大正美人伝: 林きむ子の生涯 (文春文庫 も 15-2)

著者 :
  • 文藝春秋
3.50
  • (1)
  • (4)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 50
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167421038

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 天晴れな美人。男の目から見ると美人は何かと得をしそうだが、きむ子の場合は損をしてるかも。

    その生き方は本当に凛としている。時代が追いついてない。今の時代に生きていれば、そのマルチな才能を生かして、どの分野かは分からないがトップリーダーになっているだろう。

    それにしても現代の感覚で見ても惚れ惚れする美人だ。内面の芯の通った感じが写真からも伺える。

  • 新書文庫

  • 九条武子・柳原白蓮と並んで「大正三美人」と呼ばれた林きむ子とはどんな人だったのか?表紙には目鼻立ちの整った派手な顔だちの美人写真はイマドキの女優といっても通りそう。
    彼女は義太夫語りの夫婦の間に生まれ、持って生まれた美貌と利発さで新橋の料亭の養女となった。その料亭は「待合政治」の発祥の地といわれるほどに政財界人が出入りし、その影響下、14歳年上のアメリカ帰りの実業家&政治家の妻となり6人の子をなした後、夫の急死。その1年後には9歳下の薬剤師で詩人の林柳波と再婚し2人の女の子を産んだ。
    活発で行動的、物事に捉われず自分の考えで人生を切り拓く魅力的な人。今で言うならクロワッサンとか婦人画報、ヴェリイに常に登場する「セレブミセス」であり、小説やエッセーを書き、きむ子ブランド化粧品販売、一中節や舞踊の師匠など、多方面に活躍した。 
    この著作、今はあまり知られていない「きむ子」を中心に描かれているが、井上馨、頭山満、杉山茂丸、板垣退助、原敬、尾崎行雄など政財界人や、らいてう、長谷川時雨などの女性運動家のほか、歌舞伎役者、舞踊家、詩人など大正時代の綺羅星たちが周辺をにぎわすことが面白い。明治と昭和にはさまれた短い時代。そんな時代の華やかな世界を垣間見ることができた。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1954年生まれ。中学生の時に大杉栄や伊藤野枝、林芙美子を知り、アナキズムに関心を持つ。大学卒業後、PR会社、出版社を経て、84年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊。聞き書きから、記憶を記録に替えてきた。
その中から『谷中スケッチブック』『不思議の町 根津』(ちくま文庫)が生まれ、その後『鷗外の坂』(芸術選奨文部大臣新人賞)、『彰義隊遺聞』(集英社文庫)、『「青鞜」の冒険』(集英社文庫、紫式部文学賞受賞)、『暗い時代の人々』『谷根千のイロハ』『聖子』(亜紀書房)、『子規の音』(新潮文庫)などを送り出している。
近著に『路上のポルトレ』(羽鳥書店)、『しごと放浪記』(集英社インターナショナル)、『京都府案内』(世界思想社)がある。数々の震災復興建築の保存にもかかわってきた。

「2023年 『聞き書き・関東大震災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森まゆみの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×