小説の秘密をめぐる十二章 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167144036

感想・レビュー・書評

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  • 2015.9.14読了
    精神的種族拡大
    熱心な愛読者は、自分こそがその作家の唯一本当の理解者であるような気持ちになる。その作家が自分の生まれる百年も前に亡くなっているのであっても、心の底から通じ合える、通じ合い得ているような気持ちになる、との記述に胸が熱くなった。

  • 小説作法論の本がマイブームだった時に買ってそのままだったものが発掘されたので読む。
    所謂「純文学」を描くときの心構え、的なものについて筆者の考えるところ。
    谷崎作品語り多し。
    (当たり前だけど)成程ね~と思える部分と思えない部分とあり。

  • 世に文章読本の類は多々ありますし、
    作家になりたい人へ、みたいなのもありますが。
    これはまた、作家でもあり辛口の評論家でもある氏の
    一味違った魅力ではないでしょうか~

    登場人物に名前をつけるには、どれほどのデリカシーを
    必要とするかがヒシヒシと伝わってきました。
    こういう過程を経ない作品ってのが結局は・・・
    ナンなんですよね、きっと。 ^^;

    他に、名詞と動詞、散文にとって大切なのはどっち?
    など。

    取り上げられる作品はやはり谷崎が多いですが、
    山田詠美や川上弘美もあって、現役作家だな~と。

    書かずにいられない情熱の持ち主だけが作家たるべき、の真っ当な主張が実に気持ちいい。

  • もくじ
    1 デビューについて
    2 創作事始め一
    3 創作事始め二
    4 書きたいことを書く
    5 才能をめぐって
    6 創作の方法一
    7 創作の方法二
    8 創作の方法三
    9 小説の構造一
    10 小説の構造二
    11 虚構および複線
    12 文章力を身につけるには

  • 表紙の装丁が美しい。著者の小説は読んだことがないが、谷崎、芥川、エミリー・ブロンテ、吉行淳之介など、紹介されている本がほぼ既読だったので、理解の助けになった。特に谷崎潤一郎好きの人は楽しめるだろう。
    芥川『羅生門』のラストを否定するなど、「え、ここを貶すのか?」と著者の好みが唐突に立ち上がるところも面白い。
    個人的には後半の谷崎の『少年』の解説が興味深い。かつて読んだときの記憶が呼び醒まされる。じりじりと物語の展開に迫っていく語り口が、まるで作者とふたりで読書会をしているようだ。
    褒めたい作家も貶したい作家もぎりぎりまで説明しておいて、敢えて名を秘すのも、著者の茶目っ気か。
    後半に話すように書く、というくだりがあるが。本の前半で語っていた谷崎の『卍』はまさに「女性の語り」で構成されており、読みながらも、そういえばよい参考例が先に出ていましたね、と著者の意図がこの本全体を通して透けて見えるようだ。
    これを読んでふと気がついたが、谷崎の『卍(まんじ)』も『少年』も、妖婦は「光子」なのだった。この登場人物のネーミングも著者のいう「分かりやすさ」を体現しているといえる。そういうことが、読者が自然と気がついたりするのだろう。
    小説を書きたい人というよりも、文章を書く人、書くことが日常な人が読むのに楽しめる本。おそらく読む人によって、引き込まれる箇所も異なるだろう。

  • ちょっと強引というか主観が強すぎる感が否めない。
    引用される作家に偏りがあるし、裏づけに事欠く。

    ちょっとした参考にするなら読む価値はある。散文での動詞の必要性などはほほう、と思いながら読んだ。

    (20110318)

  • 2010/1/5図書館で借りる
    2010/1/10返却

    よい文章は健康な脈拍を打つ

    創作欲というものは必ず発表願望と結びついて作動しているのである。

    佐藤治夫は無頼を行為ないしは精神がそこからはみださざるを得ない激しさのある人間の事なのだろう。

    要するにわれわれは、贅沢なら贅沢のように、貧乏なら貧乏のように、伸縮自在にやっていけて、そのために恥ずかしい思いをするとか、お得意先をしくじるとか云う心配がない。政治家、商人、官吏、弁護士等は差押えだの破産の宣告だのを受ければたちまち震え上がるけれども、われわれにはそんな威嚇しも利かない。

    一連の部分で、表現する事物によって、その部分では固有人称をうんと多くするほうが効果のあるときもあり、逆に固有人称は最初に一度、あるいは途中でもう一度出す程度にして、あとは代名詞にするのが得策である場合もある。

  •  小説家・記者・エッセイスト・ネット作家、いやもう同人作家だって構わない。
     一文でもいい、誰かに見せる為の文章を書く人間、もしくは書こうとしている人間はこの本を読むべきだ。
     他の人に対して自分の書く文章を見せる意味、責任を厳しく指摘されて、ぐうの音も出ない。
     隅から隅まで「仰せの通りでございます」と平伏しつつも、それでも書くのを止めない自分自身と向き合うことになる。

  • タイトルほどのきらめきはないかな。

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