さよなら! 僕らのソニー (文春新書 832)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608324

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!小さくても頭脳と技術の先鋭集団たることを目指していたソニーが、大きくなってダメになってしまった。その凋落の原因は、一言でいえば、「未来を切り開く技術」を失ったこと。
    会社の規模がでかくなって、一つの失敗から受ける損失もでかくなると、守りに入る。時間もお金もかかる新しい技術開発よりも、いますぐお金になる既存領域の改善と新領域への進出。前者はコスト削減(リストラ、研究費カット、高品質削除と売れ筋商品(二番手商品)の大量販売・安売り、後者はソフトビジネス(映像・音楽)やちゃりんちゃりんビジネス(ソニー損保・ソニー銀行)の展開。でもこれって仕方ないことで、時代にあわせて会社も人もかわっていかざるを得ないんだと思う。
    大事なことは、もう昔のソニーのままではいられなくなったということ。そして、次のソニーの進むべき道を探さなければいけないということ。アップルに負け、サムスン・LGに負けたソニーが次に進むべき道は、ほんとにもうエレクトロニクスではないのかもしれない。大変だな、、、ソニー。。。

  • 2012/03/20読了。
    自分ならどうするか。

    コンテンツを持ったエレクトロニクスメーカー。
    Appleとの違い。
    音楽、映画、ゲームの子会社保持。
    AmazonはApple型か。
    コンテンツは集められるのか。
    Androidベースで独自OSか。
    ハードウェアの技術。
    カメラ、音質。ソフトウエアで実現。
    PlayStation携帯かも。

  • 読んだあと、悲しい気持ちになったビジネス書は初めてです。

    私も昔はソニーファンでしたから、本書に書かれている内容は衝撃的でした。

    印象に残ったくだり
    ・日の丸を背負ったソニー
    ・創業者の盛田氏がソニーアメリカ設立時に家族でアメリカに移住
    ・90年代半ばの品質低下に伴うソニーブランドイメージの低下
    ・ブランドとは、クオリティとメッセージで担保される
    ・ウォークマンを芸能人にタダで配ったプロモーション
    ・創業時の設立趣意書とそこからの乖離
    ・HDDレコーダー内蔵の液晶テレビを東芝に先行された時のソニー幹部の発言
    ・DRCを搭載しなかったテレビとサムスンへの特許売却
    ・ストリンガー氏の「パナソニックでもいい」発言。モノづくりそのものに関心がない。
    ・社会の変化、政治的な変化、技術の変化のうち、将来を一定程度予測できるのは技術の変化のみである。
    ・謝罪しないトップ、現場にいないトップ、欲深いトップ

    経営において数字を出すことは必須ですが、企業がなぜ存在しているのか、突き詰めて考えておく必要があると思わされました。

    自分も自社の創業者が作った会社への「想い」は忘れないようにしたい、そう思いました。

    ビジネスマンにとって、自分の会社は沈む船になっていないか、チェックするのに役立つ一冊でした。

  • 史実は知らない部分が多く参考になったが、いかんせん筆者の考え方が偏っていたり、古くさかったりする。

    SONYの製品はハードは良い(あるいはそこそこ良い)のにソフトがダメ、というのが数年以上続いていると私は思っているのだが…

    また、特に気になったのは、テレビという製品の見方について。テレビは「綺麗さと大画面化」が大切といった旨の記述があるが、もうそんな時代ではないと私は思う。

    この本は、事実の部分を「へーそんなことがあったのか」といった感じで吸収しつつ、筆者の意見に対してはいろいろ考えながら読むと良いのではないかと思う。

  • ソニーのメーカーとしての復活はなさそう。この本を読む限りでは。人材がサムスンに流出しているということには納得。サムスンの製品には中途半端に昔のソニー風な感じが出てるかも。
    出井批判が結構書いてあるけど、評価していい取り組みって金融以外に本当に無かったのかね?

  • クリエ アウトルックと同期
    シャワー効果
    DRC
    A3研究所
    I3研究所
    出井氏ドラッカー
    功労に対しては報酬を与え、地位を与えるべきではない
    ソニーのaibo終了、AI研究者がトヨタへ
    キャリア開発室

  • 最近、ストリンガー体制が崩れて、どこに行くのかますますわからないソニーのこれまでの歴史と、なぜ魅力的な製品を開発できなくなくなったのかの筆者の意見。

    本書は単なるソニーの社史ではなく、町工場だったような東京通信工業が、いかにしてトランジスターラジオ、ウォークマン、CDといろいろな独創的な製品を作ってきたが、創業者から連なるエレキの会社としての製品を大切にする文化が、4代目の出井社長辺りからずれてきたように感じた。テレビも不採算部門になりつつあるが、製品作りを知らない人がトップについてしまった悲劇なのだろうか。

    しかし、縮小する市場に投資はできないし、改めて会社経営を数十年単位で行うことは難しいと感じた。ソニーファンや凋落するソニーの原因を知りたい人には良い本だと思う。

  • 面白かったけど、ちょっと後付け感が否めない。

  • 先日テレビ事業を中心に業績不振で赤字決算となり、ストリンガーCEOが退陣することになったソニーの経営者達を題材にした本。私も小学生の時から、テレビ・ラジカセ・コンポ・ウオークマン・・・とエレクトロニクスはソニーが一番と信じてきた世代であり、昨今の低落傾向に非常にさびしさを感じていたので購入した。
    創業者の盛田・井深氏の時から、ソニーにしか作れないものを作っていこうという技術者魂があり、それを大賀氏の時代までは脈々と受け継がれてきた。しかし、出井氏の代から、ハードではなく、ゲームやコンテンツといったソフトを重視する戦略がとられるようになり、低落が始まった。これには、ソニーエンターテイメント等の会社から現在のストリンガー氏を始めソニー本体の経営に携わる人間が、技術の優先順位を落としたからだと断定している。

    恐らくこの本の記載内容は一定程度は事実なのであろうが、基本的には公表されている情報、数値を基に、時折怪しげなOBのコメントで裏付けをとっている程度で、全面的には信用できないと思う。著者の考えというよりは一方的な決め付けにより、結果論で様々なマイナス面を断定しているように思えてならない。

    本論とは全く無関係だが、現CEOのストリンガー氏は英国出身者だが米国CBSテレビでプレジデントまでやっている。米国の懐の深さを感じた。

  • 2012年3月1日読了。日本を代表する・デザインがかっこよく未来性あふれる製品を連発する・闊達なる理想工場たる会社「だった」ソニーがいかにして今の状態になったのか、これからどこへ向かうのを哀切に説く本。私も一ソニーファンとして現在のソニーの状態はツライが、残念ながらこの本を読んで「こりゃあ、ダメだわ」との思いが新たになってしまった・・・。犯人探しをしても仕方ないが、「モルモット精神」で常に市場の期待を超える、新しくてかつ売れる商品を出し続けるなんてことは、誰がソニーを率いても無理なことだったのかもしれない・・・が、アップルはそれをやっているのだから言い訳はできないわな。ソニーは、コモディティ化したテレビやMP3プレイヤーなどの「そこそこ高性能」な商品を出し、あまたある電機メーカーと価格競争をしていくしか道がないし、それはソニーマニアが何を言おうと関係のない、自らが選んだ道なのか・・・。

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著者プロフィール

立石 泰則(たていし・やすのり)
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。1950年福岡県生北九州市まれ。中央大学大学院法学研究科修士課程修了。「週刊文春」記者等を経て、1988年に独立。92年に『覇者の誤算――日米コンピュータ戦争の40年』(日本経済新聞社)で第15回講談社ノンフィクション賞を受賞。2000年に『魔術師――三原脩と西鉄ライオンズ』(文藝春秋)で99年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。そのほかの著書に『マーケティングのSONY――市場を創り出すDNA』(岩波書店)、『戦争体験と経営者』(岩波新書)、『さよなら! 僕らのソニー』『松下幸之助の憂鬱』(いずれも文春新書)、『「がんばらない」経営――不況下でも増収増益を続けるケーズデンキの秘密』『働くこと、生きること』(草思社)など多数。

「2021年 『増補新版 フェリカの真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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