十二人の死にたい子どもたち

著者 :
  • 文藝春秋 (2016年10月15日発売)
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本棚登録 : 1931
感想 : 298
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安楽死をするために集いに集まった12人の子。集まった場所に、すでに横たわっている子がいたことから、話し合いが始まる。それぞれの思惑の中、推理とともに、各自の理由も明らかになっていく。
節の変わり目で、視点となる子が変わり、その内面が語られたり、他の子への見方も視点が変えられ、おかしな点を気づかせてくれたりする。それぞれがどういった意図や背景でそう考えるのかという点も類推していくのはおもしろい。なので、自分的には、すでに横たわっていた子=ゼロ番を連れてきたのが誰かという推理視点より、それぞれの心象を描いていく話という視点で読み進めた。
各自の心境はうまく配置されていて、話はわかるけど、それほどではないとか、誤解に基づくとか、理解し難いとか、それぞれのパターンがある。繰り返される話し合いの中で、それぞれ心情が変わって行く感じがあるが、そこは心情ではなく、主に行為や他の人へのセリフだったりしていると思う。
なぜ横たわっていたかという謎解きは、時間軸なども絡み、ちょっと理解がおいつかないところがあったが、それは説明不足ではなく、自分の理解力でしょう。
オチのあたりの心情はもう少し詳しくてもいいかなと思った。オチに向かっていく雰囲気はよく出ているのですが。
全体としてどう展開していくか興味を持って読んでいくことができて、よかったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月8日
読了日 : 2019年12月7日
本棚登録日 : 2019年11月24日

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