愛が挟み撃ち

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 155
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908045

作品紹介・あらすじ

愛とは何か? 愛は存在するのだろうか。愛が信じられない男をめぐる三角関係36歳の京子と、もうすぐ40歳の俊介。結婚して6年目の夫婦の悩みは、子どもができないことだ。愛なんてこの世にないかもしれない。でも、京子に子どもが生まれたならば。諦めきれない俊介が提案したのは、驚くべき解決策だった。男二人と女一人。過去が思いがけない形で未来へと接続される、危うい心理劇。第158回芥川賞候補作。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルがとても好みで、装丁もインパクトがあったので、つい手に取ってしまいましたが、これはもう、読んでよかったです
    BF*GFという台湾映画の主人公たちの関係性と似ていると思いました、どちらもすきです

    みんな情に薄いような感じがしましたが、最後まで読んで、子どもは愛の結晶、なるほどね、となりました
    いびつでも、それは3人の愛だったと思います
    もう、かなり挟み撃ちにされました
    ところどころ劇作家さんならではかな?というト書きのような文章もあって、頭の中で映像として浮かびやすくてよかったです

  • ラストの展開が特に演劇的だった。
    どれも全て愛である、それがどんな形であっても。

  • なんて残酷な男なんだ俊介…。


    表現、描き方が面白い作品。純文学。

  • まあ絶対共感はできないけど結構面白かったな〜最後に怒涛のオチ。

  • 途中挫折。
    理解できない…

  • 学生時代の話が、長いし青いし、ちょっとおっさんには辛いな痛いなあ、なんて感じながら、タイトルの意味がなんだろうと思い、3分の2までは頑張って読んだ感じ。残りで一気にパーンと謎解きしてくれて、個人的には不快感があるけれど、これが今時の文学だよね、と思った。

  • 2019.11.22

    タイトルは最後まで読むとぞっとする言葉
    表紙の写真の意図がよくわからない。
    不妊の夫婦が昔の友人の精子で妊娠する計画を(夫が独断で)する。
    酷く狂っている男。普通なはずがない
    結局道具みたいな扱いでできた子供2名付ける名前も名前でひどい
    ひどい暴力暴走の末路を見た
    三角関係の、「過去、現在、未来」それぞれに復讐を施しているようであった。
    なんとも後味の悪い小説か…。

  • 舞台のシナリオも書いている(そちらが本業?)前田司郎による、芥川賞候補作。

    子供を欲しがる中年夫婦。不妊症の夫が持ち出した解決策は、親友に精子提供してもらうこと。学生映画、演劇を背景に、かつての夫、親友、妻の関係性が徐々に浮き彫りになる。その描き方にしびれた。表現もみずみずしく、読んでいて飽きない。

    親友が同性愛者であることが、終盤に明かされるが、読み進めるとなんとなくそんな気もしていて、はっきりとはやはり明言されないので、分かった時点でもう一度初めから読み直したい、と思ったほど。それほど、展開を楽しめた。

    最後の解決方法は気味が悪く、他の口コミでもレイプを思わせられたと書かれていた。だからこそ、愛とは、という主題がより鮮明に感じられたようにも思う。良書。

    読了後、3日ほど空けて再読してみた。登場人物3人の些細な仕草や物事の見方が、結末を知っているからこそ、より明確に、そういうことかと理解できた。

    振り向かせたい人は振り向かず、愛情を与えたい人に与えられない。どうあっても切ない。

  • 不妊の原因は夫の俊介にあることがわかったけれど、俊介は子どもを諦められないでいた。

    俊介が考えたのは、学生時代の友人だった水口と妻の京子で、子どもを作るということだった。

    よみがえる学生時代の水口との思い出。
    行きつけだった喫茶店でバイトしていた京子との出逢い。

    演劇の才能はあるのにくすぶっている水口。
    そんな水口に惹かれている京子と、京子のことが好きな俊介。

    俊介の京子への自分の思いを、水口は知っていながらも邪魔をするような態度を取っていた理由。
    愛しているんだ、と言った水口。

    愛の形って、なんだろう。
    とんでもない三角関係で、人間くさくて、喜劇みたいで、面白かった。

    水口と京子が俊介に内緒で会っていることを知った俊介の家で、京子のあとについて裸足でペタペタ歩きながら言い募る様子がおもしろい。

    昔のように3人で過ごした夜。
    3人の思いがつまった3人の子ども。

  • 似た設定?の、江國香織「きらきらひかる」と秋里和国「BBB」の両作のラストが不満だったので、このオチのつけ方はアリかな、と。
    BLかガチのゲイ向け官能小説なら水口ハッピーエンドになりそう。それがどういう形かは分からんけど。

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著者プロフィール

1977年生まれ。劇作家、演出家、俳優、小説家。和光大学人文学部文学科在学中に劇団「五反田団」を旗揚げ。2005年『愛でもない青春でもない旅立たない』(講談社)で小説家デビュー。同作が野間文芸新人賞候補となる。2006年、『恋愛の解体と北区の滅亡』(講談社)が野間文芸新人賞、三島由紀夫賞候補、2007年、『グレート生活アドベンチャー』(新潮社)が芥川賞候補に。2008年には、戯曲「生きてるものはいないのか」で岸田國士戯曲賞受賞。同年、『誰かが手を、握っているような気がしてならない』(講談社)で三島由紀夫賞候補。『夏の水の半魚人』(扶桑社)で第22回三島賞。その他の著書に、『逆に14歳』(新潮社)などがある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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