推定無罪 (下) (文春文庫) (文春文庫 ト 1-2)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167527082

作品紹介・あらすじ

検事が一転容疑者となる…。思いもかけぬ展開に、権勢欲、出世欲、金銭欲、所有欲、性欲、あらゆる欲望の渦巻く複雑な人間ドラマがあらわになり、意外な結末へとなだれこむ。歴史に残る法廷ミステリーの傑作というにとどまらず、制度そのものへの批判を含んだ社会小説としても評価された一級品。ハリソン・フォード主演で映画化。

感想・レビュー・書評

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  • 世間は思いもかけない展開が自分の身に起こることもある。この書にある様な、事件に突然巻き込まれ、容疑者から被告人になってしまうことだ。世の中、権勢欲、出世欲、金銭欲、所有欲、性欲、など様々な欲望が渦巻いており他人の「罠に嵌る」事するある。果たして犯人は誰なのか最後に思わぬ展開で終わるミステリー小説だ。信頼している人物こそ裏切り、妬み、罠にかけることは現実にもある。

  • 主人公である検事が殺人事件の容疑により裁判にかけられる物語。総じてみれば法廷でのやり取りとそのための準備を主軸にした展開であり、陪審員制度についてある程度知っていなければこの小説を理解するのは難しいように思った。読みやすいミステリー小説というわけではない。映画化された有名な小説ということであり、読みごたえはあった。

  • 下巻は面白かった。裁判の進行は優秀な弁護士次第というのも納得する。

  • 下巻になると途端に読むスピードが上がった。
    主人公がどうしてもハリソン・フォードに重なり、この際映画をもう一度みたほうがよさそうだ。

  • 法廷って面白い。題材としては群を抜いて興味深い。言葉のプロって小説家や国語教師や言語学者だけではないなあ。さらに言えば、緻密な戦略は、針の穴を通すような論理性と、相手を刺すような観察力と、行動心理学の塊が弁護士や検事なのだろう。上巻ではなかなか進まなかったページが、どんどんと進んでいく。上巻では足踏みしたものの、下巻での展開は圧巻。弁護士や検事の物語をもっと読んでみたい。そう考えると、海堂尊が描く白鳥ってすごいな…

  • 自分は法律にある程度詳しいのでついていけるけど、陪審について予備知識がないとなかなか難しいかも。特にアメリカは時々無茶苦茶な判決が出るけど、制度を考えたら無理もないこと。法廷物にしてはどんでん返しに無理を感じる部分もあるんだけど、当時としては画期的だったんだと思う。

  • 去年、続編が出たと知って、それを手にする前に再読したいと思った。
    どんどん読んではどんどん忘れるほうだが、20年も前に読んだきりの本書の犯人を忘れたことはない。それでも読みたかった。
    再読して、あらためて文学としても、裁判ミステリとしても、そしてフーズダニット系としても、第一級だと思う。犯人が明かされる場面では初読のときの衝撃を思い出しつつも、やはり軽いめまいを覚えた。
    20年ぶりに本棚から取り出して、上巻と下巻の傷み具合の差に驚いた。本が傷む暇がないほど下巻は一気呵成に読了したからに違いない。上巻はそれにくらべて、物語の歩みは緩慢でやや読みにくさを感じる。しかし、だからこそ下巻のスピード感が快い。

  • (上巻からの続き)下巻では、アメリカの陪審員裁判が詳しく描写される。裁判が緊迫した展開を見せる中、ラスティは独自に汚職事件の調査を続行する。やがて、意外な事実が続々と明らかになり……

    後半の展開から、主人公を含め、アメリカ司法業界の闇の部分が明かされていく。どれだけ緻密な司法制度を作ったとしても、人間が運用する限り、完全な正義を実現するのは難しい。人の心というのは実に度し難いものだ、というのが感想。

    舞台がアメリカということで、本書には様々なバックボーンを持った人物が登場するが、我々日本人が注目すべきは日系人ドクターのペインレス・クマガイだろう。憎まれ役だけど。ただ、本名がテツオ・クマガイって、日系人じゃなくて完全に日本人の名前だよなあ。

  • 本書は解決していない。
    そうだ。解決していないのだ。何も。

    与えられた殺人という問題は行方不明になったまま終了している。果たしてそれでいいのだろうか?

    という重大な問題を指摘した上で考える。
    Obsoletedであると。

    精液が現場に残っていれば間違いなくDNA鑑定が行われるだろう。現在ならば。当時、そんな技術が存在しなかったことを考えれば、そんなことを言い出す方が頭が悪いに違いない(勿論、僕が頭が悪いという意味で)。

    そのことを解った上で言うけれども、やはり現実味が遠く感じられるのである。海の向こうの話。ってことを含めてみても、どうしても気分が乗らないのだ。ペインレスが日系人であったり、舞台が法廷であったり。

    悪くない人間を論理でぶちのめしたとして、それが正義といえるのだろうか?
    (そして、犯罪者はのうのうと生きている!?)

    アメリカンジャスティスと割り切ればいいのかもしれないが、どうしても感情的に納得することができない。
    確かにキャロリンは酷い女であった。汚い金を受け取り、自分の立場を向上させるために男たちを利用した。体を武器に。

    だが、そのことに与えられる罪として死は不適当だ。間違いなく過大すぎる。偉そうに散々正義をぶち上げるラスティにもうんざりだ。自分自身の正義を突き詰めるのであれば、バーバラを訴えなければならない。もし、それができないのであれば、他人に対して厳格な態度をとるべきではない。誰がどう見てもラスティが犯人である証拠しか与えられていないのだから。

    本書が面白いことを断言することは吝かではない。けれども、納得できるか、すっきりできるか、と問われて頷くことができない。ハッピーエンドに見せかけた不愉快さが苦味となって口の中に残る。
    だから、僕はただ、嫌がらせのように星3をつけてしまうのだ。どうせ、作者がこのサイトを見るわけでもないし。

  • 上巻の前半は本当に読みづらかった笑
    中盤からはすごく引き込まれました。寝る時間とか削ってしまうかも
    最後驚いたー

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