乃木希典 (文春文庫 ふ 12-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167593063

感想・レビュー・書評

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  • 「人間」としての乃木希典をよく分析していると思う。
    好意的ではあるが、手放しで褒め称えている内容ではない。
    短めにまとめられているので、飽きない期間にサラリと読める。

    殉死は、自らに厳しくあった乃木将軍が最期に見せた「弱さ」だったのかなぁ…と思った。

    かなり有名な人物である故か、歴史的背景はかなり省略されている。
    なので、これ一冊ではヤヤ分かり難い部分も。

  • 有徳な人になりきるということでしか、生きていられない、と思い詰めていました。
    自分の人生のモティーフは学問だという意識が強かったのだろうか。
    乃木は先日とは学芸、器材ではないという。学芸とは教養的な意味ではなく、むしろ軍事全般にかかわる専門知識全般を指しているだろう。

  • 2010年3冊目

  • 人っていうのは、みる角度によってまったく違う顔があるんだという当たり前のことに改めて気付かされました。
    毀誉褒貶激しい乃木希典ですが、この本もまた乃木の新たな一面を知ることができる一冊だと思います。

  • 乃木を非常に暖かく描いている。乃木は毀誉褒貶の激しい人物である。司馬が『殉死』の中で描いた無能将軍のイメージが一般に膾炙している。しかし、もし乃木が無能な、外面ばかりを気にする、薄っぺらな人物だったら、昔、あれほど「乃木さん」「乃木大将」といって親しまれたであろうか。その答えを本書は、様々なエピソードや、乃木自身の日記をふんだんに用いて、冷静に記している。司馬作品では、死に向かう乃木の様子が、あまりに生々しく暗澹たる気持ちになるが、本書では乃木の「人柄」に実際に触れたような、爽快感を、読後に感じることができるかも知れない。もっとも、私は乃木が院長を務めた大学に在籍しているから、一層乃木に対する思い入れが強いのではあるが。
    とにかく、重厚な書籍ではないので、一読をおすすめしたい。俯瞰すれば、乃木と明治という時代の関わり方を活写した好作品であるともいえよう。

  • 司馬遼太郎の「坂の上の雲」で無能というイメージが一般的な乃木大将。本当に無能だったのか?無能だけで切り捨てていい人だったのか?を問いなおすきっかけになる良書だと思う。

    そのあまりにも高潔で有徳な生き様はただただ尊敬に値する。そして明治天皇崩御にあたり妻と殉死するその最期はまさに武士。人としての再評価だけでなく、軍人としての再評価も必要だと思う。

    日露戦争、二百三高地で多数の死傷者を出したのは果たして乃木大将の無能さゆえなのかどうか。色々と気になるところがある。

    児玉源太郎(有能な人物)は現代日本にいくらでもいる。乃木希典(人をそのために死なしめるほどの人格)がいないことが、現代日本が低迷している要因ではないか。 <巻末解説より>

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著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。批評家。慶應義塾大学名誉教授。『日本の家郷』で三島賞、『甘美な人生』で平林たい子賞、『地ひらく――石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞、『悪女の美食術』で講談社エッセイ賞を受賞。

「2023年 『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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