愛が挟み撃ち

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908045

感想・レビュー・書評

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  • 不妊の原因は夫の俊介にあることがわかったけれど、俊介は子どもを諦められないでいた。

    俊介が考えたのは、学生時代の友人だった水口と妻の京子で、子どもを作るということだった。

    よみがえる学生時代の水口との思い出。
    行きつけだった喫茶店でバイトしていた京子との出逢い。

    演劇の才能はあるのにくすぶっている水口。
    そんな水口に惹かれている京子と、京子のことが好きな俊介。

    俊介の京子への自分の思いを、水口は知っていながらも邪魔をするような態度を取っていた理由。
    愛しているんだ、と言った水口。

    愛の形って、なんだろう。
    とんでもない三角関係で、人間くさくて、喜劇みたいで、面白かった。

    水口と京子が俊介に内緒で会っていることを知った俊介の家で、京子のあとについて裸足でペタペタ歩きながら言い募る様子がおもしろい。

    昔のように3人で過ごした夜。
    3人の思いがつまった3人の子ども。

  • 似た設定?の、江國香織「きらきらひかる」と秋里和国「BBB」の両作のラストが不満だったので、このオチのつけ方はアリかな、と。
    BLかガチのゲイ向け官能小説なら水口ハッピーエンドになりそう。それがどういう形かは分からんけど。

  • 面白いんですが…
    私は無理です。

  • 先が気になって最後まで一気に読んじゃいましたけれども…まあ、著者の文章力のおかげなのか分かりませんけれども面白く読めたには読めましたけれども、果たしてこの話を受け入れられるか?? と問われれば答えは微妙ですねぇ…。

    なんか予めプロット?を作って書いたお話のように思いましたねぇ…さようなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • ログインできずにほったらかしだったー。
    やっと、再登録できたので、改めて、スタート♪
    実に、5年ぶり!!

  • 種無しと言われた夫婦の妊活。種は同窓生に頼むことに。

    気味悪のような、根源的な、普通な、どう思えばいいのか

  • ★3.5
    不妊に悩む夫婦の話かと思いきや、あまりにも突飛な計画に思わず唖然。そして、その計画を粛々と実行する、三角関係な男と男と女。過去のパートだけを見ると俊介の気持ちに同調してしまうけれど、実のところ、誰よりも自分本位で誰よりも罪深い。中でも、水口に対する仕打ちがあまりに酷い。まだ京子には水口への想いがあるのに対して、水口の想いは全く別の方向を向いている。それを知った上での俊介の言動は、小賢しいとしか言えない。都度の行為の結果となる妊娠の有無、最後の行為から祝福までの文章の簡潔さに、軽く恐怖を覚える。

  • 『かっこよく見えた。自分も何か、葛藤を抱えたかった。俊介の人生には挫折と呼べる出来事も、人生を呪うような悲劇もなかった。』

    『では俺はどうすれば愛と呼べるのだろうか? 愛するには相手を知らないといけない。どうやって知るんだ? 沢山話して? でも、会話によって相手の内面を把握しうると思うのもまた、容姿だけで人を愛するのと同じほど軽薄ではないか。』

    「見た目がちょっと良いからってあんな芝居、気持ち悪いよ」
    「気持ち悪いかどうかはあなたの主観じゃないですか?」
    「俺の主観はあなたにとっての客観だから」

    『水口は時々笑顔を交えながら、それは、自分が真剣になり過ぎていることへの言い訳のように見えて、余計に真剣さが伝わるような言い方だった。』

    『水口は断らない。
    この時間は、自分に言い訳するために必要な時間だ。悩んだ末、押し切られたという体裁が欲しいだけだ。』

    『水口は今でも俊介を愛している。囚われ、視界を狭められ、ただそれを信じ続けることで、それの存在を証明しようとする試みを愛というのなら。』

    『水口は嬉しそうだった。「懐かしいな」と三回くらい言った。俊介も「懐かしいな」と二回くらい言い、京子は一回だけ「懐かしいね」と言った。』

  • 愛には様々な形があるなあ。
    ラストあたりは、驚きました。
    前田司郎さん、はじめて読みましたが情景が目に浮かんでくるような文体、好きです。

  • 前田司郎作品は一通り読んできたけれど、この人がこんな作品も書くのか、と、素直に驚いた。
    まさに「到達点」。

    親子愛、夫婦愛、性愛、友愛、愛にもいろいろあるけれど、どれが最も尊いのだろう?
    ということがこの小説の主題ではないのだろうけれど、「愛」に関する問いやエゴ論というモチーフに、夏目漱石の『こころ』を髣髴した。
    学生時代のエピソードにある憧憬と焦燥感は『三四郎』のそれみたいで、親友との三角関係だとか、親友の愛する人を奪う展開だとか、『それから』を思い浮かべたりもした。

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著者プロフィール

1977年生まれ。劇作家、演出家、俳優、小説家。和光大学人文学部文学科在学中に劇団「五反田団」を旗揚げ。2005年『愛でもない青春でもない旅立たない』(講談社)で小説家デビュー。同作が野間文芸新人賞候補となる。2006年、『恋愛の解体と北区の滅亡』(講談社)が野間文芸新人賞、三島由紀夫賞候補、2007年、『グレート生活アドベンチャー』(新潮社)が芥川賞候補に。2008年には、戯曲「生きてるものはいないのか」で岸田國士戯曲賞受賞。同年、『誰かが手を、握っているような気がしてならない』(講談社)で三島由紀夫賞候補。『夏の水の半魚人』(扶桑社)で第22回三島賞。その他の著書に、『逆に14歳』(新潮社)などがある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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