鬼平犯科帳 (8) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142216

感想・レビュー・書評

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    読書スピードを上げてゆこう。

    家に積まれている鬼平犯科帳も進めないと。
    鬼平犯科帳8巻は人情噺が続きます。1,2巻頃は情け容赦ない結末が多かったのに、鬼平が柔らかくなったのか池波正太郎が柔らかくなったのか。読者としては、あまり非道な話はキツいので、名物盗人や人情噺は歓迎です。

    『用心棒』
    高木軍兵衛は、でかい図体を買われて大店の用心棒になっているが、地方で大しくじりをして江戸に逃げてきた、気の弱いところもある男だった。浪人姿で市中見廻りに出ていた鬼平はたまたま軍兵衛と知り合い、ともに仕事を請け負うことになった?!
    ※※※身分を隠して市民に交じって弱気を助けて強気を挫く、時代劇のお約束(笑)

    『あきれた奴』
    妻をお産で亡くした火付盗賊改方の同心、小柳安五郎はまるで妻子の元に行きたがるように仕事に打ち込んでいる、それは危険なくらいに。
    ある時押し込み強盗が殺人を犯す。そのうちの一人の鹿留の又八を捉えた小柳は、調べるうちに又八の侠気を感じ、人を殺した相棒の居場所を白状するなら牢から出して女房子供に会わせてやると言う。
    牢から出た又八はそのまま逃げる。だが小柳は言い逃れもせずに代わりに牢に入る。
    半年後、全てが解決したあとで小柳は牢から出された。盗人を逃した小柳への甘い処分に不服を言う他の同心に鬼平は言うのであった。
    「小柳の真似をしてもいっこうに構わぬ。なれどしくじりあった時には、腹を切る覚悟でやることだ」
    ※※※標題の「あきれた奴」とは、信念を持って盗人を逃した同心と、その心に応えた盗人のことを愛情込めての表現。

    『明神の次郎吉』
    鬼平の朋友、岸井左馬之助は次郎吉という男の訪問を受ける。たまたま次郎吉が死を看取った僧侶から最期の伝言を頼まれわざわざ伝えに来てくれたのだ。その義理堅さに偉く感動した左馬之助は次郎吉と友情を取り交わしたいと願う。
    しかし次郎吉は、実は盗人で、親分の招集に応える旅路の途中だったのだ。そして次郎吉は、悪事を働く分、善行も積もうとしているのだ。
    事情を知った鬼平は、左馬之助を傷つけずに盗みを防ごうと…。
    ===善と悪の裏面性を持つ人間像。

    『流星』
    ↑上の話まで人情噺だったけど、コレは殺気漂う人斬りの話。
    鬼平の同心の家族への殺しが連続する。同時に情け容赦のなく全員を殺す押し込み強盗も勃発する。
    それは大阪の盗人頭が二人の剣客を雇い、鬼平の部下の家族を殺させて注意をひきつけ、その間に押し込み強盗を実行していたのだった。
    あまりに卑劣な遣り口に鬼平は歯ぎしりする。
    そして剣客たちは、自分たちで鬼平を斬りたいと思うほどに慢心し始めていた。

    『白と黒』
    女中に入りその家から盗みを働く女を「下女泥」という。最近江戸を騒がせるのは二人の下女泥。
    さてここに、もんどりの亀太郎という盗人がいた。どことなく憎めないやつ。その亀太郎が二人の下女泥と痴態を繰り広げるその現場に鬼平たちが踏み込む!
    …だが鬼平は笑いをこらえきれない。だって素っ裸で泡食って逃げる男の姿の面白いやら哀れやら。まあそんなに悪いやつじゃないし、密偵にでもしようかと思う鬼平でありましたとさ。

    『あきらめきれずに』
    鬼平の朋友、岸井左馬之助に縁談が来た!もう四十超えている左馬之助への縁談相手は、かつて鬼平とともに剣を習った小野田治平の出戻り娘のお静だった。左馬之助はすっかりお静に惚れている。だが小野田家を訪ねた鬼平と左馬之助が見たのは、別れたはずの夫、浅井高之助と密かに会うお静の姿だった。
    鬼平は左馬之助に、そのような女との縁談は賛成できないという。
    だが左馬之助は、お静を諦め切れないのだ。
    ※※※みんな善い人というか、取って付けたような円満解決ではあるんだけど、読者としては良かったねと思う。

  • 今回はハラハラしました!
    周りの人を傷つけるなんて…本当に大変でしたね、平蔵さん。

    私の好きな左馬之助さんが、ついにご結婚!!
    幸せになってほしいなぁ。

  • 「流星」では、結構、鬼平ピンチ!に見えた。けれども、結構あっさりバッサバッサ。

  • 久しぶりに読んだ。「流星」がいい。

  • 腕はからっきしの巨漢が用心棒になる話や捕まえた男を放して服役する同心の話などバリエーションが豊富かつ読みやすい傑作時代小説シリーズ。

  • 「用心棒」の平蔵が彼の人間性をぎゅっと濃縮したよいお話しだな~としみじみ。

  • うーむ、長谷川平蔵、完璧すぎる。備わりすぎていて、ちょと小憎い感じがしてきた。。。

  • 「用心棒」高木軍兵衛もいい味だしているが、
    この巻は岸井左馬之助が主役だな。
    純粋すぎて泪が出そう・・・。
    まぁ、出たけどねっ!!

  • おもしろい。

  • 中編が一つ混ざっています。
    なかなか人物関連が難しいのでメモを取りつつ読むのですが、これはなかなか辛いので、もっと気楽に読んだ方がいいかも知れませんね

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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