちゃんを育ててさ
    ムスタァも梗ちゃんを愛して愛して、暖かくなったんだろう
    幸せだったんだろう
    梗ちゃんと離れるのも寂しくなかったんだろう
    それは火だから
    最後に燃え続けた火に再会してムスタァはどんなに嬉しかっただろうか
    自分が拾って何よりも大事に育てたから
    人間の家族以上に愛に溢れてた
    泣いたよ
    久しぶりに


    他の2編はバンブーの話だった
    類類は洋治を処罰した
    国を出る時からの仲間だったのに
    類類にとっては姉の考えは絶対だったのかな?
    大好きな姉の代わりをし続けて変わってしまったのかな?
    洋治は類類のことも類類の姉のことも知っていた
    自分たちが作った法で裁かれるのは本望だったのかな?
    洋治の寿命は近そうだったけど

    少し、萩尾望都のポーの一族に似ていると思った

  • アジアンテイストの吸血鬼のお話。桜庭さんの真っ黒なお話を期待して読んだ最初の方ちょっとがっかりしたけど、最後まで読んでとても良かった。自分より大切な誰かのために全て受け入れるそういうお話。

  • 「ちいさな焦げた顔」で号泣。
    正直、超上質なBLじゃんと思いながら読んだ。
    もうめちゃくちゃ泣ける。切なすぎる。切なすぎるけど最高のハッピーエンドでもある。だから安心して読んでほしいしどちゃくそに悶えてほしい。読みながら何度「ああああああ」と転がり回ったか分からない。最高。桜庭一樹に感謝。足を向けて眠れない。
    この素晴らしい小説をBLって言葉で表しちゃいけないのかもしれない。
    時代に置いていかれたような街だから治安も悪いしやるせないことで人が死ぬ。これは人間とバンブーの壊せない、美しい絆の物語だ。親子であり兄弟であり恋人でもある。ただ一つの存在のあなた。唯一の君。燃え盛る火。ぼくのバンブー。
    おいおいやっぱりめっっっっちゃ上質なBLやんけ。全国の腐女子読んで。

    「ほんとうの花を見せにきた」
    一章では大人になった梗ちゃんに名前を忘れられてしまっていた茉莉花だけど、桃はちゃんと覚えてくれていた。そこにすごく救われた。
    梗ちゃんの秘密を、鼻を削がれてまで守ってくれた茉莉花。そんなあなたが愛される喜びを知ってくれて本当によかった。友達に最後を看取ってもらえて、花を見せてあげれて、本当によかった。

    「あなたが未来の国に行く」
    あんなに怖かった類類が、あんなに可愛かったなんて信じられる……??
    偉大なる国王が、王になる前は快活でごく普通の青年だったのと同じように、あんなに可愛い類類もまた、つらい過去を乗り越えて“王”になるしかなかった。姉さんが残してくれた法律をしっかりと守り、皆に守らせながら。王になるしかなかった。生き残ったのだから。未来の国に来たのだから。
    そう思うと憎めなくなった。なんて頭の堅い法律を!と思っていたけれど、でも類類はどうしたってその法律を守るしかなかったんだ。時代と共に法律を変化させていくこともきっと難しかった。中々どうして上手くいかないね。とにかく人間が悪かったんだよ。
    みんなしてバンブーをいじめて、いじめるバンブーが居なくなると人間同士で殺しあって。臆病な生き物め。
    そして洋治はこの時からあの赤い本を大事に持っていたのだと思うと。そして彼が最期に言った「……すべてを受け入れよう」の言葉!
    あの言葉がこんな昔から覚悟したものだなんて思わなかった。洋治。洋治きみはずっとずっといい奴だった。君もたくさんツラい思いをしてきたはずだ。類類が持ってきた法律に一番苦しめられたのは君かもしれない。みんなが信じた賢い王女様が作った正しい法律。それを君は熱心に守ってきただろう。そしてまさか罪を犯してあの時一緒に逃げた仲間、類類に裁かれるなんて思ってもみなかったろう。(そしてそれは、きっと類類も同じだ)
    でも君はそれを運命としてすべて受け入れた。もうずっと前にその覚悟をしていたからだ。ずっと前に覚悟をしていた君が、ムスタァと梗ちゃんに出会えてよかった。大嫌いだったであろう、自分達を迫害してきた人間たち。そんな人間の子どもを育ててくれてありがとう。梗ちゃんをたくさん愛してくれてありがとう。成長に喜んでくれてありがとう。

    天国で、また三人で暮らせますように。

  • 人の生き血を吸い、生きたままの肉を食らう食肉植物バンブー。

    一家惨殺の生き残り「梗」を無償の愛で育てる「ムスタァ」と「洋治」。 もう、最初から引き込まれた。

    有りがちな話しだけど……優しいバンブー2人の愛情と悲しい別れに涙です。生きてる事、血が通ってる事の素晴らしさ。
    人間の愚かさ。
    何て感想を書いていいか分からないほど、私には良い本です。

    バンブーの温かい愛が凄く良くて、消滅していく洋治とムスタァが、ただ、ただ悲しくて、でも温かい……そんな一冊でした。

    生きて行くって嬉しくて愛しくて、悲しくて辛くて、欲深いね。

  • バンブー、の物語が三作。
    ちゃんと繋がってます。
    不思議な世界なのですが、リアリティを感じてしまいます。
    疲れた時に、私は読みたくなる桜庭さんの作品。
    また、何か探して読んでみます。

  • 生きることは、変わること。悲しくても辛くても、火を絶やさず前に進むこと。

  • 人間の血を飲み長く生きる竹の妖怪、バンブーの話。洋治の運命がせつない。洋治が海を渡って人間から逃れる前から、赤い詩集によって自分の運命を悟っていたのかもしれない。
    バンブーたちの体は冷たそうだけれど、梗ちゃんとのやりとりや関わり合いの中で、バンブーの気持ちのあたたかさを感じた。

  • 生きろそなたは美しい

  • お話繋がってるんですね。

    すんごい幸せだったろうな。
    一緒に暮らすことができていた時の3人は。

    気持ちがひしひしと伝わってきて、イタい程でした。
    人が誰かを想う想いってきっといつの時代も変わらないんだろうな〜と思います。

全143件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桜庭一樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×