文学部唯野教授のサブ・テキスト (文春文庫 つ 1-8)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167181093

作品紹介・あらすじ

大学をパロディ化した大ベストセラー作品「文学部唯野教授」のサブ・テキスト。マンモス大学の名物教授が100の質問に答えて、教授の知られざる素顔を披露。裏話、エピソードを満載して、小説以上に面白い話題作。文庫版には、河合隼雄、鶴見俊輔の両氏と著者による「『文学部唯野教授』の特別講義」を収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 精神性、技巧ともあまりに高度なので、どこまでマジでどこからオチャラケか、どれがホントでどれがウソかわからなくなってくる。唯野教授の「文学批評講座」は大パロディだとタカをくくっていたが、作者の弁によるとどうもそうでもなく、虚構による虚構の批評構築という遠大な野心が隠されていたようなのだ。
    だから、芸術にとって最も大切なのは教養、教養とは知識ではなく、ある種の共通感覚、感情移入の能力であるという、あたりまえといえばあたりまえの見解も誠実と受け止められる。

    今から思えば80年代のポストモダン、ポスト構造主義、ニューアカといったブームが犯した罪は軽くない。哲学思想を社会から切り離し、思想のための思想に加圧しやがて雲散霧消させてしまった。世代的には、お茶漬でもイデオロギーはあった「団塊」と、自分にしか関心を持てない「新人類」にはさまれた「断層」たちである。

    以後世の中はマネー、マネーに突っ走る。痛い目にあいながらもこの流れはとまらない。これほど強力な思想はないからだ。

    罪のひとつには原発推進の抑止力になりえなかったこともあげられる。それがいま顕在化している。米仏盲従の最大の陥穽かもしれない。

    しかし米はともかく、なぜ仏人はこうなってしまったんだろう?現代史にとってのひとつの研究課題になりそうだ。

  • 唯野教授がいる大学に通いたい。

  • 文学部唯野教授を読んだ勢いで。唯野教授への100の質問では、唯野教授が筒井さんが言ってたけど、みたいな言辞を弄するのがおもしろかったり、ロレンス・ダレル「スピリット・オブ・プレイス」という紀行文に興味を惹かれる。また大橋洋一氏による筒井康隆氏へのインタビューでは、国書刊行会をやめて風の薔薇という出版社をつくった方が紹介されたり、高橋氏の教え子からの唯野教授のモデルは高橋氏ではないのかという手紙が紹介されたり。ポスト構造主義による一杯のかけそば分析は、パロディだからなのかもだけど、ぱっと見意味があるとは思えない数式の挿入、図式化、なんでも性欲、権力欲に結びつけるばかばかしさがにじみでていておかしい。類書としては、著者の「短編小説講義」、賞談小説の先駆として紹介されている「大いなる助走」についてもあたってみたい。

  • 2015.6.15
    同シリーズの続編?ということで手に取る。『一杯のかけそば分析』が気になったことも理由の一つとして挙がる。ポスト構造主義の概念を全く理解しないまま読んだが、それでも面白い。文脈や言葉の裏側に隠れた意味を深読みしているような印象を受けた。感動ドラマが、見事に薄っぺらいドラマにみえる。冷静に考えたら、感動ドラマの大半は、現実に起こったら白ける場合が多いのは明らかである。しかし、そのようなことを描く小説は、現実性がなくても成立するという指摘が印象的だった。そして、感動ドラマは神話のように神聖視?されるという前提があるということにも納得した。
    理解できていない部分も多いが、単純に読んで楽しめた。もっと知識とそれを活用する力をつけてから再読したい。

  • タダノのその後。

  •  ポスト構造主義による一杯のかけそば分析。婉曲的に批評を批評するという皮肉のスタンスに、思わず呵々大笑するだろう。

  • 筒井さんおもしろいひとだな。

  • 面白かったはずなのに、記憶の彼方に。また読みたい。

  • ポスト構造主義による「一杯のかけそば」分析、もいいけどやっぱ鼎談がおもしろかったな。

  • まさかのスピンオフ作品ですか。
    確かに良いキャラクターですから。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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