キャプテンサンダーボルト

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901947

感想・レビュー・書評

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  • ちょっとしたことから妙なことに巻き込まれてしまう。
    考えられなくもない間違いだなぁ。
    ヤバイと思うけど、もう引き返せない。
    えー、どうなるの? とグイグイ引き込まれる。
    こんなにかっこよく立ち向かえないよ。

  • キャプテンサンダーボルトというタイトルのセンスと評判の良さで買った。まぁよく話も練ってるし、文章だって下手ではない。けど読ませない。久々に小説を読んでて飽きてしまった。映画化とかしそうなタイトルとストーリーかな。ストーリーとかその周りの伏線とかはまぁよく考えてるけど、とにかく読ませない。逆の方がよっぽど良い。この手のものが自分の好みではない事がよくわかった。

  • ★2015年2月7日読了『キャプテンサンダーボルト』阿部和重・伊坂幸太郎著 評価B+
    伊坂のいつもの設定のように東北地方仙台に加えて山形蔵王が舞台。そして例によって、主人公が突然、非日常の事件に巻き込まれていってしまう怒濤の嵐のような数日が物語の中心。

    主人公の相葉時之は、山形出身で高校中退で何故かそのつもりもないのに助けようとして自分がドツボにはまり大きな借金を抱えてしまうことを繰り返していた。その結果、もうすぐ実家も売り飛ばされてしまいそうな境遇。ひょんなことから、また人助けの復讐劇の詐欺を働こうとして、外人密売組織に命を狙われてしまうことになる。

    山形から仙台に逃げ込むのだが、仙台市内の映画館で、山形の同郷出身で小学生の頃からの野球仲間の井ノ原悠に偶然出会う。そこでまた、外人密売組織の追っ手であるメンター・銀髪の怪人に追い詰められるが、井ノ原とのサインプレーで何とか逃げおおせる。複写機営業マンである井ノ原はその知識を生かして、ある副業を行っていた。その請け負っていた仕事が奇しくも相葉が命を付け狙われる事柄と結びつき、ともに逃げ回ると同時に金のために協力することになる。

    その事柄とは、太平洋戦争末期の東京大空襲と同じ日に東北地方に不時着したB29の3機の搭乗員が、蔵王の御釜地下の日本軍生物化学兵器研究施設を破壊した。その後盗み出されて密かに米国で研究されていた兵器が、ウィキリークスのリークである筋にその内容が漏らされ、中央アジアにある武器密売組織でほぼ完成され、あとは蔵王御釜の五色の水で人類最大最悪の生物化学となる一歩手前だった。相葉と井ノ原は、仙台市内で井ノ原への副業の仕事の依頼者である桃沢瞳(実は労働厚生省の医薬食品局審査監理課の役人)とともに行動している時にメンター・銀髪の怪人に再遭遇して、桃沢を人質に取られてしまう。そして、彼女を取り返すには、翌日朝6時までに蔵王御釜の五色の水を届けなければならなくなる。

    物語は、印象として私の中では名作で痛快アクションストーリーだったゴールデンスランバーに似た感覚でスリル感を十分楽しめた。阿部氏との合作とのことだが、出来を見る限りでは成功と言えるのではないでしょうか?!(阿部氏の作品を読んだことがないので、どの程度彼の影響が出ているのかは私には不明です。)

    最後は、ハッピーエンドなので、この点に関しては、一部甘いと批判はあるかもしれませんが、私はこの終わり方で良しと思いました。
    一読をお勧めできる一冊だと思います。

    • g2altさん
      ゴールデンスランバーでした。設定を変えて、シリーズ物にすると面白そうですね
      ゴールデンスランバーでした。設定を変えて、シリーズ物にすると面白そうですね
      2015/03/06
  • 好きです(^O^)この感じ~

    申し訳ないのですが阿部氏の作品は読んだことないんです・・・・・・
    確かに伊坂作品にはないような匂いも♡♡
    登場人物の名前がフルネームで記されているのも
    仙台以外に岩手を駆け巡るのも
    共作だからでしょうか
    部類としては伊坂作品独特の寓話やおとぎ話ではなく、『ゴールデンスランバー』寄りの

    超エンターテイメント!!

    戦隊ヒーローに憧れた野球少年たち
    彼らは大人になった
    そこに子どもの頃に夢見た未来はなかった・・・・・・

    十数年ぶりに再会した井ノ原と相葉は謎のロシア人に追われることになる
    ロシア人たちの狙いは二人があるきっかけで手に入れた蔵王にある御釜の水
    伝染病の病原菌があるとされ立ち入り禁止になっている御釜の水だ
    この水が人生の逆転打になると確信した二人はあることを思いつく・・・・・・
    しかし・・・・・・・・

    彼らが知ることになる驚愕の真実とは!!!
    彼らは今を変えることができるのか!!!!

    というお話

    子どもの頃に感じた幸福感や将来への希望と現在の自分自身のギャップ
    本当はヒーローになりたかったふたり・・・・・
    んーーーこの切ない感じが物語全体を悲壮感に包んでいいーー感じ

    そして、ラスト!!!!!
    東京大空襲時に五色沼付近に墜落したとされるB29戦闘爆撃機
    五色沼に眠る伝染病の病原菌
    公開中止になった戦隊ヒーロー映画
    少年時代の野球チーム
    現在起ころうとしているテロと国家の秘密

    すべてが繋がり!!!!!!!!

    おー(゚∀゚)キタコレ

    本屋大賞候補作品にもなりましたねー

    個人的には『ゴールデンスランバー』の方が好きだけど

    とっても楽しい作品 (*^^)v

    「現在の自分は過去の自分に誇れますか?」

  • 阿部和重さんの著作は「グランドフィナーレ」しか読んだ事ないからなんとも言えませんが、読後感としてはフツーに伊坂さんの新作を一冊読み終えた時のもの。

    何も知らずに読んだら伊坂さんの作品としか思わん気がするけどそれは単に自分がミーハーだからなのか?

    まあそれはともかく面白かった。
    これまた伊坂ワールド特有の、ただ面白いだけでなく
    その中にくどくないレベルで、ちょっとした風刺というかアンチテーゼみたいなのが垣間見える。

    “村上病はあるけど、ない”

    これはお伽噺ではなく、村上病をいろんな言葉に換えて考えてみたら面白いかも。

  • 久々の一気読み。疾走感、ワクワク感が最高。緩急の付け方が上手いから読み続けても疲れない。自分の過去・現在・未来をふと考えさせられる物語。また映画化しそう。

  • 伊坂幸太郎と阿部和重の合作。
    昔のヒーロー映画、感染病、東京大空襲時に特命を受けたB29という、繋がりそうもない3つが少しずつ繋がり、真相が明らかになっていく様は圧巻。
    ストーリィも壮大で、登場人物も魅力的。ユーモア溢れるセリフの言い回しもクスリと笑う。

  • 幼い頃に体験・共有した思い出って、大人になっても残っているもので、そして忘れないものなのだ。そのあたりの懐かしさみたいなものが、三歳違いの阿部さんと伊坂さんも共有していたのかな、というのが感じられた。
    女の胸は取れる、というのが、ものすごく珍妙なのに、そのパッドをハンカチ代わりにするっていうのがナイスアイディア過ぎて、大好きなシーン。
    世の中を守っているのは、実は歴史に名前を残す人ではなく、市井の人たちなんだろう。

  • 話題の あいうえお早いもん順コンビによる合作。
    伊坂幸太郎といえば、舞台は仙台だが、今回は新宿でのプロローグのあと、山形市内から事件がはじまる。
    阿部和重は山形出身。
    東京から380kmほども離れた地方都市のタッグ。
    メインも二人、山形の小学校の野球チームで一緒だった相葉と井ノ原。
    いやいや女性ファンには嬉しいネーミングですね(笑)
    小市民のふたりはそれぞれの事情でカネに困っていて、それも相当に追いつめられていて、たまたま引っかかってしまった取引に首突っ込んで一儲けしようと欲の皮を突っ張らかせる。
    手許の謎をなんとかカネにしようと仙台に出張るが、恐ろしい殺人マシーンに追われコッカまで乗り出してきちゃう。 いったい裏になにがあるんだ?

    合作ということで互いのアイディアはできるだけ活かすようにしたのでしょう。それゆえ、若干とんとん拍子感が強く、ディテイルもスッキリさせすぎちゃってる気もする。
    でも、それでもプロットがいい。
    エンタメものなのに なんと言うか説得力がある。

    コッカに追われる感じはゴールデンスランバーに通じるが、新型インフルやデング熱の騒動を思い出させるコッカのダラシナサや、とにかく目先のことしか考えられない相葉と井ノ原が “あるある”感を漂わせる。
    程よい皮肉、程よいあてこすり。
    “常識をうたがえ!”  ですよねぇ〜〜
    地縁とか、家族や同郷じゃなければわからない情報がふたりの平凡な男を助けて大団円へと。
    地に足の着いた人間がいきのびる。
    この構造はいつもいつでも心地よい。

    さて、映画化するなら。
    相葉と井ノ原は 相葉と井ノ原がやってくれるでしょうか♡

  • まず、冒頭。二人の文体がめちゃめちゃ混ざり合っていて、めまいじみた酩酊感に襲われる。「おいおい、このペースで全章書かれたらついてゆけんよ」と思っていたら、そんなのは冒頭だけで、残りはマイルドな混ざり具合だった。どっちが書いているのか、はっきりしない場面も多かった。合作として成功している証拠。

    合作といってもいろいろある。ロックバンドのコラボなんかだと、曲の輪郭のよくわからない合唱に落ちてしまう失敗作が多いと思う。でも、この作品はお互いのいいところがちゃんと混ざり、引き出されていた。伊坂のえぐみ的な部分が出そうになると、阿部がさらっと乾いたギャグでさらっていく、みたいな。おかげで読書疲れする暇もなくするする読めた。

    しかし、これでいいのか、という気も同時にした。もしも灰汁を完璧に掬い取ってしまったらスープは元の白湯に戻ってしまう。そんな不安感が常によぎる作品でもあった。美しい、物語としての完成形でなくて、ガツンとパンチの利いた主張が聞きたかったら個人作で、となるのかな…。

    やむにやまれない事情があって、事件に深入りしていく相葉と井ノ原。その「切実さ」は事件の首謀者側も持っていたものではないか、と私は思う。やむにやまれない事情があったら、人は何をするかわからない生き物。はっきり言っているわけではないが、太平洋戦争やテロといったモチーフが見せているのは、窮地に追い込まれたもう1人の相葉・井ノ原がしでかした事態のようにも見える。

    そして、リーダー不在のまま進む物語にも勇気がわく。野球のキャプテンを決めようとしてなすりつけあいになる、ああいう場面は人生の中で誰もが一度は経験してるのでは。現実の世界にはリーダーなんてほとんどいない。ブルーとグリーンあたりでなんとかしなきゃいけないことがほとんどだ。それで、本当になんとかしていくんだから、感動する。

    結論としては、軽快なテンポと重厚なテーマがバランスよく組み合わさった、喉ごし・後味ともに隙のない作品でした。

    2015.1.26追記
    「切実さ」を持った人間がしでかしかねないことについて、テロや戦争も「切実さ」を持った人間のすることなのではないか、という部分について、近頃のニュースを見て、考えが少し変わったので追記。
    本書では「でも、人殺しまではしない」と相葉自身が言っているように、「切実さ」があると人はいろんなことをしてしまいがちなことを示しつつ、それと残忍な行為は無関係であることもはっきり言っているように思う。
    戦争加害者側、事件の首謀者側の「言い分」が語られる場面がこの小説には用意されているが、それを聞いても、そこに人殺しが許されるほどの「切実さ」があるようには感じられない。
    「そうするしか本当に方法がないのか?」暴力の正当性に関するこうした問いかけは『SOSの猿』、『重力ピエロ』などの伊坂作品でも度々登場するテーマだ。「切実さ」ゆえになにを自分に許すのか、どういう優先順位をつけるのか。ひとりひとりが自分に問いかけなければならない、と作者たちは言いたかったのではないかと思う。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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