- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166613793
感想・レビュー・書評
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読後感は、気持ち悪い。
戦前と戦後の、皇室の予算資料を手に入れて、それを公開する内容。
戦前の皇室は独自の財源を持たれて独立しておられたが、戦後は、財政面では畏れ多くも首根っこ引っ掴まれてる状況で、確かにまあ、特に昭和天皇のお人柄が伺えたりするにはいいんだけど。
元々が、陛下に仕えられた方が個人で「持ち出して」いた資料。
マル秘であり、皇室のプライベートにあたるところもあって、話を振られた関係者が、ドン引きするほどのもの。
上皇陛下のご家族のプライベート、それこそ歯ブラシ何本買いたいんですがなんて内容、これ、たとえば宮内庁とか、許可とったんか。
皇室は存在自体が公だから、オープンにすべきとか言っとったが正気か。
第一級資料というのはいいが、研究したんか。
晒してだけで、何がしたいのん。なんか提言あったっけ?
公にどんな利益がある内容なん?
得意げなジャーナリズムが、鼻についた一本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
英国のエリザベス女王がお亡くなりになり、様々な話題がニュースになっている。その中には英国王室の財産もある。
約280億ドルもの遺産があるとニュースになり、桁違いな額に驚愕した。
そう言えば、日本の皇室の財産はどうなっているのかなとふと思った。
そんなときに書店でこの本を発見。この本の興味深いのは戦前・戦後の皇室の財産の全貌が明らかになったことだ。
太平洋戦争後、日本を占領したGHQは、財閥解体と皇室財産の解体をすすめた。再び脅威の存在とならないようにするためだ。
戦前の皇室は、日本最大の「財閥」だったのだと指摘している。
驚いたことに皇室の財産目録のようなものが存在しなかった。
調査の結果を1945年10月にラジオ放送を通して発表している。「皇室の総資産は15億90万円」だと。
しかし、土地と建物の評価額が主体で、金塊、金銀宝石や美術品は含まれていない。
翌年3月に再調査したところ、高質倍以上の約37億1600万円になった。
これについ政府の高官、大臣クラスでも知らなかったので、ビックリ。
こうなったのは、明治時代に「宮中・府中の別」と、政府と宮中は独立していたからだ。
政府に介入を避けて、財政面でも宮中が独立するためだ。
戦前には皇室に「機密費」があった。昭和11年の皇室予算の中にあり、30000円だった。現在の金額に換算すると1億円にも満たないそうだ。
何に使っていたかというと、華族の赤化、共産主義に傾倒することが問題になっていた。
華族として好ましからざる行動をする方たちを調査する費用を支出項目にしづらい内容のお金ではないかという趣旨の発言を元宮内庁職員が述べていた。
そう言えば、戦前も海外に留学する皇族はいた。大正デモクラシーを背景に外遊する皇族が増えて、負担も増えた。
東久邇宮稔彦王(ひがしくにのみやなるひこおう)は、大正9年にフランス留学したあと、昭和になるまで帰って来なかった。その滞在費はほとんどが皇室負担だったというから驚きだ。
戦後になると、支出で生活の様子が見えるようになった。
「御用度費」では、アイロンや噴霧器などに混じって、興味深い品があるとして、昭和43年度は「ソニービデオコーダー一式」を31万3000円で購入した。
テレビ映像を記録する世界初の家庭用ビデオレコーダーだ。
昭和天皇は、水戸黄門や大岡越前のような勧善懲悪の時代劇がお好きだった。
ビデオ録画の手配は侍従がするが、時々録画ミスをすることがあった。
発売当時は操作がややこしかったそうだ。
目にする機会のない皇室の「家計簿」は興味深いなあ。 -
資料が古い。
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戦前、戦後それぞれ態様の違う皇室財産、秘密資料が明らかにする皇室の意外史。
実に興味深く楽しく読めた本。著者は新書としては珍しく学者さんではなくノンフィクションの奥野修司氏。
皇室を収入と支出の観点から詳細に読み解いていく。
まずは、戦前の皇室の財産の多さには驚かされる。御料林からの収入を初め、各種国策会社への投資。GHQが最初、皇室を財閥の一つとみなしていたこど良くわかる。それだけ圧倒的な財産と収入。
一転して戦後、こちらは昭和天皇のお姿が良くわかるような詳細な支出の検証。各種儀式に遺された今日の公家文化の残滓が面白い。
戦前と戦後、あまりに異なる皇室の態様。財産という観点から見た隠れた昭和史は実に面白いものでした。
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【天皇家の極秘資料を発掘!】戦前の皇室は大株主で大資産家、戦後の資料にあらわれた昭和天皇の「もったいない精神」――。新資料をもとに天皇家のあり方に迫る。