帰れぬ人びと (文春文庫 さ 21-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167266028

感想・レビュー・書評

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  • 「川べりの道」「かもめ家ものがたり」「朽ちる町」 「帰れぬ人びと」の4編からなる。
    「川べりの道」「帰れぬ人びと」はデビュー作と初期作品だが、とても10代が書いた文章とは思えない。とんでもない感性の持ち主であり、文章が秀逸。

    世の中には天才がいるなぁと思う。

    反面、なんて冷めた目で世界を見ているだろう。打算上に成り立つ人間の本性。帰れぬ人々の姉の描写などは驚愕する。

  • 高校時代に勧められた一冊。

    小説というものには、必ず背景がある。
    登場人物を描けば、その人の育ってきた、あるいは住んでいる町、風景も自ずと描写することになる。

    この小説は作品集だけれど、どの作品も町というものがもうひとりの主人公になっている。

    町の色、匂い、町が呼吸する様子。
    巧みな描写だと思う。珍しい着眼点の作家さんだとも思う。

    これを高校2年生で書いたと言うんだから驚き。

    鷺沢萠では、「ウェルカム・ホーム」がおすすめ。

  • 鷺沢さんの作品は高校生時代に出会いよく読みました。
    その最初の一冊がこれです。

  • 表紙裏
    思いもよらぬ宿命の出逢いから、ふたりの魂は引き寄せ合って・・・。挫折の影をひきずって生きる若者たちの優しさ、無垢さ、あやうさを鮮明に捉えた同時代文学。久々の本格派として話題を呼んだ著者十代のデビュー作「川べりの道」(文学界新人賞受賞)、第百一回芥川賞候補作「帰れぬ人びと」を収める短編集。解説・小関智弘

    目次
    川べりの道
    かもめ家ものがたり
    朽ちる町
    帰れぬ人びと

  • 『川べりの道』を読了。・・・えっ!?これ鷺沢さんが高校3年生のとき書いたもの!?

    細かい風景描写。少し若さがチラつく文体だが感性に富んだ心理描写。かなり期待の新人だったのですね・・・

    現在の作品を読んでみたいと思ったけど、鷺沢さん04年に自殺してたことを知りました。作家としての悩みや人間関係、将来などいろいろ思いつめたところがあるかもしれないけどが、そこは詮索しない。少なくとも鷺沢さんのことほとんど何も知らない今の私が色々模索するのもおこがましいものでしょう。

    他のいろんな作品を読んでみたいです。

  • 10台で文学界新人賞を受賞した「川べりの道」のほか、87~89年に発表された4編を収録。若者の完成を鮮明にとらえ、独特の空気感を持つリアルな日常を描いている。

  • 若かった鷺沢さんの秘めたものに触れる気がする。
    当時、17歳。「体の奥からにじみ出てくるような呼び声」に動かされて小説を書いていたのだろう。

  • 痛く、苦しすぎる。
    物語のなかの世界から匂いや視覚や聴覚、五感が刺激される。

  • すき

  • 信じられない。

    何がって、「川べりの道」を書いた時の鷺沢さんが
    高校三年生だったということ。

    初めて名前を知ったのは群ようこさんのエッセイの中。
    群さんと旅行をするときに同行したメンバーの1人でした。

    そのエッセイの中では甘え上手で、かわいらしい人、
    というイメージで、そこから惹かれていくつか作品を読みました。

    「帰れぬ人びと」はずっと手元におきたいと思っていた本。
    昨日、古本屋さんで手にとって、迷わずにレジへ。

    冷たく、寂れたものにもしっかりと血が通っている、
    理不尽なものにふさがれても、人は生きていく。
    そういうことを繊細に描き、文章化してくれる。

    そんなイメージが鷺沢さんの作品にはあります。

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著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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