ドローン探偵と世界の終わりの館

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906805

作品紹介・あらすじ

◎上木らいちシリーズ著者が贈る、身長130cmの新名探偵、誕生!颯爽と空から現れ犯人を捕獲する……そんな神出鬼没な存在として知られるドローン探偵こと飛鷹六騎(ひだか・ろっき)は、日々、犯人確保に余念がない。ところがある日、捜査中に両足を骨折。折しも大学探検部の面々と「廃墟探検」を計画中で、悩んだ六騎はドローンを使った妙案、廃墟付近に停めた車でドローンを操り、カメラ越しに探検するという方法を思いつく。そうして向かった廃墟、その実態は「ヴァルハラ」と呼ばれる洋館で、北欧神話の終末論に取り憑かれた男が建てた〈迷宮〉だった。神話にもとづいた仕掛けが至るところに施されたその場所を意気揚々と探検する部員たち。しかし、いつしかそこには不穏な気配が漂い、部員が一人、また一人と襲われ始め――。いったい犯人は誰なのか、なぜ皆を襲うのか? 六騎に打てる手はあるのか?本格ミステリーの申し子にして、定石破りの天才が贈る、これぞ究極のエンターテインメント!!本書には、ドローンという最先端の科学技術を使ったトリックが仕掛けられている。今回諸君らに取り組んでいただくのは、そのトリックが何かを当てるということである。騙されたくなければ、あなたも飛ぶしかない。 ――早坂吝

感想・レビュー・書評

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  • ドローンを操り、時にはドローンに捕まって空を飛ぶドローン探偵とかつての廃墟の館ヴァルハラを探検する探検部の面々にまつわる連続殺人。探偵役はライトバンからドローン視点で参加する妙な小説。

    ドローンの定義とは何か、自律型または遠隔操縦型の無人機全般とする、というところからはじまり、ここから伏線となっている。

    いかにも叙述の仕掛けかつ作者ですが、今回も大仕掛けと裏切りがあります。フーダニットの要素はありますが、地味かつ唐突で名探偵コナンの文字が一杯詰まったセリフを読まされている感じ。刺さらなかった。

    最近知ったのですが、作者は京大推理小説研究会の系譜の方らしい。当たり外れの多い人達だが、応援したいね。

  • なんだこりゃ。
    ネタがーーーーとかキャラがーーーーとか以前に、文章がひどすぎる。素人、いやそれ以下の箇条書きか、はたまた著者のネタ帳をそのまま商業出版したかのようだ。
    著者の他作(1つは処女作)も読んだことがあるが、ここまでひどくなかったぞ。いったいどうしちゃったの、だ。
    大ネタは確かに画期的だし、主人公の成長物語も、イタくないとは言わないが個人的にはそれなりに楽しめた。それだけに、「小説」として破綻していることがつくづく惜しい。

    2019/10/2~10/3読了

  • 身長130センチのドローン探偵。山奥の奇特な資産家が建てた屋敷を見に行くという北神大学探検部の仲間にドローンで同行することに。そこで事件が起こり…。
    クローズドサークルな状況なのに探偵は現場にいない。会話もできない、というのは珍しい特殊な状況だなと思った。どうなるんだろうと思ったが、「ドローン」探偵か、なるほど。
    登場人物が、ロキ、トール、ヘイムダル、フレイ、フレイア、フリッグ、オーディン、ノルド、バルドルなどをもじった名前にしてあるので、名前がだいぶ個性的。小樽猪知郎(おたるいちろう)だけ何か分からなかったけど、何もじってるんだろう。

  • クローズドサークルもの…なんだけど、色々予想のつかない話だった。ドローン探偵の初登場スタイルが意外すぎたのも含め、主人公がおもしろいのでシリーズあったら次も読みたい。

  • ○○○○○○○○殺人事件で驚愕し、この作品に手を出した。
    「水面から顔を出した」
    この一文を読んだ時、「は?」となり「え...」となり「うそ...」となり「えーーー!」となり「早坂さんスゴ」となった。この180度ひっくり返る快感はクセになる。
    それにしてもこの挑戦状は分かるわけない...
    早坂さんにはこれからもこういうミステリーを書いてほしい。

    ↓図書館本のため忘れないためのメモ

    〈登場人物〉
    飛鷹六騎  身長130cmのドローン探偵。
    荒井透   二年生、探検部部長。三豆ヶ村出身。
    最初に殺される。金が欲しいため、足彦の考えに反対。
    兵務足彦  二年生、探検部副部長。三豆ヶ村出身。
    玲亜に恋心を抱いており、金による上下関係をなくすため、探検部でヴァルハラに行くことを提案。
    国府玲亜  二年生。国土交通大臣を務めた国府乗土の娘。三豆ヶ村を沈めた罪悪感などもあり(透や足彦に対して)、みんなに金をばらまく。三番目に死ぬ(殺される)
    海部零   二年生。国府乗土の妾の娘。国府玲亜の下僕的存在だったが、いつしか玲亜に恋心を抱く。二番目に死ぬ(事故死)
    小樽猪知郎 一年生。乗土が認可した薬を病気の母親に投与したものの、副反応により死んでしまったため乗土を憎んでいる。
    降続林檎  一年生。御出院を"神"だと思っており、尊敬している。透、玲亜を殺した犯人。
    御出院  ヴァルハラ(ダム湖に沈んだ館)を建てた資産家。
    国府乗土 玲亜の父。三豆ヶ村のダム湖建設を推進。

    〈内容〉(重要部のみ)
    飛鷹がドローンから飛び降りたことで両足骨折。
    その後、探検部でヴァルハラに行く。
    飛鷹は足を骨折しているため、水陸両用ドローンを飛ばし、その映像を車の中のパソコンで見ることになる。しかしここで嵐によって探検部員はヴァルハラに閉じ込められ、崖崩れによってバンからヴァルハラまでの道も閉ざされてしまった。

    林檎は透を殺し、飛鷹のドローンと死体をギムレーの前室に入れてドアを閉める。この際、中(ギムレーの天井から床まで)と外(湖面からギムレーまで)の水圧差により、ドアが開かなくなり、ドアを閉めるだけで密室が完成。
    ちなみに、前室は水が入っているが本室は水がないためここにも水圧差が生まれ、前室と本室の間のドアも開かない。

    屋敷の城壁にあるヨルムンガンド像から水を吸い込み、それがプロペラがついている体内を巡り(この時に発電)、フェンリル像から水が吐き出される、という設備がヴァルハラにはあった。
    これは御出院がギムレー本室に閉じこもってで最終戦争を乗り切ろうとしたからだ。湖があった方がギムレーは安全なので、御出院は乗土へ5000万円を渡した。
    零はヨルムンガンド像に吸い込まれ、プロペラで体をバラバラにされ、フェンリル像から吐き出された。

    その後林檎は空気タンクを奪うために玲亜を殺した。他の2人も殺す予定だったが飛鷹のドローンに邪魔をされた。

    林檎は御出院がギムレー本室にいると思っており、そろそろ食糧がなくなるので救出しようとした。そのため、密室を作り、その中に死体を入れ、警察に死体発見のため湖の水を抜かせようとした。

    飛鷹はHel(飛鷹愛用小型ドローン)を手紙を持たせて飛ばし、職員にダムのゲートを閉じさせることでダム湖内の水流を軽減した。これによって探検部員は嵐がおさまったと思い、外へ脱出。

    ちなみに探検部員は玲亜の金で調達した機械により水中ないでも会話が可能だった。

    〈伏線〉
    「バンはヴァルハラへと続く左手の脇道」、(飛鷹は)「探検部員が入って行った右手の脇道」という二つの描写から飛鷹はバンの進行方向とは逆、つまり南へ向かったことがわかる。明日ヶ台は村の南西の果てにあるにも関わらずだ。ここから三豆ヶ村はダム湖によって南へ追いやられたことがわかる。

    飛鷹の自分の骨折が終わるまで待たずに早く行った方が良いという発言、これはダム湖の水温を考えてのこと。

    犯人はドローンのプロペラに切られたと見せかけて自分の右腕をナイフで切った。ここから犯人は左利きだろうと推測される。
    林檎と足彦が食事中に腕をぶつけたことから林檎が左利きだとわかる。

    〈読者への挑戦状〉
    筆者は「ドローンという最先端の科学技術を使ったトリックを当てろ」と挑戦状で言っており、その答えは
    「ドローンは空を飛ぶものだという先入観を逆手に取り、館が水中にあることを隠した叙述トリック」である。


  • トリックは斬新だった。自分としては楽しめた。

  • 館です。クローズドサークルです。その中を見事にドローンが飛びますが探偵は外側です。大学の探検部が、廃墟となった館を探検中に起こる連続殺人。犯人は誰で、なぜ殺人を犯すのか。ドローンにつかまって飛ぶ130cm30kgの探偵とか絵面を想像して楽しんでいると、最後に?マークが頭の中で飛び交い、最後にようやくさらっと読み飛ばしていた色々な部分が無駄のない伏線だったことに気づかされました。読者への挑戦状から始まるある意味とっても早坂氏らしい作品だと思います。探偵の成長譚にもなっていたのが嬉しかったです。

  • 個人的には『名探偵誕生』に続いて「探偵」つながり第2弾。内容的にも大学サークルが旅行先で事件に遭遇するという点で偶然にも似てしまった。謎についてはまったく予想がつかず、まんまと作者の思惑に引っかかった。終盤で明かされる大ネタは、もう少し時代が進んでそっち方面がメジャーになったりすると使えなくなる、ある意味、旬のネタなのかもしれない。後半、犯人視点が加わり、ばれない記述で進めていくところはさすが。映像化やこの探偵のシリーズ化はもちょっと難しいかも。

  •  オチは好き。

     オチは好き。大切じゃないけどほかに好きなところがないので二度いっておくわ。あー、いや、トリックの内容は好きかな。地上と水中を勘違いさせるっていう。
     あのな、こう、なんていうか。叙述トリックってな、ほんと、難しいんだよ。読者にストレス与えることなくだますって難しいの。文章表現だけでそれをやるの。ネタがよくても難しいの。
     だからさ、もうちょっとこう、文章、なんとかならなかったか。早坂、こんなに文章下手だったっけ? 過去形の多様というか、箇条書きしてんの? と思っちゃう。小学生の作文じゃないんだから。せっかくいいネタがあるんだから、ほんと、もっと雰囲気づくり、頑張れ。
     なんだろう、ぱっと思いつくところでいえば、犯人の名前を明かさず、それでも犯人側からの視点を組み込もうとして、会話を誰が発言者か分からないように書き込んでっていうね。その表現方法が必然である理由が見えないから、読者をだますためだけにそういう書き方をしてるんだなと思ってしまう。
     確かに推理小説ってのは、読者を騙す物語なんだよ。でもその騙されるのだって、「自分よりももっと巧緻な頭脳の持ち主によって、公正明大にいっぱい食わされる」(ヴァン・ダインの言葉より)物語であって欲しいわけ。「自分よりも劣ったものから、故意に嘘を吐かれた」(同)物語を読みたいわけではないの。そんで、叙述トリックを前者足らしめるものってのは、最終的に作者の文章力なんだと思う。それがね、圧倒的に足りてない。だめ、不許可、不採用。
     あと、最初に読者への挑戦状が入ってて、「トリックは出し尽くされてない」って言ってるけど、そういう意味でトリックが出し尽くされたって言ってるわけじゃねーよ。トリックの具体的な要素を交換すれば、新しいトリックはほぼ無限に出てくるだろうよ。その点では早坂の言ってることは正しいよ。そうじゃなくて、大枠としてはすでに出し尽くされてるってことだろ。この話だって「叙述トリック」で、「場所の錯誤」なんだから、ほかにも同じトリック使ってる話あるだろっつの。
     最初の挑戦状から微妙すぎてなんかもう、うん、好きな作家だけに残念。

  • 星0
    意味わからず、読破できませんでした

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著者プロフィール

早坂 吝(はやさか・やぶさか)
1988年、大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。
2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。
同作で「ミステリが読みたい! 2015年版」(早川書房)新人賞を受賞。
他の著書に『虹の歯ブラシ 上木(かみき)らいち発散』『RPGスクール』『誰も僕を裁けない』
『探偵AI(アイ)のリアル・ディープラーニング』『メーラーデーモンの戦慄』などがある。




「2019年 『双蛇密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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