大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書 1045)
- 文藝春秋 (2015年10月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166610457
感想・レビュー・書評
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NDC分類 209
池上さんの本を読むなら、
『おとなの教養』
『大世界史』
『この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう 池上彰教授の東工大講義 世界篇』
『聞かないマスコミ 答えない政治家』
『考える力がつく本』
の5冊を、大居雄一氏はオススメするとのこと。
・・ただ、大居さん100冊くらい池上さんの本もっているそうで。ファンなんだろうな。大居さんは他の人の本も読んだうえで、池上さんも読んでいるのだろうけれど。読書量の少ない私は、一人に人の本に偏らず、あれこれ読んでいくのがいいかと。
「ベストセラー『新・戦争論』に続く最強コンビの第2弾!各地でさまざまな紛争が勃発する現代は、まるで新たな世界大戦の前夜だ。激動の世界を読み解く鍵は「歴史」にこそある!」
目次
1 なぜ、いま、大世界史か
2 中東こそ大転換の震源地
3 オスマン帝国の逆襲
4 習近平の中国は明王朝
5 ドイツ帝国の復活が問題だ
6 「アメリカvs.ロシア」の地政学
7 「右」も「左」も沖縄を知らない
8 「イスラム国」が核をもつ日
9 ウェストファリア条約から始まる
10 ビリギャルの世界史的意義
11 最強の世界史勉強法詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
受験のためにかつて世界史を勉強したが、知識の詰め込みに終始し、また現代史はほとんど出題されないのでほとんど手付かずのまま終えた。社会人になってから改めて現代につながる生きた世界史を学びたいと思い手に取った。対談式で読み進めやすく、欧米だけでなく中東、振り返って日本についても詳述しているところが良かった。
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さすが池上さん、歴史を学ぶ重要さがわかる本だ。しかも本書には現在の世界政治の源流が楽しく理解できるというポイントまで付いている。
対談の相手は「外務省のラスプーチン」佐藤優氏。東京拘置所では勉学に没頭していたという知性の塊り、この二人は意外とケミストリーが合うのではないか。いつも冷静な池上さんが本書では普段よりも政治的にやや突っ込んでいる。
また、オスマン帝国やペルシャ帝国の歴史を聞くと、自分がいかに無知だったのかがよくわかる。現在の国際政治は過去の経過の上に成立していることが思い知らされた。本書をまさに「最強の教科書」と高く評価したい。
2017年7月読了。 -
本書でイスラム世界の動きで注目すべきはトルコと記載されているなか、軍部によるクーデタ未遂。まさに慧眼としかいいようがない。それにしても、プロの分析者の目というものは一般人とここまで違うのか、と思い知らされた。まさに歴史を学んでいないことを思い知らされる一冊だと思う。
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純粋に勉強になる。
「いま起きているニュースはどのような理由から来ているのか」人や「世界史勉強しなおしたいけど、忙しくてなかなかできない」人、「今世界情勢はどんななってるのか気になる」人は、とても勉強になる本。ざっくりだけども、世界全体を概観できるつくりになっている。ただ、世界の動きと日本の動きを連動させてみるには、やはり自分の頭でしっかりと考えなければならないので、この本はその助けになるだけと思っていたほうが良い。
読後感は、「そっかー」で終わりがちなのが、こういった教養本であるが、そう終わらせないためにも自分の頭で考える必要がある。以下、自分なりに整理。
①中東の動き(イスラム国だけではなく、トルコ、サウジも含めて)は、宗教、民族の視点でみないと読み解くことができない。例えば、シーア派とスンニ派、イスラム穏健派、イスラム過激派、クルド人、などなど。こういった知識は前提として持っていないと中東の動きは何がなんだかわからない。
②アメリカ、中国、EU(ドイツ)、ロシアという帝国の動きは世界史を見る上で、欠かせない。とくに、アメリカの動きはすべての国際情勢に影響を与えるだけに、ホワイトハウスは何をしているのかをしっかりとみるべきである。また、中国に関しても、ロシアと中国、アメリカと中国、EUと中国の関係性は押さえておかないといけない。
③①と②の動きの連立方程式で物事をみていく必要性がある。
現在帝国が、今後国際社会でどのような役割になっていくのか、どのような思惑、世界戦略があるのか、をしっかりと見据えたうえで、現在を動きを注視していかないといけないだろう。そのことを考える上で、重要になるのが「世界史」なのだと両者は言っている。たしかにそのとおりだろう。
これに加えて、国際情勢を経済面から分析している論考も合わせて読むと世界を立体的に見れると思う。 -
いま世界で起きている事の理解が深まります。
SNSなどの世界で徹底的に他人を叩く様な出来事があるのは、反知性主義の現出の一種なんでしょう。この本を読んで、ストンと落ちました。こう言う事は、品質劣化の激しい今時のテレビでは放送され無いので、広く知る機会が無かったですね。こう言う本が出て本当に良かったと思います。
歴史や世界を学ばなければ、日本の将来に暗雲が立ち込めて来る気がします。(既に時遅しかもしれませんが) -
面白かった。でもちょっと難しかった。
地図を見ながら読んだら、ほんとに面白かった。
中身は対談形式。
うろ覚えでいいので、高校の世界史の知識がないと、ついていけない本。
世界史を紹介した普通の本ではなく、歴史を踏まえて今起きていることをどのように捉えるか、大局的な一つの見方を述べている。
あーこんなことあったなー、なるぼどこういう風に繋がると解釈できるんだ、と発見が多かった。
だから、歴史は面白い!
こういう本は楽しい。
本の中で、反知性主義という言葉が出てくる。
反知性主義とは「客観性、実証性を軽視もしくは無視せて、自らが欲するように世界を理解する態度」(抜粋)をいう。
今、私の周りにも、反知性主義がはびこっている。本人たちが意識的か無意識か、また程度のレベルは別として、そういう人たちは多い。
都合が良いところだけ切りとり、都合が悪いことは無視するので、見ていてなんとも気持ち悪い。たまに人間性を疑いそうになる。
この本が多くの人に読まれ、そうした変な状況が少しでも減るといいな、と祈りたい気分になった。
追記: 著者の池上さん、佐藤さん、本書は知識層にはいいけど、そもそも反知性主義的な人には難しいのでは?と感じます。もうちょっと易しい本を出すと良いのでは、と思ったりしました。
…易しいのを出しても、読まないか、読んでも無視するから意味ないかも^_^; -
現在の世界の動きを、歴史の流れから紐解く。特に中東の捉え方は学びになった。
大きな捉え方として、膨張志向と収縮志向というものがある。
オスマン帝国(トルコ)とペルシャ帝国(イラン)は膨張志向。スンニ派とシーア派の宗教の問題、また民族の問題が絡まり、中東のパワーバランスを形成している。
アメリカは収縮志向。中国は膨張志向。膨張志向と膨張志向が衝突するところで紛争が起きる。今後は中央アジアも危険な状態になることが想定される。その他、ドイツ・ギリシャ・ロシアの地政学的立ち位置。世界の人口バランスは大きく変化することは明らかで、そうなるとパワーバランスも変わる。いかに世界の中でプレゼンスをとることができるのか?そういう観点で日本の外交を見ていくと面白いのかも、というかこれは自分にとっては死活問題でもある。 -
世界史と日本史を広く鳥瞰し、さらに、歴史にとどまらず、政治、文化、軍事、宗教等を含む体系的な「知」の重要性を説く。
現代日本に蔓延る「反知性主義」(実証性や客観性を軽視して、自分が欲するように世界を理解する態度のこと)への警鐘を鳴らしている。
昨今のニュースを理解し、今の世界情勢を把握するのに有益。
例えば「よく分からない」中東情勢(日本では、マスコミすらよく分かっていない)も、ポイントを把握して、過去の歴史に遡って学べば、全体像が見えてきて、理解が進む。
イスラムではシャリーア(イスラム法)が絶対視されており、これが、頻発するテロの1つのバックボーンとなっていること、トルコとイランという「帝国」の復活を目指す2国の対立軸、ギリシャ=人造国家、過去の帝国の存在が世界各地で現代にも大きな影響を与えていることなどは、目から鱗であった。