十二人の死にたい子どもたち

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著者 : 冲方丁
  • 文藝春秋 (2016年10月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905419

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十二人の死にたい子どもたちの感想・レビュー・書評

  • 2016年下半期直木賞候補作品(読了時)
    廃院した病院に集まってきた十二人の子どもたち。彼らの目的は、「集いの場」で集団自殺すること。ところが用意されたベッドの1つに、既に子どもが横たわっていた。彼は他殺と考えられる。自分たちはこのまま自殺をするべきか、犯人を捜すべきか?子どもたちは議論を続けるが、果たして結論は・・・
    犯人探しをしながら互いの胸のうちや生活環境などが明らかになる。自ら死を選ぶ理由はそれぞれだが、そこにどこまで他人が介入できるのか?ミステリーとなっているものの安楽死など、生命の倫理観を問いかける作品。

  • 作者自身がテレビで語っていたように、物語の最後に希望があった(そのコメントが無ければ、手に取ってなかった)

    物語が限定された空間で繰り広げられてるので、物凄い閉塞感。途中まで読んで眠ると、毎度悪夢を見てしまい困るほど。
    ある出来事の検証の為に瞬間的に外に出たり屋上に出たりする度に、私もメンバーと一緒に新鮮な空気を吸い込んでいる気分だった。その分、ラストの開放感、爽快感が際立つ。そして読後はグッスリ寝られた。
    予想以上に物語に併せて追体験してしまった、、それだけ私には影響力が強かった。

    集いに集まったメンバーひとりひとりが、これまで自分の本当の気持ちをぶつける場が無く、まさに自分自身の心の中、という閉塞的な空間でグルグル思考し続けた結果が自殺。こころが痛い。

    ただ皮肉にも、最期の場で、集いに参加した個々の理由を聴いてる内に、それこそひとりひとりの心が動いていくのは本当に面白い。最初はお互いの理由は否定しない、尊重すべき、というより、理由はどうでもいいから早く実行したい、という意見が大半だった。ただ、ひとは話を聴くとどうしても自分の意見を言いたくなるもの。自分の理由こそ正当性が高い、と思ってるからだろう。自分と相容れない理由の人と一緒に"実行"したくない、なんて考えてしまうのもわからなくない。

    でもそういった、対立、衝突をも含んだ、心を交わす場こそ大切なのでは。相手の意見を尊重する、否定しちゃダメ、というアサーティブな姿勢より、まず議論の場を作る、議論を続けることが大切なのでは、と思えた。
    だってこの話では、それでみんなのこころが動いてるから。

    ネットのほうが自由に意見が言えるようで、受け取る側の理解が表層的だったり、意図しないポイントで非難されたりと、閉塞感あるんじゃないかな。この集いに参加したメンバーの年代考えると、ネットが普及して交際範囲が増えてるようで、生の付き合いしにくくなってるのかと少し切なくなる。

    自分の気持ちが受け入れられなくてもいい、批判されてもいい、吐きだす場が無いことが、人にとって一番辛いことなのかもしれない。

    最後、シンジロウを心の頼りに、みんなが帰っていくのを見て、心が温かくなった。そして、管理人サトシとアンリの会話が心に残る。サトシも絶対に"実行したくない"訳でもないのがミソ。アンリの対決宣言、でもいいよね。議論し尽くすことに意味がある。自分の考えを見直す大切な時間。
    自殺はダメ、与えられた命を自から投げ出すのはダメ、なんてモラルを言われても、死に取り憑かれた人には響かないだろうから。

    人と話すこと、わかってもらえなくてもそういう場があること、それがどんなに大切か、深く理解できた気がする一冊だった。
    理解できなくてもいい。非難しても否定してもいい。無関心が一番の罪だ。

  • よくできた心理劇を見たような読後感。

  • それなりに楽しめたけど、謎自体がどうでもいいというか、謎のための謎であり、パズルめいた面白さ以上のものは僕には感じにくかった。

  • 謎解き部分がちょっとわかりにくかったけど、するすると読めた。面白い。自殺の動機については、理解できたりナニ言ってるんだコイツは、ってのもあったりで。皆それぞれ病んでるなぁ、っていう。でもなぜか憂鬱にはならない。これだけ議論されながら、途中まで、それでも最後は実行するんじゃないか、と思わされた。最期は社会や大義のためなんかではなく、自分の死を死にたい(ブルハ)ものです。

  • これは、命の議論、なのかな。

    名作「十二人の怒れる男」へのオマージュ作品であろう本作も、きっちりそのメソッドに沿った密室議論もの。ただ、モチーフは法廷ものではなく、思春期の自殺志願者たちが遭遇した思わぬ死体を巡るミステリーだった。

    予定調和から外れていく事態を、登場人物たちのキャラ性を打ち出しつつ、会話劇によって流転させていく構成はやはり面白く、特に各々の自殺への動機が語られる箇所からは感慨深い。こうして生まれる絆的なものもあるんだろうなぁ。

    ミステリーの解決はワシには難しかったが、群像劇として楽しめた。

  • まさか密室モノの新本格ミステリ?を直木賞の候補作として読めるとは思いませんでした。

    事件の真相を皆で議論するというフォーマットですが、『十二人の怒れる男』が元ネタ(三谷幸喜作の映画『12人の優しい日本人』のほうが有名だと思いますが)になります。
    自殺を扱った作品ということで、何となく内向きな重い展開を覚悟していたのですが、意外とからっとした感じで物語が進んでいくのが印象的でした。

    元ネタの作品はいずれも大人の陪審員が主役ですが、本作では集団安楽死を求めて廃業した病院に集った12人の少年少女たちが主人公になります。
    本作では大人は一切登場しませんが、子どもだからといって安易に思考放棄するような展開にはもっていかず、子どもたちの視点から喧々諤々の議論を経たうえで見えてくるものは何か、というテーマに著者が真摯に向き合っているように感じました。

    そして話が終盤に向けて進むにつれ、ラストはたぶんこうなるんじゃないかと薄々予感していましたが、やっぱりその通りになりました。
    まあ当然と言えば当然の結末なのでしょうが、ミステリとしてはちょっと弱いかなあと思いました。

  • 悩みをもった11人の少年少女達、そして主催者の少年を含む12名が同じ目的でとある場所に集まる事から物語がスタートする。目的を全員で達成するまでトラブルがあったり、意見交換をしたり、自分の気持ちを皆に打ち明けた事で少年少女達の気持ちが少しずつ揺れ動く・・・。うーん、内容云々と言うより、この作品を読んで同じ悩みを抱えた人たちに向けて作者からの強いメッセージが込められていると感じました。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    廃業した病院にやってくる、十二人の子どもたち。建物に入り、金庫を開けると、中には1から12までの数字が並べられている。この場へ集う十二人は、一人ずつこの数字を手にする決まりだった。初対面同士の子どもたちの目的は、みんなで安楽死をすること。病院の一室で、すぐにそれは実行されるはずだった。しかし、十二人が集まった部屋のベッドにはすでに一人の少年が横たわっていた。彼は一体何者なのか、誰かが彼を殺したのではないか。このまま計画を実行してもいいのか。この集いの原則「全員一致」にのっとり、十二人の子どもたちは多数決を取ろうとする。俊英・冲方丁がデビュー20年目にしてはじめて書く、現代長編ミステリー!性格も価値観も環境も違う十二人がぶつけ合う、それぞれの死にたい理由。彼らが出す結論は―。

  • ある意味新しいタイプのミステリー小説ではないかと感じた作品。単なるミステリーの枠を超えている。社会的問題である児童の自殺の実態を等身大で描きつつ、謎解きの盛上がりのポイントを幾つか設けそれをうまくミステリーの味付けでコントロールをすることでストーリーに引き込ませていく。純粋な推理小説の典型的な傑作ではないかもしれないが新しいミステリージャンルと言っても過言ではないのでは。一気に読了しました。

  • 今まで小説は時代物しか読んだことなかったけれど、一気読みでした。謎解きというかストーリーとしては引き込まれたしフィクションだから楽しめるのだけど、子どもたちが…。仕方ないかもしれないバックグラウンドがあるとはいえ、嫌悪感を抱いてしまうこともあり。。願わくば全ての子どもたちがこの子たちにならないと良い…。

  • 12人の…というと「怒れる」が思い出される~「集い」の地下多目的ルームに最初に入ったのは,陰鬱なイメージをした小さくなってしまったスーツを着た16歳のケンイチでイジメから逃れるために参加した。17才でハンチグ帽を被ったシンジロウは末期になる前に何とかしたいと考える癌患者だ。黒服のアンリは自由を求めてやって来たという。小柄なメイコは母を捨てた父への当て付けに自分に保険を掛けて参加し,会社が傾いていて保険金に手を出すだろう事が見えている。苛めている奴を階段から突き落として殺したノブオは坊主頭にメガネだが,メガネは放り出してしまいたい。安定薬を母親から飲まされ続けられどもっているタカヒロは安らかな眠りを求めている。15才でタバコを手放せないセイゴは母親に保険金を掛けられている。ゴシックのミツエはアイドルの後追いだ。帽子にマスクのリョウコはリコと言う名でテレビで活躍するアイドルをやめたい。頭の回転の遅い金髪のマイはディープキスをしたオッサンから移された不治の病がヘルペスだと告白して皆に呆れられるが,何で変な顔を向けられるか理解できない。小柄で誰とも目を合わせないユキは事故の後遺症に悩んでいた。サイト管理者で11人を選抜したサトシは,会場とした元病院の自殺した院長の息子で14才,3浪しても医大に合格できない兄を母が刺し,IT会社が使うために改装中の物件に入り込む術を知っているが,死に興味があるのだ。12人目のサトシが入ってきた時,サトシが寝るべきベットには既に人が静かに横たわり,シンジロウが調べても自殺ではなさそうだ。ケンイチが13人目のゼロ番を気にして,直ぐに実行しないで問題解決のために話し合うことを提案し,来た時刻・入館した時刻・番号をとった時刻を摺り合わせても嘘を吐いているのがいるなど新たな問題が出て来て,ゼロ番を運んだことを疑われたノブオが休憩後に姿を消し,協力者はアンリで梅毒中毒で生まれた彼女は不妊報酬制度を求めているのだった。そもそも車イスで連れてきた人物が別にいることに気がついていく…ユキは二人乗りしていた自転車で撥ねられて植物状態となった兄ユウキを連れてきて,それを見つけたアンリとノブオが2階から4階,ベッドで地下へ運んで一緒に旅立つ積もりだったのだ…~冲方丁さんは「天地明察」が良かった~「はなとゆめ」は憶えていない(あれあれ)。これは何だか結末が見えていて,どう着地させるかが焦点だった

  • 十二人の自殺を希望した子供たちが、ネットで募集され、集団自殺を試みるためある建物に集結した。最初に建物に集まる部分から描かれるが、その時点から、何か違和感のようなものが描かれ、12人が集まったとき、自殺するためのベッドには、すでに1人眠っていた。自殺を進めるため、話し合いが行われる。
    ミステリとなっていて、最後にすべて解決するようだが、細かくて、ついていけなかった。
    自殺は話し合う相手がいれば、しなくて済む。そういうメッセージが込められた本で、ミステリが重ねられている本です。

  • 20161127
    12人の子どもたちが廃墟で人知れず安楽死を図るという主題に、はじめは儀式的な厳かさ、神聖ささえ感じた。ただ、だんだんとそれぞれが死を求める理由が明かされていくにつれ、子どもゆえの安直さ、素直さも感じられるように。みんな十分に大人びているけど。
    推理は確かにおもしろいけど、やっぱり少し冗長。読みながら12人を混同することはなかったが、建物内部の見取り図と照らし合わせながら読まないと、推理の過程を正確に把握するのは難しい(電子書籍で読んだので照らし合わせにくかった)。
    最後はハッピーエンド。目次を見ただけで結末が分かってしまうのはよくない。ラストが弱くて、そこまでは割と面白く読めていたので少し残念。この建物が産婦人科だったこと、サトシが集いを主催する本当の理由、父とは違うやり方で人を生に導くこと、いろいろつながったラストではあった。

  • 「天地明察」は面白かった。。。
    探偵小説の最後の謎解き場面を1冊にしちゃった、って感じ。
    「現実は小説よりも奇なり」、、、この小説以上の現実はないだろうな。(カルト的な集団は例外だろうけど)
    ちょっとストーリーにメリハリがなく、半分読んで後半は斜め読み・流し読み。

  • う〰ん そもそも何でそんなに話し合うのかがわからない

  • ううーん、読みづらかった。
    12人の死にたい子ども達が集まったら13人目が眠っていた・・・そこで話し合いがもたれるのだけど、12人のキャラに魅力も感じられないし、途中かなり読み飛ばしてしまった。

  • 約400ページある長編ミステリー、ではあるが、最後の最後まで個人的な山場は来ずに飽き飽きしながら読み進めるも、オチはまぁ一応あったのでひとまず。これは映像化して見た方がいい作品かも。湊かなえの後だったので、かなり物足りなさが。

  • 【ベストセラー作家、初の現代ミステリー長編!】かつて病院だった建物に集う、少年少女たち。彼らの目的は安楽死をすること――。だがそこにはすでに、一人の少年が横たわっていた。

  • 途中まで誰が犯人? もしや彼が?
    とワクワクしましたが、トリック説明で何が何やらになってきました。私にミステリーは向いていない(笑)
    マイの「治療できない病気」とはアスペルガーとかの発達障害かと思ったら、違うのね

  • 12人の子どもがいたら誰が誰かわからなくなると思っていたけど、それぞれのキャラがはっきりしていてわかりやすかった。その代わり、謎の人物に関する推理の部分は全く頭に入ってこなかった。飛ばし読み。ラストも好きじゃない。天地明察みたいな時代小説を書いて欲しいなぁ。

  • 自分の意志で人生を終わらせたいと思って集まった12人の子供たち。
    そこに謎の13人目の少年がすでに眠っていた。
    その少年は一体誰なのか。どうして居るのか。
    12人の話し合いの場面や自殺の動機を述べ合う姿など、それぞれキャラが立っていて興味深かった。

  • キャラがみんな立ってて面白い

  • 『「うーん、どうしてそうなるかな」
    ノブオは首をかしげ、困惑と呆れ顔を半々にしたような笑みを浮かべてそこら辺の宙に目を向けた。本気で反論する気もなく、どこか面白がっている、というような態度だ。
    その方が変に正面切って違うと叫ぶより、よっぽど効果があることをノブオは知っていた。質問そのものの価値を疑う態度。おかしな質問をした相手の理性や正気や頭の出来を疑いたいところだが、かといって馬鹿にしたいわけじゃないので、それなりに気を遣わなければならないことに困ってしまっている、という優越的な雰囲気をまとおうとしていた。』

    「みんなに夢とか愛とか届ける役目を捨てないで!」
    「これ以上、私に下らない幻想を押しつけないで!」

    「否定する人に逆に訊きたいわ。どんな理由があれば、こうした選択が肯定されるのかしらって。重要なのは、選んだという事実なのよ。そしてここでもっとも重要なのは、全員がそれぞれ異なる理由を持ちながら、一つの選択をしたということよ」

    『差別はいけないとか、みんな仲良くすべきだといった下らない建前は、人間の正直な嫌悪感というものの前では、いつだって無力なのだから。』

    『それはメイコが自ら獲得した人生訓というようなものではなく、単に悲惨な家庭生活によって刻み込まれたものだろうと容易に想像がつく。だからこそ救いがない。奪い取ろうとすればするほど自他を貶めることになるし、そもそもその椅子にどんな価値があるのかと問うたところでメイコには何を言われているのかもわからないだろう。親の行動原理を模倣しているだけで自分が何をしているのかも理解していない。見ていて不愉快なほど哀れだ。』

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十二人の死にたい子どもたちの作品紹介

廃業した病院にやってくる、十二人の子どもたち。建物に入り、金庫をあけると、中には1から12までの数字が並べられている。この場へ集う十二人は、一人ずつこの数字を手にとり、「集いの場」へおもむく決まりだった。
初対面同士の子どもたちの目的は、みなで安楽死をすること。十二人が集まり、すんなり「実行」できるはずだった。しかし、「集いの場」に用意されていたベッドには、すでに一人の少年が横たわっていた――。
彼は一体誰なのか。自殺か、他殺か。このまま「実行」してもよいのか。この集いの原則「全員一致」にのっとり、子どもたちは多数決を取る。不測の事態を前に、議論し、互いを観察し、状況から謎を推理していく。彼らが辿り着く結論は。そして、この集いの本当の目的は――。

性格も価値観も育った環境も違う十二人がぶつけ合う、それぞれの死にたい理由。俊英・冲方丁が描く、思春期の煌めきと切なさが詰まった傑作。

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