- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166611126
作品紹介・あらすじ
容赦ない裁判での取り立て、雪だるま式に膨れ上がる延滞金地獄……学生をしゃぶりつくす“高利貸し”の正体!突然、身に覚えのない多額の借金の請求書が自宅に届く――。今、全国各地でこんなことが相次いている。奨学金を借りた若者たちが返済に行き詰まり、その保証人が日本学生支援機構(JASSO)に訴えられるケースが続発しているのだ。長引く不況から、奨学金を借りる学生は増加し続け、いまや大学・短大生の約4割が奨学金を利用している。1人あたりの合計借入金額は、平均300万円以上にものぼる。新社会人の若者の約4割がこれほどの借金を背負って社会に出て行くのだ。だが、大学を卒業しても奨学金の返済に窮する若者が急増している。その背景には、雇用情勢の不安定化や「ブラック企業」の存在がある。滞納が一定期間続くと、JASSOは延滞分だけではなく、将来返済する予定の金額(元本および利子)も含めて、裁判所を通じて「一括請求」を行う。また、それら全体に「延滞金」が年間5~10%もかかってくる。そのため返済額は膨れ上がり、400万円、500万円といった莫大な請求が、一挙に振りかかってくる。借りた本人が返済できない場合、請求は保証人に及ぶ。奨学金の借入時には親族が連帯保証人及び保証人になることが一般的だ。両親はもとより、祖父、祖母、おじ、おばにまで請求がいくこともまったく珍しくはない。延滞金は、訴訟が提起され、本人が自己破産し、保証人に請求が行くまでに雪だるま式に膨れあがっている。まるで、かつての消費者金融被害のような様相を呈しているのだ。奨学金返済の延滞に対し、2015年度に執られた法的措置は、なんと8713件にも及ぶ。なかには、本人が死亡したのに家族が訴えられたケースや、シェルターで暮らす女性にも容赦ない取り立てが及んでいるケースもある。著者はNPO法人POSSEの代表を務め、これまで200件以上の奨学金返済の相談に関わってきた。本書では生々しい実例を豊富に紹介しているほか、すでに返済が難しくなってしまった人のために、どのように対処すればよいのかも詳しくアドバイスしている。
感想・レビュー・書評
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ブラック奨学金。今野晴貴先生の著書。学費問題、奨学金問題は深刻な社会問題。学習意欲がある子供たち、優秀な子供たちは、生まれ育った環境が裕福かどうかにかかわらず支援されるべき存在。そうでなくては、高学歴を手に入れられるのは裕福な家庭に育った幸運な子供たちだけになってしまう。お金がなくても才能や努力次第で高学歴を手に入れられる社会であってほしい。
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夜が明けるの参考文献に載ってて気になったので読んだ本
奨学金とは無縁の人生を歩んできたので知らないことだらけだった
ただひたすら親に申し訳ない気持ちになる
知らないこともっと勉強していこう -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685510 -
元の日本育英会である日本学生支援機構(JASSO)の過酷な取り立ての様子を書いた本。取り立てが本当に過酷でサラ金以上といっても過言ではない。借りずに済むなら借りない方が絶対に良い。
借りたことで学生の頃にブラックバイトをすることになったり、返済が重荷のため就職先がブラック会社になってもやめたくてもやめられないことになったり、日本の未来を担う若者を搾取する構造になっている。
JASSOの構造改革と給付型奨学金の国による充実化が急がれる。 -
東2法経図・6F開架:373.4A/Ko75b//K
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『ブラック奨学金』
著者:今野晴貴(1983-)
【メモ】
・本書の5章で、奨学金にまつわる昨今の問題について「個人の問題ではなく、構造の問題」だという観点をもって、分析を展開している。
・本書の簡易まとめ記事
http://bunshun.jp/articles/-/2868
【版元】
定価:本体830円+税
発売日:2017年06月20日
ジャンル:ノンフィクション
ページ数 224ページ
判型・造本・装丁 新書判
初版奥付日 2017年06月20日
ISBN 978-4-16-661112-6
Cコード 0295
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166611126
【目次】
まえがき 奨学金でローン地獄に突き落とされる若者たち [003-008]
目次 [009-015]
第1章 奨学金返済の実態 017
第2章 苛酷な取り立ての実態 063
第3章 「延滞金地獄」のパターン分析 095
第4章 世界に逆行する日本の教育費政策 117
第5章 若者を奴隷化する日本の奨学金政策 143
第6章 「新しい奨学金」の利用法と注意点 173
第7章 必読! 返せなくなったときの対処法 195
あとがき 日本の教育は世界から転落する(2017年5月) [217-219]
支援団体一覧 [220-223] -
POSSEをはじめとする支援団体の活動を応援したいと思うとともに、企業として奨学金の返済に努める学生や従業員に対する支援のあり方を考えていきたい。
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ブラック企業とかの取材をしている作者が、今度は奨学金に切り込む。
ただ、ほんとうにこのような対応をしているのか、ちょっと違和感を持った、というのも一応民法に則ってやってるんだから、代筆された保証人に保証債務履行請求をかけている、というのは・・・。
取材しつつ、弁護士とかの相談会を紹介していただいていることと思いますが。 -
<目次>
まえがき 奨学金でローン地獄に突き落とされる若者たち
第1章 奨学金返済の実態
第2章 過酷な取り立ての実態
第3章 「延滞金地獄」のパターン分析
第4章 世界に逆行する日本の教育費政策
第5章 若者を奴隷化する日本の奨学金政策
第6章 「新しい奨学金」の利用法と注意点
第7章 必読!返せなくなったときの対処法
<内容>
読んでいて哀しくなった。結局高度成長期の金の亡者たちが、教育の世界(と福祉の世界が高度成長期は金にならないジャンルで、そういう意味で自由にできた)をしゃぶりつくしてできている「奨学金」という名の、サラ金。サラ金よりも悪いのは、就職も決まっていない(近年はここがブラック化)のに、20年のローンを組んでしまい(ちなみに、大学などの上級学校もうまく行くのか誰もわからない。ここにもブラックバイトが仕込まれている)、人生の半分は借金地獄に浸かるしかないこと。何か間違っている。彼らは上の年代の年金から福祉費から、みんな支えなくてはいけないのに、入り口で藪から棒に、細い棒を渡されて(この棒は一度手にすると手から離れない仕組みになっている)、「これでずっと歩いていけるよ」と詐欺に遭っている訳で、それなのにこの仕打ち…。おそらくシステムを作った人たちは、人生を甘受するのだろうが、彼らが老人になった時、「日本」は残っているのだろうか…。そんな悲しい夢を見た本でした。