新しい国へ 美しい国へ 完全版 (文春新書 903)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166609031

感想・レビュー・書評

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  • おやめになってからも「桜」は散らず、なにかとマスコミに登場する安倍晋三氏の表題作を今更拝見。
    わたしは、安倍氏とは生年月日が3日違いの同年生まれである。というより、同じ時代を生きてきたといえる。だが、これほどまでに異なるお考えとは・・。
    この方の語りには主語がない。「おわりに」で「わたしが十代、二十代の頃、どんなことを考えていたか」と自分の心情を語ったと書かれてはいるが、父・晋太郎氏の苦労話は書かれていても、ご本人の話はなにもない。そう、64年のオリンピックの話は、同い年として共通の感覚はもった。あの頃の日本人の高揚感は小学生でも十分に理解できた。安倍氏は、「幼いながらに」と表現しているが、安倍氏の語りには浅薄な出来事のようにしか伝わらない。造船労働者の息子の私に、エスタブリッシュメントの気持ちはわからないのかもしれない。三無主義とかいわれ、全共闘世代とあとの世代に挟まれた「焦れるような」十代、二十代ではなかったことは確かだ。私のように。「政治提言の本ではない」らしいが、民権より国権を重視するお考えは、7年8カ月のあいだ嫌というほど聞かされました。
    靖国の英霊を語るにしても、ご祖父をはじめとする旧国体についてどう思われているのか。アーリントンと靖国を同列に語ることには違和感しか覚えない。歴史認識を語らず、歴史修正主義的な雰囲気だけを醸し出す。この方の思う『美しい国』は何なのだろうか。
    安倍氏の嘘と言い訳、民主主義を語りながらも強行採決を繰り返し、危機感をあおる。教育を語る前に、ご自分の倫理観について、ぜひお聞かせいただきたい。
    総理をやめて健康になられたようだが、国権派のボスになりたい感が、相も変わらずにじみ出ております。自民党の民権派の方々は、どうしたのだろうか。

  • H25.8.11

  • 再読

  • 安倍首相の2013年に書かれた本です。3本の矢に関しては特に記述がないのですが、安倍さんの政治に関する信条的なことが、子どものころの思い出と共に記してあります。
    思っていたより、熱い人なんだなぁというのが、正直な感想。あと、やっぱりこの人は政治家なんだなぁと思う。

  • 現在(2013.5)安倍氏は首相として頑張っていますが、彼が最初に総理大臣になったころに彼が書いた「美しい国へ」という本を読みましたが、この本は、その増補版と言う位置付けになります。

    中身を読んでみると、増補版というのは最後の20ページ足らずのようですが、彼が再登板した時の意気込みが感じられる文章になっています。デフレを脱却して成長(インフレ及び消費税増税?)という戦略を目指しているのは何となく理解できました。

    それでも、今回新たに書かれた「まえがき」を読むと、安倍氏は日本のことを考えて戦略を考えていると信じたいです、数年後には、あの時自民党が復活してよかったと思える日が来ることを信じています。

    以下は気になったポイントです。

    ・欧州では、市民が血を流しながら自由の権利を獲得したので、「リベラル」は他者の介入を許さない個人主義に近いもの、一方アメリカは、社会的平等には政府が介入すべき(大きな政府)を支持する立場である(p21)

    ・自民党は、その成立過程からして、共産主義を否定する人なら誰でも入れた政党で、吉田茂率いる自由党と、鳩山一郎率いる日本民主党の合併によるもの(p31)

    ・同盟国との信頼関係を強化するうえで、政治家個人の信頼関係が果たす役割は大きい(p38)

    ・A級戦犯とは、指導的立場にいたからA級と便宜的に呼んだもので、罪の軽重とは関係ない(p74)

    ・GHQが靖国神社をどうすべきか検討するとき、駐日バチカン公使代理のブルーノ・ビッター神父は、「国家のために死んだ人々に対して敬意を払う権利と義務がある」と述べた(p77)

    ・外国人が日本人に聞きたいのは、その人間の背負っている歴史・伝統・文化である(p96)

    ・戦後の日本社会が安定性を失わなかったのは、行政府の長とは違う「天皇」という微動だにしない存在があったから(p107)

    ・天皇が他の国の王と異なるのは、富を誇っていたのではなく、文化的水準の高さ(歌集の編纂等)を誇っていた(p108)

    ・基礎年金の給付は税金が投入されている、2009年度から税金投入が1/3から1/2へ引き上げとなる(p183)

    ・2004年の年金改革のポイントは「スライド調整率0.9%」であり、これは物価が1%上がっても、0.1%しか上がったことにしないという計算方法(p187)

    ・国民年金の仕組みが出来上がったのは、1961年であるが、全てに共通する基礎年金が完成するのは 1986年である。賦課方式にしたのは、給付を受ける権利のない親を養うために、年金と親の負担のダブルの負担となるため(p192)

    ・ジニ係数が過去最高の 0.4983となっているが、これは所得格差の大きな高齢者世帯が増えたから、租税・年金などの再分配を経た後の数値は 0.3812でありそれほど大きな格差ではない(p225)

    2013年5月1日作成

著者プロフィール

安倍晋三(あべ・しんぞう)
1954年、東京生まれ。成蹊大学法学部政治学科卒業後、神戸製鋼所勤務、父・安倍晋太郎外相の秘書官を経て、1993年衆議院議員初当選。2003年自由民主党幹事長、2005年 内閣官房長官などを歴任。2006年第90代内閣総理大臣に就任し、翌年9月に潰瘍性大腸炎を理由に退陣。2012年12月に第96代内閣総理大臣に就任し、再登板を果たした。その後の国政選挙で勝利を重ね、「安倍1強」と呼ばれる長期政権を築いた。20年9月に持病の悪化で首相を退くまでの連続在職2822日と、第1次内閣を含めた通算在職3188日は、いずれも戦前を含めて歴代最長。第2次内閣以降はデフレ脱却を訴え経済政策「アベノミクス」を推進。憲法解釈を変更し、15年9月に限定的な集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法を成立させた。対外関係では、「地球儀 俯瞰外交」や「自由で開かれたインド太平洋」などを掲げ、首脳外交に尽力。日米豪印4か国の枠組みなど、日本の安全保障に欠かせない米欧諸国との連携の礎を築いた。2022年7月8日奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃され死去。享年67。

「2023年 『安倍晋三 回顧録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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