片想い (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167110093

感想・レビュー・書評

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  • 長編ミステリーだった。
    後から読んだら解説に書いてあった。
    読みはじめはなかなかページが進まなかった。
    今はやりというか話題のジェンダーの話か?性同一性障害の話か?(今は性同一性障害って言わないらしいけど)と、思っていたら、その苦悩やそれをどうにかしようとする人たちの奮闘が書かれていたり…。
    と、思ったらミステリーだった。
    結局誰がストーカーを殺したのか、を推理するものだった。

    銀座の飲み屋(キャバレー?)の女の子、カオリにストーカーが居た。奴から守るためにカオリのボディーガードをしていた神崎ミツルという名を名乗っていた美月。
    カオリを守るためにそのストーカーを殺してしまった。それを同窓会の日に告白した美月。彼女(彼?)をかくまい、警察の手から逃げさせようとするかつての仲間、哲朗とその妻兼親友の理沙子。迷惑をかけまいと姿を消す美月を探すのだが、その過程で徐々に明らかになる美月を取り巻く人間模様。
    最後は大団円とはいかないまでも、落ち着くところに落ち着いた。結局は海外に行ってしまうのだが。
    日本国内ではどうしても自由に生きられない体の性と心の性が一致しない人たちの物語

    ーーーーーーーー
    十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。彼女から、殺人を告白された哲朗は、美月の親友である妻とともに、彼女をかくまうが……。十年という歳月は、かつての仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描いた、傑作長編ミステリー。

  • メビウスの帯
    これこそジェンダーを的確に表現していると感じた

  • 結末を考えず好きなように書いたのかな、と思うくらいミステリ部分が破綻している。ジェンダーについて描きたかったのはわかるが、登場人物がみなワガママに思えて読み進めるのが辛かった。主人公が妻にしたことはDVなのにその自覚も無くのうのうとしているのも不愉快。作者はやはり「男性」だなと思った。実家の本棚整理の為に読んだが、やはり東野圭吾は好きになれない。

  • 中学生のときに読んだ本を、たまたま図書館で見つけて再読。
    10年以上前(作品の発表は20年近く前)の作品とは思えないほど、性別としての「ジェンダー」「セックス」について考えられる作品だった。
    この本を、中学時代に読めていたのは幸福なことだったのだと思う。

  • 男と女を単純に二極化するが当たり前だと思っていたことは、何も当たり前ではない。人はそれぞれ男性的な部分と女性的な部分を持っている。その割合が人それぞれ違うだけだが、世の中はどっちかはっきりさせないと生きていけない。そういった概念があることを知ることができた。

  • ジェンダーがどうのこうの、という話題はしょっちゅうニュースなどで耳にするけれど、実際に物語で読んでみると「こういう苦労があるんだ」「単に恋愛観が違う、男てはない女ではないという単純な問題ではないんだ」ということに改めて気付かされた。
    単なるミステリー本ではなくジェンダー論について深く描かれているとても興味深い内容だった。色んな人に読んで欲しい!

  •  要所要所にアメフト要素を絡めてくるのが秀逸。ミステリとしての軸とドラマ(物語)としての軸がマッチしていて、話がスッと入ってきてくれる感じがした。



     自分が今まで読んだ東野圭吾作品の中では五指に入る傑作だった。東野圭吾らしい社会派テイストのミステリに仕上げつつも脱青春の文学として成立している。



     矢張り文学とか小説とか云うものは弱者を掬い取ってこそ価値がある。自分はそう思う。難しいテーマによく切り込んでくれた。


     巻末の解説に拠ると著者は「夜空ノムコウ」から着想を得たそうな。どこか大人になりきれず、然し、いつかはどこかで対決して決着をつけなければならない。どうしたって生活は続いてしまうし、続けねばならないのだから。そんな青春の残り火のような淡い余韻もある。


     読後には是非「夜空ノムコウ」を聴いてみてほしい。出来れば登場人物一人々々に思いを馳せながら。走馬灯のように甦るシーンが幾つもある事と思う。

  • 取り扱っている題材が重めだけど、予想外の展開がすごい。

  • 1999年に書いたとは思えない。正解のない中で、何がハッピーエンドなのか分からなかったけれど、彼らの中にあった絆は、男・女という概念自体全く必要のないほど強いものなんだろうなと思った

  • たしかに男らしいとか女らしいとか言うし、メビウスの帯にあるように2種類の性別に分けて考えていいものなわけがないと思った
    東野圭吾の本はほんとうに考えさせてくれる

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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