- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163902425
感想・レビュー・書評
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毎度のことながら、原田氏の著作は、その豊富な知識に裏打ちされた、芸術品や美術館への関心を高ぶらせるワクワクするストーリーに満ちており、なんとも、読み終えると美術館に行きたくなるのである。
本書はMoMAを中心とした、短編が五作描かれるのだが、特にお気に入りは私の好きなマシン、である。文章を読んでいるだけで、きっとすてきな展示なのだろうな、と興奮させてくれる。そして、人生を変える出会いが美術館にはある…と妙な期待を抱かせてくれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
結構楽しく読んだのに記憶なし
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『中断された展覧会の記憶』ただただしんどかった。。。
震災に触れているものは避けがちです。(そうそうあれは金曜日だったんだよ…と思い出した)
初代館長アルフレッドを匂わせる2つめ→3つめの流れが秀逸で好きでした!!
『楽園のカンヴァス』アンリ・ルソー「夢」
『ゲルニカ』パブロ・ピカソ「ゲルニカ」
再読しようかなと思います。 -
「ロックフェリーギャラリーの幽霊」が大好きでした!!
どのお話も心温まる優しいお話で、幸せな気持ちになりました♡ -
MoMAを舞台にした短編集。MoMAと911や東日本大震災との関わりを取り上げ、取り巻く人々の心情を描いていた。美術が持つ役割は普段意識しているよりも多く、近代化された人間の生活のなかでも欠かすことができないピースになっているということを感じた。画家の思い、デザイナーの思いに思いを馳せながら、絵画だけでなく日常何気なく使っている製品にも触れることで、自らの生活をさらに豊かなものにしていけるのかなぁと思う。なんか作品の趣旨とあってるかわからないけど。そんなことを想像した。
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やはり安定の 原田マハの美術もの。5つの短編集だけれども懐かしいキャストがたくさん出てくるので以前に読んだ本までが思い出されてくる♪
2001.9.11と2011.3.11の悲惨な痛ましく悲しい大事故がMomaにまつわる短編の中に織り込んである。
いつもながら実在の絵画や画家が作品中に出てくるたんびに検索 確認しながら読み進めるのも原田作品を読む時の決まり事みたいになっていて楽しめる。2015.4の作品 -
NYCのMoMA(ニューヨーク近代美術館)が舞台のグランドホテル人間ドラマ。とにかく短すぎてどうも浅いのと時制がややこしいのと、東日本大震災と911のエピソードの印象が強すぎて他のモチーフや書き込まれバランスが悪いように感じるもうすこし長い話ならばもうすこし読めたかと思う(私比)。『中断された展覧会の記憶』という2011年の東日本大震災時にMoMAが架空の美術館”ふくしま近代美術館”のワイエスの特別展に貸し出していた”クリスティーナの世界”を会期の途中で引き上げる、『ロックフェラーギャラリーの幽霊』1999年年末セキュリティオフィサーと初代館長の”幽霊”とピカソ”アヴィニヨンの娘達』と『鏡の前の少女』(装丁)、『私の好きなマシン』1934年ー1981年マシンアートに影響をうけ”マシン”のデザイナーになる女性、『新しい出口』2001年セプテンバーイレブンで親友を無くし、PTSDで離職するMoMA職員、『楽園のカンヴァス』のティム&トムブラウンの企画した大展覧会、マティスとピカソ、『あえてよかった』2000年東京に出来る新美術館の為にMoMAにノウハウを学びに派遣されてきた日本女性。懐かしい場所、よく知った作品が出てくるのでそれなりに楽しくはあったが、、、
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作中に出てくる作品を見たくなる。
あまりにも気になるので実際に検索して「こんな絵なのね」と納得しながら読んだ。
芸術に疎いけれど、読むとどこかむずむずしてくる。
美術館に行きたいな。 -
マハさんも勤めていたMoMA、ニューヨーク近代美術館を舞台にした絵を愛する人々の連作短編集。モダン・アートの王国へ、ようこそ、と帯にありましたけどホントに未知の世界を旅した気分でたっぷり楽しめました!
・ボストン生まれ、ボストン育ちの日本人展覧会ディレクター・杏子、
・ 不審者を監視する役目のスコット、
・デザイナーのジュリア、
・アシスタント・キュレーターのローラ、
・日本から派遣された学芸員・麻美
の5人がそれぞれの短編の主人公。
マハさんの「楽園のカンヴァス」や「ジヴェルニーの食卓」のおかげで、美術館内で働く人たちの仕事内容(というか、ヒエラルキーとも?)を知りました。
ここでも、杏子が展覧会ディレクターからキュレーターという
“施設の収集する資料に関する鑑定や研究を行い、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行う専門職、管理職”(ウィキより)
を目指しているからこそのあれこれが・・・。
3・11や、9・11が大事な背景として出てきますが、その扱いがとてもリーズナブルでよかった!
それぞれあまりに惨い天災・事件だけに、どうしてもフィクションがその事実に引きずられてしまい、感傷的すぎたり、言い方は悪いけど、ヒステリック、あるいは、スピリチュアル方向に傾いたり、というお話を多々読んできてしまっているので、書き手がきちんと消化して物語にしてくれました、という今作は気持ちのいいプロの業を見せてもらった思いです。
モダン・アート(いえいえ、古典だって)には全然詳しくない私ですが、デザインや機械までも包括するMoMAの姿勢には、うんうん、そうなんですか、そういう美術もあるんですね、とストンと納得。
楽しんで読むことができました。
私が好きだったのは、監視員のスコットの話かな。(#^.^#)
美術品ではなくて、終日、観覧者を見るのが業務である彼の元にやってきた“幽霊”の正体は?
その幽霊が残した足跡になぜ美術館の人たちは舞い上がったの?
全編を通してキーパーソンが登場し、彼を知る人たちから語られる逸話の興深いことこと、優しいこと、そして哀しいこと・・・。
現実の美術館を背景にしているだけに実在の人物たちも登場し、これってどこまでがホントのことなの?と、目くらまし状態になるのも、うん、これはこれで面白い!
大作ではないですが、今までのマハさんの美術界ものの中で一番好きかもです。(#^.^#) -
MoMAに籍を置いていただけあって裏側がリアルに描かれている。
美術館で働きたいという人には為になることは間違いない作品集。
特に最初の話はビジネスとしての美術と心の拠り所としての美術の狭間に立つ人間としての葛藤が静かに描かれており、非常に良く出来た内容だった。