- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163914206
作品紹介・あらすじ
上りエスカレーターの「昭和世代」、下りエスカレーターの「平成世代」。「令和世代」の多くは、下りエスカレーターから飛び下りた!
「『ジャパン・アズ・ナンバーワン』ともてはやされ、世界から賞賛され、ひときわ大きな奇跡の輝きを放っていた日本。けれど、「平成」になってその経済成長は止まり、国際競争力もつるべ落としに下がり、信じがたい凋落ぶりを示しています。なぜ、私たちは、今、こんな絶望的な状況に置かれているのか。どうすればいいのか。救いはどこにあるのか」
本書は、経済ジャーナリスト・荻原博子さんのこんな怒りと疑問によって生まれました。権力者や富裕層ではなく庶民の視点で、日本人のお金の問題を取り上げてきた荻原さんが見た平成の経済は、まさに「庶民が政府に騙され続けた歴史」でした。平成といえば、元年に3%で導入された消費税ですが、この年に私たちが払った「消費税」は約5・3兆円。ところが、この4割にあたる約2兆円が、国ではなく「事業者」の懐に入ってしまったことを知っていますか。
また、今でも支払った保険料の2・3倍の額は将来もらえると宣伝している「年金」も、その根拠となる「モデル世帯」は、「同年齢の男性と女性がそれぞれ20歳で結婚して、夫は60歳まで40年間ずっとサラリーマンとして働き、妻は40年間ずっと専業主婦として夫の扶養家族になっている」という、おおよそありえない設定で計算されたもの。もともとはナチス・ドイツの年金制度をモデルとして、ミッドウェー海戦の年に創設された「公的年金」。成り立ちからして怪しい年金制度の欺瞞にも踏み込みました。
他にも、▷ 平成で起きたのは、「トリクルダウン」ではなく「冨の吸い上げだった」。▷「法人税」を減税しても、国際競争力は下がるばかり。▷「貯蓄から投資へ」という新しい流れの先駆けとなった「ノムラ日本株戦略ファンド」は、いきなり4割に目減りした。▷「小泉改革」での企業倒産数はリーマンショックより多かった。▷「アベノミクス」は「アベのラック」だったなど、知られざる不都合な真実を、次々に明らかにします。
コロナ禍でも、後手後手にまわる政府の対応は目を覆うばかり。菅総理が目指すのは、政府を頼らずに自分の力で乗り越える「自助」が真っ先に来る社会です。「令和にも増税ラッシュは続きそうですが、増税はしても国は国民を助けない、そんな国になるのかもしれません」(荻原さん)
では、救いはどこにあるのか。私たちや子供の暮らしを守るために、どう生きればいいのか。その答えを導く知恵が、本書の中にあります。
感想・レビュー・書評
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毎日新聞のコラムでこの筆者のことを知った。新刊が発売されるとのことで、気になって買ってみた。
「平成というのは、日本という国が劣化していった30年間だった。」冒頭からいきなり惹きつけられてしまう。
本書では、年金・消費税・金融機関というカテゴリごとに、それらがたどってきた歴史を紐解いていく。昭和時代にどのように生まれ育ったのか、平成時代にどのような劣化が起こったのか。たいへん分かりやすく解説される。
随所には、筆者が実際に見聞きした時代の片鱗が垣間見える。銀行口座のためにシティバンクに列をつくった人々…など、まるで情景が浮かぶようだった。
昨今のニュースを見ていると、政治の劣化が激しいと感じてしまう。けれど、それは今に始まったことではなかった。大蔵省の利権や、「痛みをともなう改革」など、嘘はずっと前から始まっていた。日本の経済史に関して、歴史認識が深まる1冊。大変読みやすく、内容も読み応えがあった。
(書評ブログもよろしくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2021/09/15/%E3%80%90%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8C%E5%8A%A3%E5%8C%96%E3%81%97%E3%81%9F%E5%B9%B3%E6%88%90%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%80%91%E3%82%8F%E3%81%9F%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%A1詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
騙されて、耐えるまんま。それでええんかな?
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戦後史をもっとしっかり理解しないと、と日本史の勉強を再開しました。これくらいなら、ま、いいか、と国民を巧みに妥協させてきた賢い人達。現実に目を向けて自分の身は自分で守るしかありません。。
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2021/10/21
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2021/10/22
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S図書館
年金、消費税、平成の歴史
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メディアの露出の多いコメンテーターという思い込みで避けていましたがとんでもない誤解でした。きちんとしたソースに基づくファクトを出し、ポジショントークを上手く回避しながら中立的な視点で、現代日本の経済上の病因と背景について丁寧に描かれています。とかくこうした経済トピックは、ストーリーありきでどうとでも紡いでいけるので、売らんかなの本が溢れるのですが、本書は誠実な内容と思います。このジャンルの本においては、この一点だけでも大いに手に取る価値が高いです。
中身の詳細はここではレビューしませんが、大切なことはこれを読んで、「ではあなたは今からどうしますか?」という問いにどう答えるかということかと思います。自分で考える。その考えを受けて行動する。
ある意味でいくらでも不平不満ややるせなさを読後に感じることはできますから、そこでただ感情を燻らせるためだけに読むのであれば全くおすすめ出来ません。時間を投じて精神衛生を劣化させるだけですから。あくまでも考える糧として書かれている事項に向き合う。こういう姿勢で読むと、本書といい付き合い方ができるなと思いました。 -
タイトルに惹かれて手に取りました。
正直、自分の知識不足を恨んだ内容でした。
様々な専門用語があり、分かりやすく書いているはずなのに内容が理解出来ない自分に落胆しました。
もっと、世の中こと、歴史のことを学んでから
今までの日本と、これからの日本を考えていきたいなと思えた一冊です
色々と気付かされることも多かありました
不況な世の中ですが、なんとか踏ん張っていきたいと読み終えたあと思いました。 -
なかなか読み応えのある本でした。
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【年金、消費税……。庶民はこんなにだまされてきた】庶民の生活防衛術の第一人者が見た、昭和・平成・令和のマネーの歴史。日本人の生活はなぜ苦しくなる一方なのか。希望はどこに?