ドローン・スクランブル

著者 :
  • 文藝春秋
3.53
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本棚登録 : 98
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905334

作品紹介・あらすじ

ドローンに魅せられ、ベンチャー企業「リモートテック」を立ち上げた技術者、在原。彼のつくるマルチコプタードローンに注目した基山製作所の緒方は、いち早く業務提携を持ちかけるが――。航空関連のライバル企業、防衛省をも巻き込んだ「スクランブル」の幕が上がる。開発された新型ドローンが持つ、画期的な機構とは?『推定脅威』の著者、渾身の書き下ろし長編!

感想・レビュー・書評

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  • 【ネタバレ】シリーズ第3弾ではドローンが取り上げられます。「下町ロケット」的な物づくりの面白さはじゅうぶん楽しめたのですが、ミステリとしてはいささか底が浅かったのは残念。

  • <個>
    シリーズ前作『リビジョンA』までの舞台になっていた航空機メーカー国内第3位の四星工業から同2位の基山製作所へと舞台を移した物語になっている。しかし登場人物はと考えてみると本書の新しい主人公は同1位の三友重工の社員である。ちょっと複雑だけれど三社が同等に活躍するストーリー展開なのであまり違和感は無く読み進めて行けた。

    実は僕は著者の準最新本『絶対解答可能な理不尽すぎる謎』の方を先に読んでしまったので本作品で用いられている今まで上梓されたいくつかの物語の主要登場人物達をその環境設定はそのままにして別の作品に登場させて物語を構成する,という手法に後追いではあるが気づいていて,なかなか面白いなぁと思っていた。もし『絶対・・・』の前に今作『ドローン・スクランブル』を読んでいたらその『絶対・・・』の方が絶対wにもっと面白かっただろうにと少し悔やんでいるのであった。まあ,もう読んでしまったものはどうしようもないのだがw。

    ではさてここで登場する企業の現実的整合性的適合性?を著者に代わって僕が行ってみると。基山製作所は各務原に工場がある事などから現実側はK崎重工。三友重工はもちろんJapanナンバーワンのM菱重工で名古屋と愛知県小牧市に宇宙航空関連の工場がいくつかある。そして超音速ジェット練習戦闘機(ほんとにこの名でいいのだろうか。練習戦闘機? すまぬ)”TF-1”の製作メーカー四星工業はSバル(F士重工)となるか。しかし四星工業は浜松に本社があると云う。とすると本社こそないが大きな工場があるという意味ではH田技研工業が少し近い存在になるか。まあどっちでも良くてこうやってシリーズを読みながら色々考えて思い付き書いてゆくのが楽しみなのだ。すまぬ。

    ところで僕の住まいは愛知県の最北部で木曽川に面する辺りにである。なのでこの物語に出てくる岐阜県各務原市は目と鼻の先。自衛隊の飛行場から発着するF-15は,そのすさまじい騒音とともに時々上空に見かけるし,この本に登場する ”かかみがはら航空博物館” へは息子達が小さかったこと何度も何度も行ったのだ。そういう大変地域近傍的な親しみも感じる本物語なのです。

  • ドローン、オスプレイに代表されるティルト機構という最先端の飛行機構を題材に官民の思惑も入り乱れる内容で面白い。技術者と事務方の考え方ってやはり違うんだろうな。

  • 分野は違うが自分も工学者なので、ここで描かれているような開発の雰囲気はよく分かる。しかし、それを小説として読んで楽しむためには、物語としての内容や描写力も欲しい。それが欠けている作品だと思う。

  • 航空機の設計者だった経験が実に生かされている。
    ドローンが、実際の偵察につかわれる。
    四つのプロペラで ティルトローターにする。

    偵察用の基準として、
    巡航速度100キロ、滞空時間1時間、
    ペイロード10km,上昇限度1万フィート。
    本体の全長全幅が、1m以内。
    電動モーター、リチウムポリマーバッテリー。

    この規格を作るために ティルトローターとしたが
    プロペラが平行のために、失速する。
    またティルトローターが 垂直上昇から飛行に、
    変わる時にトラブルが起こりやすい。

    技術的なポイントは実におもしろいが、
    残念ながら、物語としては チャっちいなぁ。
    自分を無視されたということと
    借金のかたにとは、日本的平和ボケの物語すぎる。 

    防衛庁と三菱重工などの関係もよくわかっておもしろい。

  • 面白かった!
    技術者視点のお仕事小説…って言うと簡単にまとめすぎになっちゃうけど。自衛隊の戦闘機開発に携わる、航空機メーカーの技術者達のシリーズ3作目。
    私自身は、「あるものでなんとかすればいいんじゃない?なんとかならなかったら諦めればいいんじゃない?」って考えちゃう、ものづくり気質から程遠い人間なんだけど、そんな私でも楽しめる。
    今回はサスペンス要素はかなり後半になって展開したけど、むしろそこまでの開発の経緯描写の方が、完全文系の私には新鮮で面白い。
    自衛隊関連だと、「愛する人の為に国を守る!」みたいなアツイ展開になりがちだし、それはそれで描き方によって面白いんだけど、この方の作品はその辺は淡々としていて、そこも好き。

  • 20170208 010

  • シリーズ3作目
    ドローン、登場
    防衛省と大企業とベンチャーと
    駆け引きがスリリングでおもしろかった
    黒幕が確信犯で。やられた~!と思いました

  • 三社の航空機メーカーと航空自衛隊を舞台とした小説。
    なんだか三社の航空機メーカーがお互い助け合って特に問題なくビジネスを軌道に乗せていくという話が淡々と進んでいった印象。全部読んだけど、さほど面白いとは思わなかった。
    いろんな人の視点で話がすすんでいくけど、一応、主人公は登場人物紹介で最初にかかれている内山田ということでいいのだろうか。憎たらしいやつという印象しかないし、話の中心にはいなかったような気がするのだけど。まあ、最後の最後に、推理小説みたく推理をはじめたのは主人公ぽかったか。いきなり推理ショーが始まったのでちょっとビックリした。
    ドローンの小説なので、姫路城へのデートの場面で姫路城にドローンが衝突した話題や、ゴルフ場に行く場面で楽天のドローンデリバリーサービスの話題がでるかと思ったらでてこなかった。本当なんで、わざわざ姫路城まで行ったんだ。
    なお、航空機の飛行制御でのプログラミング言語ではエイダがよく使われるらしい。自分も名前ぐらいは聞いたことあるけど、どうやら手続きが厳格で、他の言語では問題なくコンパイルできる微妙な齟齬でもエラーとなるらしい。ちょっと気になる。

  • 161117図

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著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。東京大学工学部航空学科卒業。大手メーカーで航空機の設計に携わる。1997年よりフリーのデザイナー。2014年『推定脅威』で第21回松本清張賞を受賞しデビュー。他の著作に『ミステリーは非日常とともに!』『リヴィジョン A』『ドローン・スクランブル』『ファースト・エンジン』『絶対解答可能な理不尽すぎる謎』『音速の刃』。

「2022年 『天空の密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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