忍者群像 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142186

感想・レビュー・書評

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  • とにかく忍者しか出てこないというか。
    忍者による忍者の為の忍者の話。池波正太郎、ここにあり!な感じ。
    全て短編集なので個々に手短に。

    鬼火…明智光秀謀叛に関わった忍者の話。坂巻伝蔵と松尾九十郎。この2人の忍びを中心に展開。天下は織田から秀吉、徳川と移ったけども残った因縁だけは消えなかった。っていう感じ。どこまでも追い詰めても、死ぬ時は案外呆気ないものなのかなって。

    首…明智光秀が死んだのに生きているという噂を耳にし、確かに死んだはずなのに何故?と岩根小五郎いう忍びが疑問に思うところからスタート。しかも関ヶ原の戦いで、東軍にいたという。結局は桜野宮内という光秀の弟だったというオチ。しかもほぼ同時に死ぬっていう。これも因縁話。

    寝返り寅松…北条家に仕える山岸主膳之助の家来になりすまして忍び活動をしている小出寅松。だけど、だんだん山岸主膳之助の魅力にはまり、とうとう娘までもらって完全な寝返りをしてしまった。甲賀の仲間たちは「もしや、寝返りでは?」と疑うけど、のらりくらりと逃げる寅松。最後はハッピーエンド。こういうエピソード面白い。

    闇の中の声…時は関ヶ原の戦い。真田幸村を倒すため西尾仁左衛門は立ち向かうが簡単にあしらわれる始末。真田家の側近である忍びの弥五兵衛に恥をかかされ恨みを抱きながら生き続けるが、大阪夏の陣で幸村にいざ斬りかかろうとするものの既に亡くなっていた。首をとり、自分の手柄として名を上げた仁左衛門は家康からも冷たくされ終いには狂死。そこには弥五兵衛の巧みな罠というか、なんというか。小話みたいな内容でこれは凄く良かった。

    やぶれ弥五兵衛…先程の弥五兵衛続編みたいな?もん。真田幸村と徳川家康それぞれの忍びの戦い。加藤清正が亡くなりいよいよ豊臣家も危なくなってきたなという時でも、それでも豊臣家を存続させたい真田家。加藤清正を毒で暗殺した料理人梅春との関わりとか。最後にどんでん返しがあったり。これは闇の中の声と一気読みしてもらいたいほど、凄く良い。

    戦陣眼鏡…笹原助右エ門正純は幕府の隠密。水野忠善の側近として活動しているけども唯一の弱点を見てしまった所から一気に面白くなる。水野忠善の良さも悪さも見え隠れするような、それを見て助右エ門もまた別の人生を歩むという感じ。最後が爽やか過ぎるくらい、爽やか。

    槍の忠弥…乗杉七兵衛は浪人の姿で長宗我部の遺子と言っている丸橋忠弥とその家族との同居生活をすることに。実は七兵衛は仮の名で、本当は岩根重兵衛という徳川家の忍び。そこは最後に分かるのだけども。タイトル通りの槍の使い手であるというところから2人が出会ってから、話がスタートするのだけども隠密って情も何もかも捨てないとやってらんないよなと。

  • 人たるものは一日に二度、めしをくらうゆえ、ばかものでもないかぎり、食事の修練をつむが当然じゃ。
    朝夕にすることさえ忖度が出来ぬのでは、ひと皮へだてた人の肚の内を知ることなど、とてもかなわぬ。

  • こういう忍者もアリだとおもいます

  • 全部読んでの感想「池波さん、家康嫌いなの?」
    そこはかとなく「家康は良いとこナシ、アイツ最低だよ」的な雰囲気が漂っていました。忍者は…伊賀忍者は特に家康よりだと思うのですが。

  • 本能寺で自刃した織田信長の最期とその配下の忍者像を描く「鬼火」加藤清正殺害の陰謀の謎にいどむ「やぶれ弥五兵衛」など、歴史のかげで男女忍者が活躍する七篇収録

    2008 ? 読了!

  • 忍者のお話7編の短編集。義理が通らなくなった。その中でも己の仕事・義理・仁義を通す人々。

  • 池波氏の忍者を題材とした7編からなる短編集。
    昭和36年〜42年に発表された作品だが、ストーリーのほとんどが後日、長篇忍者小説に発展している。
    2006.04.12読了
    <strong>関連リンク→<a href="http://kazusanosukede.gozaru.jp/" target="_blank">上総介 戦国書店</a></strong>

  • うーむ、やっぱり忍者系は、
    司馬遼太郎のんが好きやなぁ。

  • 初めて読んだ池波小説。硬すぎない文章と情景が浮かぶ様な文章が読みやすく、内容も面白い。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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