陰陽師 水龍ノ巻

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914091

作品紹介・あらすじ

「晴明よ、無垢は、時に罪だ……」

源博雅の笛・葉二の過去、蝉丸の若き日の恋。
そして、人の魂を召喚する秘事の正体とは。
累計720万部「陰陽師」シリーズ第17巻!


源博雅の無垢さが鬼をもうろたえさせる「読人しらず」のほか、
若き日の蝉丸の恋と、ある秘儀を描いた原稿用紙120枚の中篇「蘇莫者(そまくしゃ)」、
そして、碧い眼の陰陽師が登場する「秘帖・陰陽師 赤死病の仮面」など、
全8編を収録。
安倍晴明ブームの原点、祝・35周年!

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの陰陽師だったけど二人がほろほろと酒を酌み交わし、呪の話題で博雅が困ってしまい、何時もの掛け合いで怪異に向かっていく展開には安心して潜り込んでいけた。やっぱりこの雰囲気、世界観は素敵だ。今回は博雅の無垢さと芸術的才能が溢れる話が多め。葉二秘話の「麩枕」は博雅一人で解決するし。周りを浄化し悪人を改心させるその才能や純粋さが時には人に邪悪な思いを抱かせた「蘇莫者」での晴明の心配振り、判るよ判る。蘆屋道満がちょこちょこ暗躍しているのにもにやり。敵役だけどいい塩梅で締めてくるんだよなぁこの爺。絶妙な三角関係、続いて欲しい。

  • 源博雅愛用の笛・葉二の過去。
    蝉丸の若かりし頃の秘事と、琵琶・無名のこと。

    シリーズ第17作の短編集。

    例え相手が人ならぬものであっても、気遣い、まっすぐ向き合う。
    音楽に没頭するときは、純粋で、神がかってくる、博雅。

    そんな博雅と相対すると、人ならぬものも、害意を持っていたものでも、改心してしまう。

    そんな、博雅のいい漢っぷりが光るエピソードが多かった。

    あとがきにもあるけれど、今回は晴明と博雅のシリーズとは無関係の作品も。
    正直、唐突に感じた。

  • <よ>
    夢枕『陰陽師』この世への初出は1988年である。連載誌は『オール讀物』。で,初刊に続く第二刊が出たのは,なんと7年後の1995年なのだ。これには副題が付いて『陰陽師 ”飛天ノ巻” 』である。 以後はほぼ2~3年間隔で刊行されている。僕はもちろんのっけの作からづっと読んでいる。途中で漫画になったり映画になったりしたモノを除けば絵草紙も含めて全部読んでいる。その ”陰陽師マスター” の僕(自分で言うな!w)が,本巻にて想う事。

    陰陽師は実に不定期に刊行される。 ”オール讀物”にという月刊誌にキチンと連載されているのに不定期刊行。定期連載されていないということかしら。僕は雑誌はほとんど買わないので実態は知らない。まあでも獏せんせぇーの多趣味なところから言うと,ある時は釣りに行ったまま原稿は飛び,またある時は格闘技の試合を追いかけて世界中を飛び回るが原稿も飛ぶw。担当編集者様まことにお疲れ様でござりまする。

    今作は雑誌連載日付だけをたどると足掛け4年連載分の単行本化である。まあ,忘れずに本と成り,そして当方も忘れずに手に入れて読むのだからまあ良しとしようかのうw。すまぬのう。

    さて本巻陰陽師。いつもの調子に戻って「いくか。行こう。そう云う事になった。」という僕の好きな言葉と共に物語が進む。庭先の簀の子に座り博将と晴明がふたりして盃を傾ける。酌役は密虫。密虫はおんなだと僕は思うが反対意見がござればどうぞご一報くだされまし。なに,式神には性別はござらんのでは?と。まあそうかも知れないなぁ。それも『呪』よ。あ,すっかりその気になってしまっていた。すまぬ。

  • いつもどおりの世界観が広がるシリーズ。
    梅の香りや桜など季節の描写がいつも美しい。
    今回は、博雅がいつも以上にいい漢だということが証明された気がする。

  • 8話の短編集

    博雅の人の良さと純粋さが人を救い知らぬ間に自分も救っているって面白い
    彼にはそのままでいて欲しいです

    鬼になりたくはないだろうに人の心って思うようにならず難しいですね

    『秘帖・陰陽師 赤死病の仮面』は悪夢を見そうに怖かったです

  • 今回も大満足。
    晴明と博雅のコンビ、最高。
    そして、博雅は本当にいい漢。
    「麩枕」と「読人しらず」でそれが顕著で素晴しかった。
    蝉丸の過去、そうだったのか。
    人の心って、、、
    「赤死病」の話は、ポーにインスパイアされたようだけど、時節柄他のことと重なってしまった。
    いずれにしても、晴明も博雅も登場しない珍しい作品。
    シリーズ開始から35年って素晴しい。
    2人の活躍をまだまだ読ませてほしい。

  • 安定した面白さ。晴明と博雅のいつものやりとりを読むとホッとする。いや起きていることはあんまりホッとする内容ではないかもしれないけど。
    異色の赤死病の仮面、恐ろしくも虚しいというか、すごい話だった。こちらもとても面白かった。
    晴明博雅が出てこないはなしはこれまでにもあった?と思ったけど、逆に二人が延々酒をのんでいるだけの話も見てみたい気がする。

    獏先生、今後も楽しみにしてます。

  • しみじみと味わいながら読みました。毎回、冒頭の晴明と博雅のお酒を酌み交わすシーンが大好きです。季節ごとの情景の描写と美味しそうなお酒。二人の会話。憧れます。
    今回は博雅の音楽関係のお話が印象的。無垢なところが彼の魅力ですが、でも無垢は罪ですね。

  • 今回は短編8作品
    珍しく、晴明も博雅も出ない回がありましたが
    中身は壮絶でした
    博雅は天才かつ、無垢な心を持ってますね
    だからこそ、秀才に恨まれてしまう
    努力して、やっと出来たことをすぐに出来てしまうから・・
    その辺を晴明は心配するのですね

  • もはやどれを読んでいてどれを読んでいないのかわかりません。
    色々と毛色の違う話も含まれた本でした。
    個人的に好きだったのは、最初の話、麩枕。
    博雅の話です。なので、「ゆこう」「ゆこう」そういうことになった。は、出てきません。
    ひとりで怪異に遭遇して、ひとりで解決してしまう。本人にしたら当たり前のことをしただけで。
    晴明ではありませんが、博雅は本当に良い男ですね。
    春の描写が好きです。咲く花に芽吹く緑。もはや何度目の春なのか。何度でも良いのです。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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