新装版 坂の上の雲 (3) (文春文庫) (文春文庫 し 1-78)
- 文藝春秋 (1999年1月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105785
感想・レビュー・書評
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ロシアの南下政策に対する脅威に対して日露戦争が始まり、旅順の攻防が始まろうとしている。昔、映画にあった「203高地」の前章に当たるか。
著者の「ついでながら」は相変わらずだけど、案外、重要な事だったりする。」
旅順を巡る大攻防戦が描かれそう。 -
レビューは全巻読んでからします…。
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宿敵ロシアと遂に開戦。大山巌元帥率いる満洲派遣軍は、まず、鴨緑江を越え、黒木第一軍の敵前渡河作戦で緒戦大勝利。奥第二軍、乃木第三軍、野津第四軍も遼東半島から、大連、金州を攻略。しかし、これは苦戦の序章に過ぎなかった。
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7月
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子規は平かでごく普通な、さりげない常識性の世界に美を見出そうとした人物。
日露戦争をおこしたエネルギーは歴史そのものであるとしても、その歴史のこの当時のこの局面での運転者のひとりがニコライ二世。
どちらがおこしたか、という設問はあまり科学的ではない。しかしいてこの戦争責任者を四捨五入してきめるとすれば、ロシアが八分、日本が二分である。そのロシアの八分のうちほとんどはニコライ二世が負う。この皇帝の性格、判断力が、この大きな災いをまねいた責任を負わなければならない。このため、ニコライ二世のことに多くの紙数を割いた。
世界史のうえで、ときに民族というものが後世の想像を絶する奇蹟のようなものを演ずることがあるが、日清戦争から日露戦争にかけての十年間の日本ほどの奇蹟を演じた民族は、まず類がない。
要するに、日露戦争の原因は、満洲と朝鮮である。満洲をとったロシアが、やがて朝鮮をとる。
すべて、客観的にとらえ、軍隊の物理性のみを論じている。これが、好古だけでなく、明治の日本人の共通性であり、昭和期の日本軍人が、敵国と自国の軍隊の力を図る上で、秤にもかけられぬ忠誠心や精神力を、最初から日本が絶大であるとして大きな計算要素にしたということと、まるでちがっている。
p196
ちなみに、すぐれた戦略戦術というものはいわば算術程度のもので、素人が十分に理解できるような簡明さをもっている。
逆に言えば玄人だけに理解できるような哲学じみた晦渋な戦略戦術はまれにしか存在しないし、まれに存在しえても、それは敗北側のそれでしかない。
たとえていえば、太平洋戦争を指導した日本陸軍の朱の部の戦略戦術思想がそれであろう。戦術の基本である算術性を失い、世界史上まれにみる哲学性と神秘性を多分にもたせたもので、多分というよりはむしろ、欠如している算術性の代用要素として哲学性を入れた。戦略的基盤や経済的基礎のうらづけのない「必勝の信念」の鼓吹や、「神州不滅」思想の宣伝、それに自殺戦術の賛美とその固定化という信じがたいほどの神秘哲学が、軍服をきた戦争指導者たちの基本思想になってしまった。
好古「国家が衰退するのは、つねに上流社会の腐敗によりおこる。」 -
いよいよ日露が衝突する第三巻。
日本、ロシア、それぞれの外交の謀略が交差するのが読みごたえがありました。軍国主義が世界の主流だった時代、そうした外交の読み合いというのが国の命運を左右するもので、登場人物それぞれの知略や状況判断に国家の命運をかけて臨んでいる姿が行間から伝わってきたからだと思います。
そしてこの小説での日本軍の冷静な戦況の読みには感嘆の想いでした。6:4で日本が勝つ戦況に持っていくだとか、兵士に命を賭すような作戦を立てることは負けを意味している、だとか精神論では戦争はできないだとか、太平洋戦争での無謀さからは考えられないような考え方で動いていたのが意外でした。こういう考え方が後の太平洋戦争でも残っていれば、もっと日本の被害は減らせたいたのかなあ。
司馬遼太郎の歴史認識が色濃く出ている、ということで、これだけで一概にこのころの日本軍はましだった、ということはできないですが、こういう見方もありだなあ、と思いつつ次巻に進もうと思います。 -
ここら辺から日露戦争中の話に入ります。
日露主要軍人の人間模様は面白いけどかなり主観も入っているようだし、
戦術についての記述はあまり興味がないから読み進めるのが結構大変。 -
やるからには日本一になりたい、という明治の男の気概が格好いい。