ドロレス・クレイボーン (文春文庫 キ 2-18)

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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167148171

感想・レビュー・書評

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  • この頃のキングが 大好きで。

    主人公は 60代の女性。
    家政婦さんです。
    名前は 『ドロレス・クレイボーン』。

    つまり タイトルは
    この女性の名前なのですね。

    驚くことに 全編この女性の一人語り。
    にも関わらず ぐいぐいと物語に引き込まれます。

    親子・夫婦・殺人・暴力・嘘・女同士の友情・・・

    時は 1963年。
    アメリカ中を沸かせた 
    「皆既日食の日」のこと。

    身の毛もよだつような ホラー的要素と
    胸を締め付けられるような家族への愛が
    全く矛盾することなく同居する
    キングの魅力が 最大限に生かされた作品。

    口が悪く がらっぱちで
    手も ガサガサに荒れた
    ドロレスが 

    どうしてこんなにも かっこいいのか。

    “覚悟と度胸と暖かさ”を持った女性

    そして

    どんな逆境にも負けない 
    自身の不幸をも 笑い飛ばせる
    “ユーモア”に溢れていて

    素敵な女性です。

    ただ、ラストはもう少し
    シリアスでも 良かったかな~

    なんて。

    あくまでも 好みの問題ですが。

  • スティーブンキングの中で一番好きなのは実はこの本かもしれない。ずっとドロレスの語りだけで進んで行くんだけれども、ぐいぐい引き込まれて最終的にはドロレスの魅力にメロメロ。ただのおばちゃんなのは分かっているんだけれど、段々とドロレスが好きになっていく事間違いなしです。

  • 完全なるミステリー。
    気分はホラーだったけどこれはこれで満足。
    でも、もう少しメイン州の景色を堪能したかったな。
    他作との無理やりな繋がりはなんでやろうか?
    単なる作者の遊びなんやろか??

    映画化もされてるようなので見てみましょか。

  • 映画も原作もどちらも非常に好きな作品。映画は4、5回観たし、原作本の方も再読。
    キングは、DV被害女性の心情に、何故これほどまでに肉迫出来るのだろう・・・
    暴力に苦しむ全ての女性の魂を揺さぶり、慰撫し、立ち上がれと励ます1冊。

  • 単行本版240ページ。
    最後の5ページ以外冒頭から末尾まで一人の女性の独り語り。合いの手すら入らない独白でふたつの事件とそれぞれの背景を濃密に描き出し、飽きさせないという超絶技巧作品だった。

    冒頭で仄めかされるのはドロレスが長年勤めていたお屋敷の女主人の死に彼女が関わっていたのではないかという疑惑。
    警察へ陳述へやってきたドロレスは落ち着き払い、死んだ女主人は女狐で性悪女で最後の最後に自分を罠に嵌めるようなことをしたと罵詈雑言を述べ立てるけれど彼女を殺してはいないと宣言する。女主人を殺していないことをわかってもらうために、自分が過去に犯した殺人の話を告白しにきたのだと彼女は告げる。

    小さな町の顔見知りでもある刑事たちへ時々軽口を利きながら、数時間にわたって滔々と語り続ける言葉の中には自分の送ってきた人生への諦観がある。深い諦観と、それでもなんとか真面目にやり遂げてきたことに対する満足感にも似た想い。やるべきことをやるしかなく、それを選択する以外に道はなく、その結果について受け入れるしかなかった彼女の人生。

    "人間であることの営みっていうのは、主として選択をして、その付けが回ってきたら付けを払うということだと思ってきた。そういう選択のなかには、とっても厭なこともあるけど、だからといって、それに背中を向けて逃げ出すわけにはいかないんだね、これがーー自分を頼りにする人を抱えてて、その人自身ではできないことを、代わりにやってあげなければならない立場に立たされたときはね。そんなときには、自分にできる最善の選択をして、その付けを払うしかないのさ。

    人生とはそういうもの。片手には救えたものが載っていて、もう片方の手には失ったものへの想いがある。
    読み終わった後には泣きたくなるほど悲しい気持ちになった。

  • あたしのやったことは全部、愛のため……ふつうの母親が子供たちに抱く愛のためだったんだよ。この世にこれほど強い愛はない、これほど激しい必死の愛はないよ。子供たちを守ろうと必死になってる母親は、どんな悪女にもなれるんだ。

    2022/1/24読了

  • お金持ちで気難しいマダムの別荘でずっと働いてきたドロレスおばあちゃんの過去の罪の告白。

    1冊丸ごと全部彼女の独白で綴る圧巻。

    ジェラルドのゲームと対だそうです。

  • 再読。「ジェラルドのゲーム」と混同してしまったが、あながち間違いではなかった。
    ほぼ全編が主人公ドロレスの一人語りという形式なのだが、これがまためちゃくちゃ濃密。さすがキング。
    こんな長い独白をよく書けるものだ、と感心するけど、内容はさほど面白くない、というのが残念なところ。

  • 共鳴し過ぎて、小説と現実の境目が失われる小説のひとつ。生きている上で、聡明さや愛情などはかえって仇となるのでは?というキングらしいモチーフ。ドロレスの強さ、哀しみ、愛情、感情のすべてを我が事のように感じ小説を読んでいて良かった!と思えた。

  • こんなこと何年に一度しかないし、自分はスティーブン・キングの大ファンだけど、60ページくらい読んで止めました。もしかしたらここから盛り上がって行くのかもしれないけど、あまりに面白くなかった…

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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